雨の気分は
昨日も今日も、
寒雨がゆっくり地面を潤していた。
今朝。
燃えるゴミを出しに、傘を広げて歩いていたとき。
足につっかけたサンダルで小さな雨潦を弾く微かな音が、耳まで届いた。
午後。
スーパーでの買い出しを終え、車で一息付いたとき。
車窓を覆う儚い雨滴の一つひとつと、ふと目が合った。
冷たい雨がゆっくり降る日、世界はいつもより静かで、こじんまりとしているみたいだ。
しんとしていて、白くぼんやりとした感覚。
かえって、そんな世界では、身の周りにある小さな音や小さな存在に、私の耳目は惹きつけられる。
だから、寒くても、しとしと冷たい雨が降るとき、なんだか心は温まる。
けれど、夕方。
家の横を流れる小さな用水路を見てみると、水面には、雨の足跡がもう見当たらなかった。
きっと、雨は次の街に行っちゃったのだろう。
しとしと雨さん、またゆっくり遊びにいらしてください。
注)表紙は、イメージです(ちなみに、ずっと前に撮った東京駅の写真)。