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激人探訪 Vol.19 Yoshi(ZEN)~この世に無いものを創り出す~
どうも皆さん、YU-TOです。
発足から回数を重ねて来て、そろそろVol.20に突入しようとしている激人探訪。
個人的な目標数のVol.50への到達までは、まだ半分にも満たない数字ではあるが、協力してくれるアーティストと読んで下さっている皆さんのお陰で続けていく事が出来ている。
「YU-TOにこんな文才があったなんてな」的な事を、この激人探訪を始めてから色々な人に言われるようになった。
本当に自分に"文才"とやらがあるのかどうかは実際のところ分からないのだが、まあ人から言われるという事は、多少なりともセンスはあったのだろうとは感じている。
そして、その事に自分でも驚いているというか、「まさかこんな事で、、」という不思議な感覚にとらわれる事も無くは無い。
文章に関しては学生時代は文系であったし、「お前の読解力はとてつもない」と高校時代の国語教師から言われた事もあった。
雑誌などのインタビューで読み解けるアーティストの思考を探るのは子供の時から好きだったし、自分はあまり趣味が無い人間だが、読書(最近はもっぱらオーディオブック)に至っては、自分の数少ない趣味らしい趣味の1つでもある。
そんな事が積み重なった結果、この激人探訪が生まれたんだろうと最近は感じているし、昨今の世の中のせいで、もはや執筆の方がメインの活動のようになってしまっている状態である事も否めない(笑)。
しかし、ドラムと執筆の二足の草鞋を履ける人間はそう多くは無いと思うし、これも自分の個性というか、"圧倒的強み"の1つでもあると思うので、これからも継続して両方を続けていきたいと考えている。
さて、なぜ今回、冒頭から長々とこんな話をしたかと言うと、今回のVol.19のゲストは自分と同じように、音楽とは別の分野で"二足の草鞋を履いている"ゲストだからである。
今回のゲストは、国内を代表するシンフォニックメタルバンドの1つであるCROSS VEINのギタリストであるYoshi氏だ。
Yoshi氏はCROSS VEINのギタリストだけではなく、メインコンポーザーも務めている。
ツインギターとキーボードが折り重なって放たれる独自の世界観を持った壮大な楽曲を数多く生み出し、バンドのリーダーとして長年に渡ってCROSS VEINを牽引してきた。
また、Yoshi氏は楽曲制作だけではなく、バンドグッズのデザインや製作、アルバムのジャケットデザインまでをもこなすマルチなアーティストで、音楽面以外の部分でもCROSS VEINを支える、バンドにとっての"最重要人物"と言っても過言では無い。
しかし、"二足の草鞋を履く"と前述した通り、Yoshi氏のマルチなアーティストとしての才能は、音楽を超えた分野での活動でも生かされている。
それはYoshi氏の"もう1つの顔"である、"ZEN"としての活動だ。
【#ZENのバンブルビー 製作を振り返る ~その1~】
— ZEN (@MACARONIWARS) December 11, 2018
本日よりバンブルビーの製作ダイジェストをお送りしていこうと思います🐝"まずは完成形をどうぞ。 #東京コミコン2018 コスプレチャンピオンシップにて"東京コミコン賞"を頂きました! pic.twitter.com/bf3hmqLHAw
"ZEN"としてのYoshi氏は、彼が愛するSTAR WARSやトランスフォーマー、ターミネーターといったSF映画に登場するキャラクターに扮するコスチュームを0から自身で作り上げ、自らがその衣装を着て世間にアウトプットするといった活動を行なっている。
世間では"コスプレ"と呼ばれている表現活動だ。
"コスプレ"と呼ばれる活動は、一昔前であったら"オタク"と呼ばれるような人達しかやっていなかった表現手段であったが、もはやコスプレは日本独自の"文化"と呼んでも差し支えない程の存在になっていると思う。
しかし、一声に"コスプレ"と言っても、その表現のクオリティはシュールなものから異次元なものまで千差万別。
そんな中でも、ZENとしてYoshi氏が生み出すコスチュームの数々は、もはやコスプレという枠組みを超えて、"芸術"と呼んでも何ら問題は無いほどのクオリティを誇っている。
きめ細かい1つ1つのパーツや、金属の質感までをも再現したコスチュームはまさに"圧巻"の一言。
その実力を世間が認めない訳は無く、2018年に幕張メッセで開催された"東京コミコン2018"のコンテストにて、ZENは見事に優勝。
翌年の2019年に開催されたコンテストには、彼がSTAR WARSを愛するきっかけにもなった実のお父さんと共に参加し、TSUTAYA賞を受賞。
また、同年に公開された「ターミネーター:ニューフェイト」のオフィシャルイベントにも招待されるなど、その活動の幅を広げている。
Yoshi氏が"ZEN"としての活動を公の場で発表するのは今回が初めての事だ。
自分とYoshi氏は今まで面識は無かったのだが、STUDIO PRISONERのHiro氏から「物凄い才能を持った人物がいる」とYoshi氏を紹介して頂き、今回の激人探訪のゲストとして取材させて頂く事になった。
CROSS VEINは、来年の2021年2月3日に4枚目のフルアルバムとなる「Life of Veins」をリリースする。
従来のCROSS VEINの特徴であったシンフォニックなサウンドに、モダンな重心の低いヘヴィな質感が加わった作風で、バンドを新たなステージに引き上げて行くであろう意欲作だ。
CROSS VEINを長年に渡って牽引してきたYoshi氏は、この記念すべきタイミングでこれまでの活動を振り返り、何を思うのか?
彼がCROSS VEINのメンバー、そして1人のミュージシャンとして今後歩みたい未来はどんなものなのか?
そして、このタイミングでの初公開となる"ZEN"としてのYoshi氏。
"ZEN"としての活動がYoshi氏にもたらしたもの、そして"YoshiとZEN"の2つの顔は彼の人生において何を意味しているのか?
"CROSS VEINのYoshi"と"凄腕クリエイターZEN"
今回の激人探訪では、この2つの観点から稀代のマルチアーティスト、Yoshi氏を徹底深掘りしていこうと思う。
第1章 "手先を動かす"才能
Yoshi氏がギターを初めて手にしたのは高校生の時。
友達の付き添いで軽音楽部の見学に行った事がきっかけで、それまで音楽とは無縁の生活をしていたYoshi氏は音楽の道を志し始めた。
ただ、最初にYoshi氏が憧れた楽器はギターではなかったという。
当時、楽器は何も出来なかったんですけど友達に「ちょっと軽音部見に行こうぜ」と言われて行ったら、めちゃくちゃ上手いドラマーが部室にいて、「こんなカッコ良い楽器があるんだ!」と思ったんです。その時は確かX JAPANとか叩いてて、自分はメタルとか全然分からなかったんですけど、「こんな世界があるんだ!」と思って。最初はそれに憧れてドラムが演りたかったんですよ。
そんなドラムに憧れを抱いたYoshi氏であったが、"ドラム"という楽器は厄介で、"本物を家で叩く事が出来ない"という問題が常に付きまとう楽器だ。
Yoshi氏がドラムでは無く、ギターを手にしたのはそんな理由からであった。
憧れはあったんですけど、家にドラムってなかなか置けないじゃないですか?。いきなり電子ドラムというのも高くて買えないですし。ただ、軽音部の部室だったら使い放題なのでドラムが触れる。でも楽器が出来ないと軽音部には入れないので「家で出来る楽器って何だろう?」と考えた時に、ギターを買って触ってみたら、めちゃくちゃ面白かったんです。ドラムがやりたくて軽音部に入ったのにそのままギターにハマっちゃいました(笑)。
自分も経験がある事なのだが、最初に「演りたい!」と思った楽器の妥協案で手にした楽器というのは、あまり長くは続けられないという事も多い。
割と最初に抱いた気持ちを忘れられず、結局は本当に演りたかった楽器に戻ってきてしまうというケースが多いと思うのだが、Yoshi氏の場合、妥協案で手にしたギターに見事にハマってしまった。
それは、ギターという楽器が持つある特性が、Yoshi氏が先天的に持っていた能力と合致した為だ。
子供の頃から"手先を動かす事"が凄い好きだったんです。小さい頃に折り紙から始まって、それも簡単なものじゃなくて大きい恐竜の骨格だったり、ビーズでマスコットを作ったりだとか。そんな流れでギターにハマったのもあると思うんです。ギターも手先を使うものじゃないですか?。"音を出せると同時に手先を動かせる"というのでハマりましたね。とにかく手先が器用だったので「仕事もいずれは物作り系になるんだろうな」と、小さい頃から思っていました。
"ZEN"として物作りを行うYoshi氏の片鱗は、彼が幼い頃からもう既にあり、そしてその"手先を動かす事が好き"という特性は、彼がギターに開眼するきっかけにもなった。
そんな精巧な手先の技術を幼い頃から持っていた若かりし頃のYoshi氏は、その特性を生かした様々な将来を模索していく事になる。
将来は物作りの方面に進もうと思っていたので、高専~大学まで工業系に通っていました。建築の勉強を7年して、建築家を目指していたんですけど、その時期に軽音部に入ってギターと出会って、音楽と建築の道でとても悩みましたね。そこで「物を作れる音楽の業界ってないのかな?」と考えた時に、ギタークラフト(訳注:ギター製作)って自分にぴったりだなと思って、大学卒業後にESPクラフトアカデミーに入学して、クラフトマンを目指しました。でも、同時にCROSS VEINが一番伸びた時期でもあったんですよ。そこでまたクラフトマンになるのかプレイヤーになるのか悩んだのですが、CROSS VEINの方が将来が見えたというか、良いメンバーも揃っていたし、「プレイヤーとして大きくなりたい」という気持ちが勝りました。物作り、物作り、物作りとずっとやって来て、最後にプレイヤーの道に飛び込むのはかなり勇気がいりましたが、お陰で今の自分がありますね。
大学卒業後、本腰を入れて学んだギタークラフトの道には敢えて進まずに、Yoshi氏はプレイヤーとしての道を追求し始めた訳だが、Yoshi氏をその道に突き動かしたのは彼も語っている通り、CROSS VEINの存在だ。
子供の頃からYoshi氏が持っている、手先を器用に動かし、精巧な創造物を生み出していけるという能力は、"音"という手に取れない存在を扱うプレイヤーの能力とは、ある意味真逆とも言える。
しかし、"何かを創造する"という部分においては音楽を作る事も物を作る事も変わらない。
Yoshi氏は、"物作り"のフィールドをより本格的に"CROSS VEIN"という場所に移し、今度は"音"という分野でも彼の創造性を発揮させていく事になる。
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