そらの色
郊外の自宅と都心にあるキャンパスを行き来する生活。
郊外にいるときとは違って、都心にいると、ついつい空の色を忘れてしまいそうになる。
移動は地下鉄や地下通路が多いし。
目の前をよく見て歩かないと人にぶつかりそうになるし。
特に最近は、日々やるべきことが多かったこともあり、近視眼的な生活に拍車がかかっていた。
そんなふうに、都心で過ごしていた、とある平日の午後。
なんとなく、新宿御苑を訪れた。
開放的な広場、薄い桃色の花を身にまとった寒桜、中国風の建築物、くねくねと枝を伸ばした大きな木々…
歩きながら、自然と私の視線は、遠くの方へ、上の方へと向かって行く。
そして、その先には、雲の隙間から顔をのぞかせる青空が、ただただあった。
同時に、そんな空の色を眺めながら、ゆっくり息継ぎをしている自分に、ふと気が付いた。
やっぱり、私は、都心にいると、空の色を忘れてしまいそうになる。
だけど、そんなときは、またここに息継ぎしに来れば良いと思う。