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【物語】流星雨

友達のヒロくんと星を見に行った。
ヒロくんは星が大好きで、部屋には大きな望遠鏡がおいてある。いつか宇宙船に乗って星空を旅するんだ。空を見上げては、そう夢を語っていた。

学校の近くにある小高い丘の上で、ふたりで夜空を見上げた。晴れわたった空には、たくさんの星が瞬いていた。

「きれい……」
ぼくの口からは、その言葉が自然と漏れた。空は広く、どこまでも星がある。どこまでもどこまでも。
「今日は特別な日なんだ」
ヒロくんは、そう言ってにこりと笑った。ヒロくんが嬉しそうなのが、ぼくは嬉しかった。

ぼくらが空を見上げて、しばらくすると、夜空の真ん中を星がひとつ流れた。「あ!」と思ったと同時に、星は流れて消えた。
「願い事、できなかった?」
ヒロくんが、ぼくをのぞきこんだ。ぼくは俯いたまま、うなずいた。せっかくの流れ星なのに。ぼくは、少し残念な気持ちになった。

「大丈夫だよ」
ヒロくんは、満天の星を見上げて両腕を広げた。
「もうすぐ、ボクの願いが叶うから」
「え?」
ヒロくんは、気持ちよさそうに腕を広げ、星空の下で立っている。願いが叶うのを待っているように、ぼくには見えた。

「ほら!」
ヒロくんが、空を指さした。ぼくは、夜空を見上げた。宇宙の色をした空に、たくさんの星が流れはじめた。いくつもいくつも。光の雨のように。
「すごい」
ぼくは、瞬きするのも忘れて、空を見つめた。

「今日は、ここを流星群が通る日なんだ」
流れる星を見ながら、ヒロくんはぼくに言った。星が降る空を、ふたりで見上げた。ヒロくんの願い事は、ぼくと流星群を見ることだった。その願いは、流れ星が叶えてくれた。

ヒロくんは、嬉しそうにぼくを見た。
「これで、願い事できるね」
ヒロくんの笑顔は、流れ星を受けとったように輝いていた。

ぼくは、そっと目をとじた。それから、心の中で願い事を星に伝えた。
『ヒロくんと一緒に、宇宙船で星空に行けますように』


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