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【解説】業務改善(BPR)の進め方

こんにちは、業務可視化・改善コンサルタントのスズキユウです。

私がコンサルタントとしての活動を始めて10年近く経ちますが、ここ数年の業務可視化・改善のお問い合わせ増加には目を見張る思いです。

今回は、業務可視化・改善コンサルタントとして業務改善(BPR)の進め方
を紹介したいと思います。


現状を把握せずに改善はできない

業務改善の手法は、これまで様々な媒体で紹介がされています。中にはあるべき姿を先に描き、それを実現すべきと言ったような意見もありますが、私は新規事業企画でもない限りそのような手法には反対です。

なぜなら、今行われている業務は先人の知恵と工夫の積み重ねであり、その歴史を否定することはできないからです。

今起きている問題は、環境が変わったことによってそれまでのやり方が合わなくなってしまっているケースがほとんどです。従って、自分たちが今どのような手順で業務を行なっているのかを可視化し、本来はどうあるべきか、現在の環境に対して自分たちはどうしたいのかを考えるべきです。

業務改善とは、あるべき姿に対して現在のやり方がうまく行っていない部分を最適化していく活動を意味しています。


あるべき姿とは何か

あるべき姿とは具体的に何を指すのでしょうか。

あるべき姿とは、業務に課せられた要件を満たす手順と言い換えられえます。

業務に課せられた要件(業務要件)とは、例えば以下のようなものです。

お客様から受領した注文メールを、

  • 一人の担当者が

  • 受領から30分以内に内容確認を完了し

  • 内容に問題がなければ基幹システムに登録する

  • 正常ケースでの受領〜登録までの手順は1時間以内に完了する

  • 1日あたり約100件発生する注文を当日のうちに受注登録できるようにする

上記の例では注文受付を例に取りましたが、この作業の目的は1日あたり約100件発生する受注登録を当日内に完了するために、1件あたりの作業を速やかに行うことで、業務の成果物は基幹システムに登録された受注情報です。

実際の業務では、このように支持されることが多いのではないでしょうか。

「生産効率を上げるために、受注処理を効率化せよ」

多くの場合、「あるべき姿」は非常に曖昧な形で提示されます。私たちは曖昧なイメージを具体化する必要があるため、以下のように置き換えています。

業務の目的>業務成果物への要求事項>業務プロセスへの要求事項

業務の目的を達成するために個々の業務プロセスが達成しなければならないこと、これが「あるべき姿」なのです。


問題分析のコツ

業務上の問題を収集するにはヒアリングによる調査が一般的です。しかし、単に問題を収集しても粒度や観点がバラバラであるため、問題の整理に時間を要してしまいます。

私は、問題の可視化・整理においてぎ業務プロセスフロー上に問題を可視化する手法を推奨しています。業務プロセスフロー上にマッピングすることには以下のメリットが存在するからです。

  • 業務のどの箇所でどれだけの問題が発生しているかを把握できる

  • 業務の仕組み上、問題が発生しそうな場所を特定することができる

  • 問題の真因を探ることができる

業務の問題は、大きく分けて以下の2つに分類することができます。

  1. プロセス内の問題:人員・ツール・作業手順の問題

  2. プロセスにまたがる問題:仕組み・制度・業務構造による問題

大抵の場合、プロセス内の問題は自発的な改善活動で対応されているケースが多いのですが、プロセスにまたがる問題は手付かずになっていることが多くあります。

対応されずに残っている問題は、多くの場合その真因が業務プロセスの上流に存在しています。業務プロセスフローにマッピングすることで、そのような問題の真因を探ることが可能になるのです。


改善施策の立案

問題を分析し、真因を探り当てたら、改善施策の立案を行います。

この時気をつけなければならないことは「目的達成のために最も有効な手段を検討する」ということです。

最近ではDXブームもあって、手段ありきの改善施策を検討される方が少なくないように思えますが、そのような考えは避けるべきです。

なぜならば業務プロセスはお互いに影響しあっているため、中途半端な改善対応は別のプロセスで別の問題を引き起こす可能性があるからです。改善施策は業務プロセス全体を見ながら業務要件を満たす最適な手段を検討すべきなのです。


改善の実施において重要なこと

改善施策を実行する上で最も重要なことは、関係者との情報共有です。

特に現場担当者とは改善の真因や施策の内容、具体的な手段を共有しないと業務改善は成功しません。

現場担当者との情報共有に有効な手段としては、業務プロセスフローの共有が挙げられます。

現場担当者にとって、慣れた作業手順を変更させられる業務改善は迷惑でしかありません。そのような感情をプラスに変えるために、改善施策が現場担当者にとってもメリットがあることを示す必要があるのです。

その点で業務プロセスフローは問題・改善施策・具体的な作業手順がわかりやすく図解されているため、関係者間で意図を共有する方法として優れています。

また、改善実施の結果発見された新たな問題についても、業務プロセスフロー上にマッピングすることで場所・数・内容を共有できるため、現場と協力しながら対応にあたることが実現できるのです。


改善の評価について

業務改善は必ず結果の評価が必要です。

評価の方法は様々ですが、今回はプロセス評価を例に取って説明したいと思います。

プロセス評価とは、業務プロセスに求めている業務要件に対して実行結果を比較する方法です。

先ほど挙げた受注登録を例にとると、業務要件は以下のようにまとめられます。

  • 受注連絡受信から受注登録まで1時間以内に完了する(時間)

  • 1日約100件の対応を可能とする(件数)

  • 担当者xx人で実施(原価コスト)

これらの業務要件に対して、プロセス実行結果をKPIとして評価し、要求事項を満たしているのかを評価するのです。

多くの場合、BPMツールではこの評価指標をダッシュボード表示し、状況を監視できるような機能を搭載しています。

業務改善の実施後は業務プロセス管理(BPM)に移行します。継続的な監視と発見、新たな業務改善を繰り返していくためにも、改善施策を実行することでどのような効果があったのかを把握する必要があるのです。


いかがでしたでしょうか。

今回は業務改善の進め方をステップごとに解説させていただきました。

今回説明したすべてのステップをワンストップで実現できるiGrafxについては、こちらの記事で紹介しています。

業務改善事例も紹介しています。よろしければご覧いただけますと幸いです。


用語解説に戻ります。


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