東京
この街が好きだ。
それは、きっと生まれた時から。
うるさすぎず、田舎すぎない。
夜になると綺麗な照明が照らされ、
駅前の公園で誰かがアカペラの練習をしている。
ちょっと不味いラーメン屋があって、
高校生が出入りするサイゼリアがある。
少し離れると、大きな河川敷があって、
夏には打ち上げ花火が見れる。
何ができるってわけじゃないけど
落ち着く。誰かに会える。
この駅には想い出が多い。
また1人この街から
東京へ行く大好きな友達がいる。
何人目だろうか。
あの代表も、あの料理人も、
あのバカしてる奴も、あのバーテンダーも。
数えれるだけで、そろそろ二桁に到達する。
みんな東京に出ていく。
好きなものを何かに取られていく感覚。
別にずっと会ってたわけじゃない。
でも初めてはこの街で出会った。
いつの間にかみんな遠くに行って
気軽に会える人が少なくなってしまった。
東京はそんなに良いところなのだろうか。
夢が叶うような場所なんだろうか。
しんどくて帰ってきた人。
帰えらず、頑張り続けてる人。
挑戦をしたいと言って飛び出す人。
楽しめてるなら良い。
頑張れてるならいい。
でも自分の周りは、
帰ってきても
仕事の愚痴ばっかりで、
冷たい話ばっかりで、
良い印象がまるでない。
上司の横領、冷たい人通り、
ブラックな労働時間、溢れ出す孤独感、
満員電車のストレス、知らないふりが普通、
みんなのせいで、
「東京」と言う言葉が
嫌いになっている自分がいる。
いろんな理由があるから
沢山の異動があるから
仕方ないから。
本当にそうなのだろうか。
この街には何もないのだろうか。
そう否定されてる気分にどうしてもなってしまう。
出てきたから頑張らなければいけないと
錯覚してないですか。
続けることが素晴らしいことと
美化してませんか。
してないならそれで良い。
それが良い。
帰ってくることを楽しみとして、
「この飲み会が生き甲斐やわ」
じゃなくて
「めちゃくちゃ仕事楽しいんよ」
ってこの街のことを忘れるくらい
やりたいことなら
心の底から応援できる。
自分は飛び出す勇気も覚悟もないので、
あえてこの街を選んで
居続けるから
また帰ってきて下さい。