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バスに乗り遅れ、人生の意味がわからない日曜日 ◆ 水曜日の湯葉159

丸善ジュンク堂の『本当に面白いおすすめラノベランキング』に、僕のデビュー作『横浜駅SF』を選出していただいた。1位に。おひゃあ。ありがとうございます。名古屋にいたころはさかえの丸善に大変お世話になりました。

『横浜駅SF』は2016年のクリスマスに発売したので、今週でデビュー8周年になる。8年!? うん。合ってるな。最近はもう「作家業における僕のポジションはここだな」というのが確立してしまい、良くも悪くも大きな変動はない。

昔は「小説家で食えるのはせいぜい5年だろう、そしたら続けたら次の面白いことをやろう」と思っていたのだが、最近は「社会に面白いものを発信したい」よりも「自分の中に面白さを見つけたい」という方向に関心がシフトしてしまったため、小説は仕事としてグダグダ老後まで続けようかなと思っている。

数日前に「2024年買ってよかったもの」の記事を出したが、「もの」の定義を少し拡げると今年最大の買い物は引っ越しである。運送業者やら仲介手数料やらハウスクリーニングやらで40万円かかったが、どう見積もってもそれ以上のパフォーマンスがあった。

きっかけは前の家が暑すぎたこと。周りが畑なので日当たり良好、しかも築30年の単層ガラス窓なので、騒音がうるさいほどにエアコンを回してもまだ暑い。自作の断熱材やサンシェードを用いた対応もとうとう限界に達して転居を決意。Low-E 複層ガラスを備えた令和産アパートに引っ越した。おかげで今年は夏に対する恨みがない。みんな暑いなか通勤していて大変だな〜(エアコンゴオオオ)と思って過ごした。

このところ日本の住居は急速に断熱が意識されている。20世紀までは家屋といえばひたすら耐震! 耐震! と叫ばれ、大きな地震があるたびに建築基準法の耐震基準が見直されていたのだが、最近は高齢化や気候変動によって住宅のトレンドが変わってきた。

1999年には「断熱等級4」が最高水準として新設されたのだが、2025年にはそれが新築の最低水準(それ以下の家を建てるのは違法)となり、さらに2030年にはそれすらも違法になる。「最高水準」から「違法建築」までわずか1世代。断熱インフレ時代である。

つまり、今は新しい家に引っ越せばそれだけで暑さ寒さをだいぶ軽減できるのだ。とはいえ家賃は上げたくない。部屋を狭くもしたくない。となれば削れるのは立地条件。ということで、都心からも駅からも遠い場所に転居した。

とはいえコロナ禍のおりに出版社にもリモートワークが普及したようで、思ったより東京に行く機会はない。車があるので買い物は不自由しないし。この世の全てをジャスコで入手する福島県民としての勘が戻ってきたな。

さっき不動産サイトを見たら、僕のいた部屋の家賃が上がっていた。なんであのボロで家賃上げるんだよ。都心へのアクセス性くらいしか褒める要素がないが、いま都心の地価が急騰しているからその余波を食らったのかもしれない。

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