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新しい資本主義のあり方:なぜジョブ型雇用を推進するのか

こんにちは。業務可視化・改善コンサルタントのスズキユウです。

ジョブ型雇用制度を導入する企業が増加しています。
欧米型の雇用制度であるジョブ型雇用制度は、いわゆる日本型の終身雇用制度に基づく人材育成スキームと相反する制度であり、これまでもERPパッケージ導入やタレントマネジメント導入においても鬼門とされる制度・考え方でした。それがなぜ今真剣に議論されているのでしょうか。


生産性向上:ドイツ型労働モデルへの期待

前項で述べたとおり、日本は少子高齢化・人口縮退という状況下にあり、労働力の不足が深刻な課題となっています。
この課題に対する政策として、リスクキリングによる人的資源の再配置の他、外国人労働力の受け入れが議論されています。
外国人労働者の受け入れについては賛否両論あり、特にデメリットの部分で慎重な議論が必要です。しかし、この外国人労働力によって成果を出している国がドイツであり、日本の将来の選択肢の参考として研究が進んでいるのです。

日本生産性本部「生産性年次報告2023」より引用

先進国生産性ランキングの上位にアメリカとドイツがありますが、この2国はいずれも多国籍・多民族の労働者が多いという共通項があります。

労働政策研修・研究機構「データブック国際労働比較2024」より引用

このように先進国ではドイツの外国人比率が高く、アメリカは一見低く見えるものの実態は多彩な民族・文化・人種が混在している労働環境にあります。

日本はこれまで外国人比率はかなり低く推移していますが、将来の生産年齢人口を考慮すると、競争力を維持するために外国人労働者を受け入れる選択肢も検討すべき状況にあります。
この課題の先行事例が外国人労働・短時間労働・ワークシェアリング等で成果を出しているドイツ型の労働モデルなのです。

多様性のある労働を実現する土台づくり:業務のモジュール化

実は、生産性ランキング上位のアメリカとドイツはBPMの先進国でもあります。多様性のある労働力を活用して成果を出すには業務をモジュール化・機能化し、ITによって自動化・効率化して可能な限り人間に依存する作業を少なくする必要があるためです。

業務をモジュール化・機能化するということには、成果を出すためには業務遂行に必要な要素が全て明示され、業務実施に必要な能力・資格を持つ人材を配置しないといけないという役割ベースの考え方が基準になります。これが役割に対して人材を割り当てるジョブ型雇用の考え方です。

ジョブ型雇用を実現するためには、業務をモジュール化しそれぞれに責任者・担当者、成果物、業務遂行に必要な手順・道具等の要素を明確にする必要があります。
つまり、必然的にBPM:業務プロセスを定義し管理する土壌が出来上がるのです。逆説的にジョブ型雇用を導入するにはBPM:業務プロセスの定義
が必要になります。
業務プロセスの定義・分析についてはこちらの記事が参考になると思います。

ジョブ型雇用を導入する方法

ジョブ型雇用の導入は、内閣官房「新しい資本主義」の中でも取り上げられ、企業における導入事例が公開されている注目度の高い施策です。
BPMを支援している私達からの、ジョブ型雇用の下準備をお伝えしたいと思います。

①業務のモジュール化:業務プロセスの定義
まず第一に業務を可視化し、プロセスを定義します。ここで重要なことは、アウトプット(業務の成果物)の定義とアウトプットを作成するためのインプット(前工程の成果物、業務開始のきっかけ等)、成果物を作成するための要素(道具・情報・人的資源・能力・資格)、プロセスと業務成果物の品質に対して責任を負うプロセスオーナーを定義することです。

②業務遂行に必要な能力の可視化
プロセスが定義できたら、業務成果物を作成するための手順・能力・資格・道具を可視化して明確にします。すなわちジョブディスクリプションです。

業務のモジュール化と一口に説明しましたが、実際は可視化の軸となる職位や職務分掌によって粒度が不揃いになります。可視化粒度を統一するための考え方はこちらの記事を参考にしてください。

業務のモジュール化、プロセスオーナーの定義は前項(リンク)で紹介したCXでも重要な要素として取り上げられている内容です。また、その実現方法はこれまで私が紹介してきたBPM/BPRの手法そのものです。

一見して別世界の議論に見えるこのテーマは、元を辿れば日本の人口縮退・競争力の低下という問題に根ざしており、解決策はBPM/BPRの実施に求められます。
ジョブ型雇用制度の導入を検討されている方は私のこれまでの業務プロセス可視化・改善の記事をご覧いただけますと幸いです。


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