水曜日の湯葉44 ◆ 風が吹けば IKEA が儲かる
10月5日 水
IKEA でしか売ってない缶ビールというのを知り、美味しそうなので IKEA に行く。『ファイト・クラブ』で資本主義の象徴として描かれる北欧家具屋だが、実物を見ると家具屋であること以上にスウェーデンという国家を推している。
店頭はためくスウェーデン国旗、日本語より大きなフォントで書かれるスウェーデン語の商品名、そしてスウェーデンからの輸入菓子の数々。こんなにも特定の国を推してくる商業施設は他に志摩スペイン村しか知らない。
併設されているレストランに「安心して食べられるサーモン」というポスターが貼られていた。これは水銀とか寄生虫とかではなく「持続可能な方法で養殖されている」とのことである。「安心」の範囲が個人ではなく生態系。スケールがでかい。その意味合いで行くと日本のウナギとかはだいぶ安心できないところがある。
そういえば海産物ってなんで「養殖より天然のほうが美味しい」というイメージがあるんだろう。哺乳類や植物はそんなことはない。あまおうとかシャインマスカットとかいった品種改良を重ねたブランドのほうが、野イチゴや山葡萄よりも美味しそうに聞こえる。
(野イチゴや山葡萄は味よりも「食べる状況」で楽しめる食品だ)
10月6日 木
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