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夢と道
1つの夢に1つの道。
それはそれでかっこいいこともあるし、どう抗っても1つの道しかないこともある。
果たしてそれは幾つの夢に当てはまるのだろうか。
夢に猪突猛進して、裏道を探さないだけなのではないのか。
私の小さい頃からの夢は『海外でバレエを踊ること』である。
「海外のバレエ団に所属して、プロバレリーナになる」
ことが一般的な言い換えになるだろう。
しかし、本当に海外のバレエ団に所属しなければ海外でバレエを踊れないのだろうか。
踊りの技術・表現を高め、体格を細くしぼらなければ海外でバレエを踊れないのだろうか。
いや、違う。そんなことはない。
海外の至るところで勝手にバレエを踊れば、
海外のバレエスクールに通えば、
「海外でバレエを踊ること」になる。
息をのむほど美しいオペラ座の舞台にたつということは叶わないが、世界の何万人ものバレエダンサーの卵と戦って勝てるほど甘い現実がないことはもう承知である。
それでも決してそれらが妥協ということではない。
パリのバレエスクールのレッスンに飛び入りで参加したとき、
パリでバレエを踊ったこと。
床が斜めになっていたこと。
踊りのパ(テクニックや組み合わせ)に知らないものが沢山あったこと。
踊りがプロ並みに上手い中学生から、おばあちゃんまで一緒にレッスンを受けていたこと。
みるもの・聞くもの・感じるものが斬新で、心の底からバレエのレッスンと踊りを楽しむことができた。
それから、世界各国のバレエスクールに参加したらそれぞれの国のバレエスクールの特色があるのではないか。と心が躍った。
そして、「世界各国で踊ること」がプロバレリーナでなくてもできることに素直にわくわくした。
さらに、心が高鳴る新たな夢もうまれた。
日本のどこかにいる小さなバレリーナの卵が”踊る”ことで心身ともに傷つけ続けていたら、「バレエの自由さと踊る純粋な楽しさ」というメッセージを込めた小さな灯りを灯したい。
日本のどこかにいる夢と現実の間でもがき苦しんでいるひとに夢への違う道という選択肢を伝えたい。
過去の私が小さな灯りを求めていたように、今度は誰かの暗闇に灯りを灯せるようになりたいという夢である。
夢はひとつじゃなくていいし、そこに向かう道も1つではない。
色んな道があって、そこから見える色んな景色がある。
探し求め続ければ自分だけの特別な道がきっと見つかる。