+82 #10: もはや住民
今回一週間の滞在ということで、普通の方なら気になるのがその費用である。
どうやら航空券は火水曜運航の便が一番安いらしく、常にギリギリで生きている私は水曜日に行って火曜日に帰るという選択肢を選んだのだった。
おかげで航空券は往復で2万ちょっと。東京-新大阪の新幹線往復より安い。
そして宿も、友人の紹介で友人の友人Jオンニの家に泊めさせていただくことになった。
オンニはDMのグループチャットで何回か話したことはあったものの、実際に会うのは初めてだった。6泊も泊めさせてもらうなんてとてもじゃないけど申し訳なさ過ぎてずっとペコペコしていたのだが、「むしろこういうのは初めてだから楽しい!ゲストハウスのノリで使ってね」と言ってくれたのであった。
オンニは私が泊まっている間はボーイフレンドの家に泊まることにしたらしく、私はオンニの飼い猫との1人と2匹生活を一週間することになったのだ。
オンニの家はソウル西部西大門区の弘恩(ホンウン)洞にあった。
この一帯は山が多く、きつい坂を登った先には多くの家が並んでいた。最寄りの地下鉄駅は家からは遠いが、その最寄り駅からマウルバス(区バス的な)に乗って終えばきつくて狭い坂道も登ってくれるので、案外さらっと家に帰ることができた。
ソウルの住宅街は、何回か通ったことがある。
初めて韓国に来た時、梨泰院駅の南側のウサダン路という狭い迷路のような住宅街を歩いた。狭い道を抜けると美容室や飲食店、イスラム街もあった。
住宅街を通ってて毎度思うのが、「ほんとにここ、人住んでる…?」そんな雰囲気の家が多すぎる。
というのも、日本人視点で見れば廃墟と言われても納得がいくような外観、周囲の人通りの少なさ。これを実際に見ればきっと皆さんも同じようなことを感じるであろう。
しかしこれが韓国ではいわゆる普通の住宅街なのであろう。オンニの家も(ウサダン路ほど狭いところではないが)同じような雰囲気の住宅街の中にあった。
寝室の窓から見える隣の家。ベランダだけ見ても、もう何年も住んでないようなそんな雰囲気が漂っている。しかし夜になって寝ていると、隣の家の窓からは薄暗く照明の灯りが漏れ、家族の会話やテレビの音が聞こえてくる。
夜中にはゴミ収集車の音、昼間には石焼き芋〜的な販売トラックのアナウンス、子どもの声。
あ、普通に生活してるんだ…。
まあ、そりゃそうなんだが。こんだけきつい坂でも山を切り開いて住宅が建てられているんだから、これらが全部空き家なわけがない。ごめん、どうみても空き家にしか見えないのだけれど。
こんな経験は、ホテルはもちろん、ゲストハウスでもできないのではないだろうか。
玄関を出て、ここに元から住んでますみたいな顔をして出かける。
なんてのも全然悪くなかった。むしろ良かった。
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