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俺とメロデス ~"メロデス好きじゃない" 発言を掘ってみる~

どうも皆さん、YU-TOです。

今現在、自分の音楽活動における肩書きは "THOUSAND EYESのドラマー" だ。

"ドラマー" ということ自体はもう20年近く変わっていないが、良くも悪くも色々なバンドを渡り歩いてきた人生だったから、"〜の" という部分は数年おきに変わっている。

だから、たまに人から "千眼のYU-TOさん" なんてことを言われると、結婚して苗字が変わった人みたいな心境になったりもしてしまう(苦笑)。

「数年前は、"インファーナルのYU-TOさん"って呼ばれてたんだけどなぁ」みたいな(笑)。

そんな、風来坊ドラマーとして生きてきてしまった自分ではあるが、"メタルバンドのドラマー" ということは音楽人生において一貫している。

他ジャンルのサポートなどは経験したことがあるものの、基本は "メタルバンド" という括りで語られるバンドにしか所属したことはない。

だけどよくよく考えてみると、メタル界特有の細分化されたスタイルで見ていくと、これが結構バラバラ。

時に "デスメタル" だったり(INFECTED MALIGNITY,INFERNAL REVULSION)

https://www.youtube.com/watch?v=5fCV0rgS9DA

時に "メタルコア" だったり(UNDEAD CORPORATION)

時に "マスコア" と形容されてしまったり(QUIXOTIK)

そして、今は "メロディックデスメタル(メロデス)" と呼ばれるスタイルのバンド(THOUSAND EYES)でプレイしている。

だから、言ってしまえば今現在の自分は "メロデスドラマー" という肩書きを背負っているという事になると思うのだが、、、。

何だか、この事実には頭の中の想像力を司る部分がグニャリと曲がるような違和感を覚えてしまう(笑)。

だいたい "メロデスドラマー" という肩書きがこの世に存在するのかどうかすら非常にあやしいところなのだけど、何がそんなに違和感あるのかって、自分は"メロデス" と呼ばれる音楽が別段好きなわけではないからだ。

いやむしろ、ごく一部のバンドを除いたら(※ここが大事)、"ダサい" とすら思っていたこともある。

「メロデスって、軟弱デスメタルでしょ?ww」みたいな。

特にブルータルで極端な方向のデスメタルにどっぷりと浸かっていた時期にその傾向が強く、"メロデス" という音楽はあくまでも本格的なデスメタルに行き着くまでの通過点でしかなく、メロデスを聴いているだけで "デスメタル好き" を自称する人間は片っ端からハンマーで顔をぶっ潰してやろうかとも思っていたくらいだ(8割ウソ 笑)。

今でこそ、幅広い価値観を認められるようになっているからどうとも思わないのだけど、やはり若い時は考え方が極端になってしまうものだから(苦笑)。

ただ、そこまでの極端さはないものの、自分のメロデスに対する気持ちは若い時とそこまで大きく変わっているわけではない。

そして、そんな自分のメロデスに対する正直な気持ちをあろうことかBURRN!誌のインタビューにおいて吐露してしまい、そしてまさかのその発言がピックアップされて "抜かれる" という事件が起きてしまった(笑 )。

メロデスバンドがインタビューで "メロデス好きじゃねー発言" など、なかなかどうして由々しき事態である(個人的に、この抜きはめちゃくちゃ嬉しかったけれど 笑)。

ただ、そんな問題発言を公の場でしてしまう自分でも、全くメロデスを通っていないというわけでもないのだ。

例えば、Arch Enemyは4枚目の『Wages of Sin』なんかはリリース当時、音源を買ってよく聴いていた。

アンジェラ・ゴソウの初参加作品で、リリースされた2001年においてはデスヴォイスを駆使する女性はかなり珍しかったので、当時のメタル界では大きな話題になっていた作品だったと思う。

全ての楽器がクリアに聴こえて、1つ1つの太鼓の分離も物凄く良いサウンドも衝撃的で、分かりやすくも華があるダニエル・アーランドソンのドラムプレイは、メタルドラマーを志す10代の自分にはとても刺激的で、何となくだがコピーをしていた覚えもある。

あとは、やっぱりChildren of Bodom。

最初に聴いたアルバムは『Hatebreeder』。

この作品には本当に一聴惚れをさせられたというか、「これはきた!」というなかなかの大きな衝撃を受けた。

"デスメタル" という名が付くわりには音が綺麗で耳馴染みが良く、キーボードの旋律が耳に残るキャッチーなメタル。

聴いた当初の自分はまだそこまでメタルの知識があったわけではないながらも、それまでの間で聴いてきたどのバンドにも無い要素があるメタルサウンドだと感じたし、そこから立て続けに他作品を買いに行ったくらいだったから、当時の自分にはかなりフィットする音だったのだろう。

だけど、何故か知らないが、今の自分の中にChildren of Bodomからの影響は全く残っていない。

それはArch Enemyも同じ。

本当に、自分でもびっくりしてしまうくらいに、この2バンドの存在感は自分の中でかなり薄まってしまっていて、この2バンドの何かしらの要素が、自分の音楽の価値観を形成したとは全く思えないのだ。

Arch Enemyに至っては、BEAST FEAST 2002でライブも観ているはずなのに、覚えているのは "観た" という事実だけで、それ以外のディテールは全くと言って良いほどに思いだせない。

これは本当に、何故なのだろう?。

考えられる原因としては、この2つのバンドを知った後に観たSLAYERの衝撃があまりに大き過ぎた事と、そこからの自分はどちらかというとハードコアな方面に行ってしまったから、正統派メタル色が強いArch EnemyやChildren of Bodomの存在感がごく自然と薄まってしまったのかもしれない。

ましてそこから、ブルータルデスメタル方面に足を突っ込み、よりアンダーグラウンドな方面の音楽に傾倒していくことになるから、この2バンドのことを "初心者デスメタル" なんていう言葉を使って仲間と一緒にバカにしていたりもした。

今になって、改めて当時聴いていたこの2バンドの音源を聴き返してみても、確かにクオリティが異常に高い音楽であることは間違いないのだけれど、血湧き肉躍る感覚には何故かなれない。

聴いた当時は結構な頻度で聴いていて、"好き" という感覚があったはずなのに、、、。

本当に、この2バンドは自分にとっては "単なる通過点" にしか過ぎず、小学校時代に何となく聴いていた歌謡曲だとか、"あの頃のあの名曲" 的な扱いになってしまっている。

世界的に見たらどうなのかは分からないが、少なくとも日本においての "メロデス" はARCH ENEMYとChildren of Bodomが2大巨塔と言えるくらいの人気で、この2組から影響を受けているというアーティストもかなり多いはず。

ただ、"メロデス" をやっているのにも関わらず、自分はこの2組から全くと言って良いほど影響を受けていない。

もしかしたら、無意識に影響されている部分もあるのかもしれないが、、、。

、、、、、、

いや、ない。
書く手を止めて考えてみても、本当に見当たらない。

こうやって言い切ってしまうほどに、彼らは自分の中においては希薄な存在で、この辺りが一般的な "メロデス好き" な人と自分の大きな違いなんじゃないかと思っている。

じゃあ、"メロデスバンド" と世間から呼ばれているバンドの全てから全く影響を受けていないのかと言われたら、実はそうでもない。

まず、自分が最も影響を受けたと感じるメロデスバンドは、恐らくIn Flamesだ。

彼らが持つ超独特な泣きのサウンド("イェスパーサウンド"とも言える 笑)は、 初めて聴いた当初、「こんなにも胸をかき乱されるメロディを持ったデスメタルがあるのか!!」と、恐らく彼らのサウンドに聴き惚れている人達全員が初聴時に感じたであろう心の揺さぶりを自分も同じように感じた。

初めて聴いた曲は、2ndアルバムに収録されている "Dead Eternity" 。

時間がある度に図書館へ出向き、メタルと思わしきCDを探し出して片っ端から借りていた中学時代に出会った1曲で、遅めなテンポながらも疾走感があるブラストビートの上を駆け巡る泣きの単音リフは、10代の少年の脳天をエグるには十分過ぎるほどの破壊力に満ちていた。

そして、15歳の時に行ったHALFORDのリスニングパーティー(この言葉、懐かしい、、笑)の開演前にモニターで流されていた "Only For The Weak" のMVを観て完全にノックアウト。

鬼のヘヴィサウンドに乗っかる悲哀に満ちたギターメロディと、長髪を振り乱して演奏するガタイの良いメンバー達に視線は釘付けで、「やっぱりIn Flamesってヤバい、、、」と自分の心に深く刻み込まれたことは、あれから15年以上経った今でも鮮明に覚えている。

あとは、In Flamesの最大の転換期にあたるであろう2002年にリリースされた『Reroute to Remain』も個人的には外せない。

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SlipknotやSevendustといった、当時の最先端USヘヴィネスサウンドを発していたバンド達とのツアーを経験し、サウンドもよりモダンな方向に舵を切ったこの作品。

賛否両論はあるが、自分は世紀に残る大名盤だと思っていて、未だ聴いても純粋な気持ちで「カッコ良い!」と唸らさせられる数少ないメロデス作品だ。

元々In Flamesは、スピードよりもドッシリとしたヘヴィさに重点を置いたサウンドを出しているという印象があり、そこがChildren of BodomやArch Enemyとは一線を画しているところだと思うのだけど、そんな彼らの特色がモダンなサウンドスタイルと合わさることで、より強烈かつドラマティックに進化した、実は後の "メタルコア" の先駆け的な作品だったのではないかとも感じている。

In Flamesのドラムって目立つことをするわけではないから、いちドラマーとして何か影響を受けたわけでは無いのだけど、自分の中での "カッコ良いメタルのメロディアス感" の指標となっている音楽がIn Flamesなのだと思う。

メロディアスでも "漢臭さ" を感じさせる芯の太さがあり、エクストリームメタル特有の重さが決して失われることがない。

自分が聴き込んでいた作品は『Clayman』と『Reroute to Remain』くらいだったけれど、この2作品から受けた音楽的な影響は、自分の中で割と大きい。

もうメンバーもサウンドも大分違うけれど(最近はメロデス路線に返り咲いたと話題だが、、笑)、未だ第一線で活動し続けている彼らは本当に偉大だと心から思う。

とまあ、In Flamesの話が長引いてしまったけれど、、、(笑)

他にも影響を受けた(好きな)メロデス作品はいくつかある。

まず真っ先に思い浮かぶのは、SOILWORKの『A Predator's Portrait』。

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この作品は、Children of BodomやArch Enemyを初めて聴いた時と同時期に聴いたのだけど、この2バンドとはまた違ったベクトルでの衝撃を受けた。

この作品におけるSOILWORKのサウンドは、メロディックさよりも荒くれた疾走感を強く感じさせるサウンドで、複雑な曲展開や吐き捨てるようなボーカルスタイルは、良い意味でメロデスらしからぬ極悪さに満ちており、これが当時の自分のツボにピッタリとハマり、、。

特に冒頭2曲の矢継ぎ早に畳み掛ける怒涛の曲展開には、「とんでもないものを聴いてしまった、、、」と、自分の中でのエクストリームメタルの基準値が底上げされた。

あとはやはり、DIMENSION ZERO

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超速スラッシュビートで突っ走る曲がアルバムの大半を占め、IN FLAMESをよりブルータルにしたかのようなサウンドが特徴的なこのバンド。

曲展開もストレートで分かりやすく、潔くて直球な "激速メロデス" とも呼ぶべきサウンドは、かなりのスピードフリークだった10代の自分の胸には痛烈にぶっ刺さった。

そして勿論、At The Gatesも外せないのだけど、個人的にはThe Hauntedの方が好み。

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メロデスかと聞かれたらそうじゃないと思うけれど、メンバーが被っているだけに所々でAt The Gatesを彷彿とさせる叙情リフなんかも垣間見せたりしているので、割とそっちに片足くらいは突っ込んでいるバンドなんじゃないかと。

サウンドの基盤はスラッシュメタルだけど、The Hauntedにはその枠に収まりきれないほどの知的さやテクニックがあり、かつ発してるバンドの雰囲気はあくまでも "ストリート" で身体的なハードコアの匂いがするというところも良い。

結局自分って、メロディアスさを凌駕するくらいのブルータリティとアグレッションを兼ね備えているメロデスしか好きになれないのだ。

ちなみに、THOUSAND EYESに関しては、世界規模で見ても珍しいくらいにアグレッシブな方向に振り切れているメロデスだと思っているので、完全に自分好みな方のメロデス。

だから演れているのだと思うし、自分のプレイスタイルがハマっていると言われることが多いのだと思う。

"メロディックデスメタル" の "メロディック"という部分だけではなく、"デスメタル" という部分にもしっかりと焦点を当てているバンドというか、本流のデスメタルと並べて聴いた時でも引けを取らない線の太さを持ったメロデスが自分は好きだ。

とにかくデスヴォイスで叫けべば、デスメタルになるのかといったらそうではない。

曲のスピード感、ドラムのフレージングや音作り、リフのザクザク感や不穏感など、ボーカル以外の様々な要素もデスメタルサウンドを形作る重要なピースであるはず。

本流のデスメタルを一切通らず、"メロデスがやりたくてメロデスを演っている" アーティストも数多くいるだろう。

むしろ、そういうアーティストの方が現代では多いのではないだろうか?。

別に、誰に影響を受けていようがいまいが、それはアーティスト側の自由であるし、そういった形で生まれたメロデスを否定するわけではない。

ただ、そういったアーティスト達が奏でるメロディックデスメタルが、自分の胸に刺さるということはない。

それだけはハッキリと断言できる。

自分が好きなメロデスは、根底に暴力性がしっかりとあった上での "泣き" を聴かせてくれるメロデスだ。

そこは多分、一生揺るがないだろう。

そんな感じで、自分の "メロデス感" をつらつらと語ってみたけれど、別にメロデスが嫌いというわけではなく、"好きなものがかなり限られている" といった方が正しいかもしれない。

同じ感覚を持っている人達がどれだけいるかは分からないが、少なからず似たような感覚を持った人もいるのではないだろうか?。

絶対、、多分、、きっと、、、恐らく(笑)。

"メロデス" と一言で言っても、その中でもかなり細分化されたスタイルが色々ありますよね。

やはり、メタルは複雑怪奇な音楽です(笑)。

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