シルバニアファミリーは動かない ◆ 水曜日の湯葉71[4/13-19]
4月12日 水
須藤古都離『ゴリラ裁判の日』を読んだ。手話で人間と意思疎通できるメスゴリラの一人称で綴られる小説。非常に面白い。
アフリカのジャングルで生まれ育った彼女は、その特異性ゆえにアメリカの動物園で注目を集めるが、ある日、動物園の檻に子供が入り込んでしまい、子供の安全のために一頭のオスゴリラが射殺される。主人公は「夫を殺された」として動物園を相手に裁判を起こす。
前半では主人公の生まれ育ったカメルーンのジャングルに相当なページ数を割いているが、そこは弱いオスは暴力でメスを奪われるのが当然とされる世界で、「弱者の権利」なんて主張できるはずがない。そんな野生と対比させる形でアメリカの動物園と対比することで、人間が築き上げてきた社会が何であるかを考えさせる内容になっている。
4月13日 木
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