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両手が物語ることで思い浮かべるのは、「今」目に見えるパーツのこと

両手が物語ることを教えてくださいと問われたら、あなたは何を思い浮かべるでしょうか。

今回取材したのは、農家のECサイトの販売サポートや農や自然に関するワークショップ企画をメインに活動するみずのくるみさん
約3年前とあるオンラインコミュニティで出会い、双方が東京から住処を移した今も、連絡を取り合いお互いの活動を応援する仲です。

インタビューを進めるうちに、彼女の考える両手が物語るものは「目に見えること」であり、「これが彼女の個性だ…おもしろい!」と感じました。
右手にある1つのチャームポイントから、彼女の性格の話に発展したインタビューです。

彼女の両手が物語ることとは?

思い浮かんだのは、右手の真ん中にあるほくろ

ーー「あなたの両手が物語ることを教えてください」思い浮かんでいますか?

くるみさん:
右の手のひらの真ん中にほくろがあることかなと思いました。
何歳ごろだったか、どんな風に転んだかなどは忘れてしまったのですが、小さいころ転んで手をついたときに石が手に入ってしまい、ほくろのようになっています。

右手のちょうど真ん中にあるほくろ(のような石のあと)

実は私、左右がわからなくなることがよくあるんです(笑)
そんなときに「ほくろがある方が右だ」とわかるので、ほくろがあって損はしていないなと思います。

ーーどんなふうに転んだかは覚えていないけれど、両手が物語ることで思い浮かんだのは右手のほくろのこと、つまり”今ある外見のこと”なのですね。

くるみさん:
そうですね。このインタビューに手を挙げた1ヶ月前は、両手が物語ることはまったく思いついていなくて、今日1日でパッと考えました(笑)
自分の目に見える範囲で、物語ることはなんだろうという思考でしたね。

言われてみれば、私はズバッとすぐに決める性格で、人より悩む時間は短いと思います。加えて、今回のインタビューでも、ほかの人の記事を見て「もっと深いことを言わないと」「自分の意見で大丈夫かな」といった気持ちにはなりませんでした。

大きな経験だったとしても、形に残らなければ「両手が物語ること」だとは思わない

ーーこれまで、他のインタビューでは両手が経験した”目に見えないこと”を話してくださる方もいました。くるみさんは、両手が物語ることを説明するにあたり、”今、目に見える状態である”ことは必須条件なのでしょうか。

くるみさん:
たしかに「両手が物語ること」と聞かれたら、目に見えることをイメージします。だから、最初に出た言葉が深い体験ではなかったのかもしれません。
私が忘れっぽいのもあって、過去のことはあまり覚えていないことが関係しているのかな。

たとえば、右手を骨折したとしても、インタビューを受けるときには治って不自由をしていなかったら、私の両手を物語るものではない。仮に右手を骨折したことによって左利きになっていたら、左手が物語ることとして、左手が使えるようになった話をするかもしれません。

骨折したことは記憶に残ると思うけれど、自分の両手が物語ることではないと認識しますね。

ーー今日のくるみさんの両手が物語ることは「右手のほくろ」だけれど、明日の両手が物語ることは、別のなにかかもしれませんね。

くるみさん:
うんうん。明日わたしの両手に目に見えるなにかが起きたら、そのことを話すと思います(笑)
今回のテーマを受けて自分の手を見てみるとほくろが薄くなっている気がして、今後物語ることが変わっていくんだろうなという気持ちになりました。

自然や牛に触れることが大好きなくるみさん

ーー実はインタビューをする前、日常の中で土を触ったり牛に触れたりしているだろうから、それらの手触りや手で行う作業についての話があるかもなと、勝手な想像をしていました。いい意味で、予想を裏切られています。

くるみさん:
なるほど。ただ、土も牛も素手で触ってないんだよなぁ(笑)
きっと、素手で土を触っていたら洗っても取れないくらい真っ黒な手ですよね。私がそんな手だったら「私の手は土を触っている手です。この経験は…」と話すと思います。でも、土が爪に全然詰まってない(笑)

手袋をはめて、田植えの手伝い

ーー概念的な話ではなく、両手が物語ることが可視化されている根拠が必要なのかもしれませんね。新しい発見でした。ありがとうございました!

ここまで読んでくださったみなさまへ

「あなたの両手が物語ることを教えてください」

具体的な「手」を問うテーマを、これまで11名に投げかけました。
出てきた回答は、ひとつも被ることがありませんでした。

ただ、振り返ると自分の手で培った経験や、自分の手にかけられた言葉に紐づく思い出、すなわち「過去」を話す方が多い印象でした。一方で、くるみさんのインタビューは「現在」に焦点が当たっているように感じました。

それがとても新鮮で、11名の話をお聞きできたからこそ見つけた彼女の個性なのではないかと思います。

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