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まずはロボットの話をしよう。麻雀と飯はその後で ◆水曜日の湯葉139

雑誌『子供の科学』に短編小説「修学宇宙旅行」を寄稿させていただきました。

「子供向けの小説って書いたことないけど、どういう子供を想定すればいいのかな?」と思ってバックナンバーを読んだところプログラミングでゲームを作る方法などが解説されており現代の小中学生の知性にビビり、キャラが小学生である以外は普段どおりのSFを書きました。大人が読んでも面白いと思います。よろしくお願いします。

『麻雀漫画50年史』という本を読んだ。タイトルのとおり麻雀漫画の歴史を語る本であり、それ以外は何も書いていない。「麻雀漫画の歴史を通じても日本の世相は見えてこないし、それどころか麻雀業界の事情すらほとんど見えない」という割り切った姿勢を冒頭で明言しているストイックな本だが、日本のマイナー漫画事情(手塚治虫や藤子不二雄のような主流ではないところ)を知りたい身としては興味深く読めた。あと青山広美『バード』が面白そうなので買った。タイトルは知ってたけど麻雀漫画だったんだ。

麻雀漫画の歴史が「50年」とあるが、これは1970年頃に第二次麻雀ブームがあり(阿佐田哲也やプラスチック牌の普及などが関係している)それに応じて麻雀漫画の歴史も始まったからということらしい。そう言われれば納得感がある。

ところで、似たタイトルの本に『グルメ漫画50年史』というのもある。「グルメ漫画」の定義をいくつか決めたうえで、元祖は1970年に出た『突撃ラーメン』『ケーキケーキケーキ』『台所剣法』である、といった話から始まる。人類が誕生以来ずっと飯を食っていたことを考えると、グルメ漫画のはじまりが1970年とはずいぶん遅い。

SF漫画を見れば『鉄腕アトム』が1968年に終わり、その翌年に『ドラえもん』が始まっている。つまり「飯を作って食う」という行為が漫画のメインテーマに据えられたのは「ロボットとともに生きる」よりも後なのである。どうなってんだ漫画業界。

となると気になることだが、現代日本の漫画のメインジャンルと言えるバトル漫画の歴史は、いつ始まったのだろう? 漫画史の話題でやたら鳥獣戯画や葛飾北斎まで遡りたがる人たちもさすがに「鳥獣戯画はバトル漫画」とは言わないだろうから、どこか別にバトル漫画の元祖があるわけだけど。たとえば『サイボーグ009』(1964)とかは能力バトル漫画史の重要な1ページとなってそうだが。

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