美術への興味が薄いから美術館に行ってる ◆ 水曜日の湯葉96
17日から中国に行くので、ビザを申請しに東京へ。驚くべきことにいま中国に渡航するには東京有明のビザ申請センターに行く必要がある。それも申請と受取に2回。
地方在住の方は代理人を頼んだりするらしいが、埼玉住みの僕としても有明まで行くのはなかなか億劫だ。「ついでの用事」がほしいので上野の美術館に寄る。
わりと頻繁に美術館に行くほうだが、特に美術好きではない。美術館でないと鑑賞に集中できないから行っている。映画館も同じだ。家で見ると2時間映画に3日かかってしまう。映画館なら2時間で見られるので時短になる。
「○○専用の施設」って必ずしも「○○が好きな人」向けとは限らないなと思う。僕はむしろ興味関心の不足を場の空気で補うために行っている。もし僕が美術好きだったら、画集を買い集めて家で1日中見ている気がする。映画好きなら映画館よりも他人に邪魔されないホームシアターを作るだろう。酒好きだったら居酒屋よりも宅飲みをする。
もちろん美術館に行けば本物が見られるけど、「本物であること」の優先度が僕の中でそんなに高くない。ルーブル美術館に行ったことはあるが、やたら小さいモナリザが分厚いガラスに覆われ、その前に百人だかの群衆がいて、その大半が僕より高身長なので、肩の隙間からどうにか「モナリザがあるな、よし」と確認して帰った。あれなら高画質の写真で見たほうがいい。「はじめてのルーブルはなんてことはなかった」と宇多田ヒカルがいうのも納得である。
売店でイタリア製のヌガーを買って帰る。買ったはいいものの「ヌガー」がなんなのかを知らない。筋トレの最後のほうとかで出る声に似ている。
10月4日 水
『ホワット・イフ?』の続刊を読む。子供のムチャクチャな質問に科学的にちゃんと答える本。あいかわらず質問をしてくる子供のセンスがいい。「月光をレンズで集めてものを燃やすことができますか?」とか、森の魔女に育てられたんかってくらい発想にロマンがある。
この質問への答えは「レンズをどれだけ巨大にしても無理」らしい。これは結構驚いた。もちろん月面から放たれるすべての光を1点に集めれば発火点に届くけど、そういうレンズを設計するのは熱力学的および光学的に不可能なのだ。なんでそうなるのかは内容を見てほしい。
タイヤの空気圧が減っていたので、ガソリンスタンドで給油のついでに言ったら無料で入れてくれた。空気って無料なんだ。知らなかった。
10月5日 木
「夜を渡っていくために」という短編小説が『二弐に2』という本に載った。こういう本である。
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