進まない「業務改善」から「最適化」へ意識を変えよう
はじめに
こんにちは。業務可視化コンサルタントのスズキユウです。
私が業務可視化ノートに業務可視化やBPMNの記事を投稿してから数年が経ち、国のデジタル化方針としてBPR(業務改善)の徹底や、業務可視化の標準記法にBPMNが採用される等、当時の様相から大きく前進したように感じています。
私たちの働き方はコロナ禍においてテレワークの浸透等、DXが実現したケースも確認できるようになりました。
BPMの分野でもプロセスマイニング等の技術が浸透し、ローコードやAIとの連携により業務改善の選択肢と効果が飛躍的に進歩している状況です。
今回、改めて業務可視化・改善やDXについて、背景や目的、具体的な実現方法等を体系化して説明したいと思いました。
テレワークの浸透のように私たちが意識せずにDXを実現している一方で、依然としてDXについての誤解や私たちから見て本質的ではないアプローチをとられているケースが散見されます。
私たちもこの数年で様々な知見を得ており、その小まとめとして現時点で私たちが考えるBPR(業務改善)、DXをお伝えしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
進まない業務改善、「今の仕事の仕方が悪い」と低評価されてしまう?
先日、とあるお客様先で業務改善のセミナーを実施したときのことです。先方の事務局の方にふと告げられた言葉が私には衝撃的でした。
「皆さん、業務改善のセミナーには積極的に参加してくれるのですが、いざプロジェクト化しようとすると及び腰になってしまうのです。どうやら業務改善するということは今の自分の業務のやり方が悪いと低い評価がされてしまうと思われているようです。」
業務改善の対象になると自分の評価が下がってしまう。その考えは業務改善を生業としている私たちには思いもつかなかったことで、新たな気づきでした。
もしかすると、業務改善やDXがなかなか進まない理由はこの考え方にあるのかもしれない。言葉が想起させるイメージから離れて、改めて私たちがどんな考えで業務改善を支援しているかを考えてみたいと思います。
業務改善とは、業務を最適化すること
私たちは業務可視化・改善のコンサルタントとして多くのお客様の支援をさせていただきました。その経験から間違いなく言えることは「日本人は業務改善が得意」ということです。
世界的に見ても日本人ほど自分たちの仕事に勤勉な人はいないと思います。誰も何も言わなくても、自分たちの業務の成果が出るように自ら工夫して取り組まれる方がほとんどです。このような話をすると不思議な顔をされるのですが、皆さん自分自身を振り返ってみてください。手順が決まっている仕事でも早く終わるように、ミスしないように、評価が下がらないように何かしらの工夫をされているのではないでしょうか?この工夫こそが業務改善なのです。自らの目的に対して、環境に合わせて自分の仕事の進め方を最適化しているのです。
私たちがお客様にお伝えしている業務改善とは、このような業務の最適化を指しています。皆さんの行っている業務は、先人の工夫の積み重ねの結果です。これを最新の状況に合わせて、最新の技術を取り入れながら「最適化する」。その方法をお伝えしたいと思います。
業務の最適化に必要なこと
業務を最適化するにあたってまず行うべきことは、その業務の目的を明確にすることです。業務の目的といってもすぐに答えることは難しいかもしれません。ここでは業務の目的は業務で作成する書類等の成果物と定義します。
皆さんの業務を振り返っていただきたいのですが、皆さんの業務は大抵、何らかの成果物を作成していて、最後にその内容について上長の確認・承認を得ているのではないでしょうか。書類以外でも、例えばメールを送信したり、物品を発送したり、データをシステムに登録したり、あるいは情報を取得した場合でもその結果を誰かに報告して確認してもらっているのではないでしょうか。つまり大抵の業務には成果物があり、その成果物を上長に確認・承認してもらっているのです。この成果物を作成することが「業務の目的」です。そして、業務は目的を達成するために手順を踏んで行われているのです。
業務の最適化とは、目的を達成するための手順を最新の状況に合わせて、最新の技術やサービス・道具を使って、より正確で速く、楽に実行できるように考え直すことです。そのためには業務の目的(成果物)と目的達成の手順(作業手順)を明確にしなければなりません。だから業務可視化が必要なのです。
私たちがお客様にお伝えしている業務可視化とは、この目的と実現手順を見える化することを指しています。
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