見出し画像

雲で季節を当てるクイズ ◆ 水曜日の湯葉149

見上げると絵に描いたような秋の空だった。「うお〜秋の空だなあ」と思わずつぶやいて、その一瞬後に自分の判断を疑い始めた。「待てよ、おれはいま本当に視覚情報から秋の空と判断したのか? 現在が秋であるという知識をもとに、この空が秋の空だと決めつけただけじゃないか?」と。なんでも疑問を持つお年頃である。

さっそく家に帰って、過去数年間に撮った写真から空の部分をトリミングしてシャッフルし、どの季節か当てるクイズを作った。よかったら皆さんもやってみてほしい。撮影時期は春(4月)、夏(7月)、秋(10月)、冬(1月)のどれかである。



正解は以下のとおり。

(1) 夏
(2) 秋
(3) 冬
(4) 夏
(5) 春
(6) 春
(7) 冬
(8) 秋

いかがだったろうか。僕は自分で撮った写真なのに全然わからなかった。一方でトリミング前であればほぼ確実に季節がわかるので、僕が「秋の空だな」というときは空の輪郭を構成する部分、すなわち山の彩りや木の葉のつき具合を見ている可能性が高い。

たとえば (3) の全体像を見れば、ひと目で冬とわかる。

『横浜駅SF』が重版。これで11刷。普通このくらいになると刷数ではなく「累計何万部!」という自慢をするが、公式がそういう発表をしないので僕のほうからは言えない。というか僕もそろそろ何部かわからなくなってきた。電子版とか漫画とか海外版とかまで入れたら結構あると思うけど。

この小説はもともと Twitter にネタを投稿していたらなんかバズってしまい、せっかくだからと長編小説にして、それが完成したタイミングで「カクヨム」というWeb小説投稿サイトが出来て、ちょうどいいと投稿したらなんか受賞して、本になって結構売れたのでそのまま小説家になった。それが8年前であり、未だにちょびちょび売れているようだ。

この変な経歴のせいで、僕はいまだに「正規でないルートで小説業界に入って、なぜか未だに居座ってるやつ」という自意識が拭えない。ちゃんとした小説家はそういう養成学校みたいなところに入って、専門家のもとで数年間基礎を固めて小説家になっているのに、僕がそれをすっ飛ばしたせいで基礎の不足をごまかしながら書いているような、そういう心境になることがある。

一方で、たぶん僕以外の作家も「自分は間違ったルートで入ったのでは?」「自分はどこかで教わるべき基礎を身に着けていないのでは?」という悩みを抱えてるんだろうな、と勝手に確信している。なんか最近年々「自分は特別ではない。ということは、僕以外も同じようなことに悩んでるんだろう」と思うようになっている。他人を自分と同調させたがるというか。

ここから先は

2,968字

毎週水曜20時に日記(約4000字)を公開します。仕事進捗や読書記録、創作のメモなどを書いています。…

水曜日の湯葉メンバーシップ

¥490 / 月
初月無料

文章で生計を立てる身ですのでサポートをいただけるとたいへん嬉しいです。メッセージが思いつかない方は好きな食べ物を書いてください。