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本来の姿
好きなことを話す。
やってみたいことをやる。
空気のようにおよそ5秒で流されるであろうたったの2文。
思考をめぐらすこともなく、「当たり前」という形式だけの5文字が脳内を占拠して消えてゆく。
余裕のないフリをして、賢いように装って、現実を見据えているかのように眼鏡をかけて、本来の姿から遠ざかっていく。
簡単なはずなのに複雑化している。
真っ直ぐなのにどこかで歪ませている。
鮮明に見えるのにかたく目をつむっている。
勇気とか勢いとか覚悟とかも必要ない。
感情をもつ人にとって自然にできていたはずなのに、
いつの間にかその自然さを忘れている。
世の中がどんなに色濃くても、自分自身を黒く染めることはない。
街中に触れてはいけない赤い光線が飛び交っていても、どこかで爆発させてしまうのではないかと怯えることもない。
もう一度、ゆっくり自分自身と言葉の意味の共存へ。
好きなことを話す。
やってみたいことをやる。
この20文字の本来の言葉の姿を取り戻すときがきっとくる。