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サマリア分類支援機能を特許情報分析に活用してみた

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以下の展示会に筆者も説明員として参加します。ぜひお越しください!


はじめに

特許情報分析、特に技術動向分析は、

  • 市場全体が技術的にどのような方向に進んでいるか

  • 他社競合がどのような技術を持っているか

  • その技術はどのような課題や効果があるか

などいわゆる特定技術範囲における技術の動向をを知る必要がある。

特に上記目的において工数がかかるプロセスは、

  • 技術体系を理解(どのような技術があり、上位〜下位概念の理解)

  • 技術動向の把握を行うために、自分(自社の)目的に合わせて分類を構築

  • 分類を付与し、可視化する


である。
確かに、IPC、CPC、FI、Fタームを活用する方法もあるが、自社の目的・技術状況に合わせた分析を行う上では、技術分類がマッチしないことがある。

  • 国際特許分類 IPCなどの公的な特許分類

    • 長所:世界中の特許情報を統一的かつ効率的に分類し、検索しやすくするために作られており、そのまま分類として分析使える

    • 短所:技術概念の粒度が(自社)分析とマッチしないことがある

  • 自社分類

    • 長所:技術概念の粒度が(自社)分析がマッチし、考察の確度をあげることができる

    • 短所:技術体系を理解し、分類を構築するコストが高い


さて、このコストの高い自社分類をサマリアで簡単にできるということだったので、使用感を知るべく、検討を行った。
サマリアとは、特許文書読解アシストツールであり、それ以外にも、技術分類を構築アシストや分類付与までしてくれる。


また、知財実務における生成AI利活用の特許3件取得しているようである。加えて、2024知財情報フェア&コンファレンス出展も予定しているとのことで、皆様にもぜひブースに遊びにきていただきたい。



特許情報分析の目的

特許情報分析の目的を設定しておく。

  • 未知の技術領域であるAR/VRの技術動向(今回は国内に限定)を企業、技術概念、時間的推移の観点で把握する。


検索式

特許分析をする上で自社分類付与をするのと同様にコストが高いのは、検索式作成である。これもGPTで解決でき始めている。技術動向調査を行う上でとても十分な作成能力がある下記GPTをぜひ使っていただきたい。今回はこちらを活用していく。

検索式の対象を以下のようにGPTに伝えた。

特許データベースでは、J-Platpatを使用するため、検索式は以下の通りとなった。

[(VR+仮想現実+バーチャルリアリティ+バーチャル環境+仮想環境)/AB]*[(AR+拡張現実+オーグメンテッドリアリティ+実世界拡張+リアルタイム情報重畳)/AB]+[(G06T19/20+A63F13/12)/IP]*[(AR+拡張現実+オーグメンテッドリアリティ+実世界拡張+リアルタイム情報重畳)/AB]+[(VR+仮想現実+バーチャルリアリティ+バーチャル環境+仮想環境)/AB]*[(G06T19/30+G02B27/01)/IP]

特許権利化作成GPTより


サマリアの一括処理ツールと分類支援

サマリアは、特許読解の支援の機能の中に、4000件の特許を一括で処理する機能と、分類構築を支援する機能がある。

今回は、この一括処理ツールを利用する。


分類展開

一括処理機能を選択し、分類支援のタブを押す。(下図の通り)

今回は、AR,VR技術の技術体系、機能、そして効果がわからない素人という設定なので、まずは「発明の用途,技術課題,解決手段,発明の機能,発明の効果」を読み取ってもらい、自社分類の軸となるものを捉えていく。

その後、特許リストを読み込ませる。


処理を開始、処理ステータスがわかるのもとても良い。


処理結果は、Excelに出力ができ、すぐに分析に使える。


分類支援の出力結果

上図のように一つの特許に対して、読み取った「発明の用途,技術課題,解決手段,発明の機能,発明の効果」から技術を定義、分類してもらうことができた。


分類付与(分類定義の作成)

この内容を使って、技術概念を把握し、自分で技術分類を定義してもよい。
今回は、多く出てきた分類を概念的にもう少しまとめてもらい、そのキーワードを用いて、分類定義の作成をサマリアにしてもらう。


以下の技術内容を、上位概念化し、クラスタリングした。

1. VR/AR/MRおよび関連技術
VR技術・デバイス: VR技術、VRゴーグル、VR/AR/MR環境、VR/AR適用、VRユーザ、VRモード、VRコンテンツ、VR視聴、VR体験、VR体験中計測、VR表示、VR伝送、VR酔い軽減、VR合成、VR-AR共有、バーチャルリアリティ、仮想現実
AR技術・デバイス: AR技術、AR/VR、AR/VRシステム、ARゴーグル、ARデバイス、ARディスプレイ、ARコンテンツ、AR表示、ARカメラ、ARユーザ、ARマーカ、ARモード、AR適用、ARアンカーポイント
MR関連: VR/AR/MR装置、AR/VR/MR環境、クロスリアリティ、XR環境
体験向上技術: 没入感、可視化、インタラクティブ要素、ジェスチャー操作、ジェスチャ認識、アバターデータ、アバター制御、アバタ選択、仮想現実体験
2. 3D/空間技術
3D技術全般: 3D技術、3D空間、3次元仮想空間、3次元環境、3次元データ、3次元再構成、3次元視覚、3D座標、3Dレンダリング、3D視覚化、3D表現、3D視覚レンダリング
3Dオブジェクト・環境: 3Dオブジェクト、3Dマップ、3Dライブビュー、3D環境、3D再構築、3D深度、3Dサウンド効果、3次元音響
3Dアプリケーション: 3Dプレゼン、3Dビデオ、3D線グラフ、3次元表示、3次元表示形式
3. 映像・視覚技術
映像技術全般: 映像取得、映像処理、映像提示、映像ストリーム、映像音響再生、映像重ね合わせ、シームレス映像、映像遅延、映像提示装置、映像伝送、ライブ映像、リアルタイム映像、リアルタイム表示、360度ビデオ、360°ビデオ
表示デバイス・技術: ディスプレイ、ディスプレイデバイス、ディスプレイシステム、ウェアラブルディスプレイ、ヘッドマウントディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、タイル型ディスプレイ、ニア・アイディスプレイ
カメラ・撮影技術: カメラ、360度カメラ、カメラパラメータ、カメラ移動、カメラ視野、カメラ装置、カメラワーク、カメラベース
4. 音響・オーディオ技術
音響技術: 音響性質、音響漏れ、音響性質決定、サラウンドサウンド、3Dサウンド効果、音声合成、音声修正、音声出力、オーディオレンダリング
オーディオ・サウンド技術: オーディオデバイス、オーディオ視覚効果、オーディオストリーム、オーディオ通信、バイノーラル録音、サウンドエフェクト、オーディオビジュアルコンポーネント、シネマオーディオ、シネマスピーカ
5. センサ・データ処理技術
センサ技術: センサ、IMU、センサデータ、センサ使用、センサフュージョン、ジャイロスコープセンサ
データ取得・処理: データセンタ、データ構造、データ信号、データ分析、データ配信、インスタンス分割、インターフェース装置、センサI/Oデバイス
測定・追跡技術: ユーザ追跡、ユーザデバイス、ユーザ情報取得、ジェスチャー入力、ジェスチャー操作
6. バイオ・医療技術
免疫療法関連: CAR T細胞、CAR-T細胞、CTLA4阻害剤、PD1阻害剤、T細胞エピトープ、EBVワクチン、HCV検出、CTC検出、PET-CT診断、ワクチン
遺伝子関連: 遺伝子サイレンシング、遺伝子群、shRNA
医療機器: インビトロ試験、ナノ粒子、ナノワイヤ、ナノコンポジット
7. インターフェース・通信技術
ネットワーク通信: IoT機器、ネットワーク接続、ARPリクエスト送信、VPN、OS起動前情報、クラウドベースの分析、ネットワーク適用
インターフェース技術: ユーザーインターフェース、UIデザイン、ジェスチャー操作、リモート制御、コンテンツ表示、アプリケーション制御
8. ハードウェア・素材技術
ハードウェア: GPU仮想化、HMDシステム、コンピュータネットワーク、プロセッサ、LSTMセル、CMOS技術
素材関連: (メタ)アクリル系樹脂、ポリマー、ナノ素材、フォトニック結晶、メタレンズ、液晶素子、圧電素子

※分類展開の結果をそのまま、分類定義の用語に用いると、文字数超過となるため、上記の処理をしている。
しかしながら、用途や効果などで切り分けて入力すればトークン数は問題ないのでこの作業は必要ないが、技術領域を全く知らないという前提のためすべてをコピペした。



GPTにクラスタリングをしてもらい、キーワードを減らしてもらった。



処理後、分類定義のための「用語欄」に入力した


入力した結果、下記の分類定義を出力してくれた。(サマリアすごい。。。)


アウトプット詳細は下記。

#大分類1: ディスプレイ技術
#大分類1の定義: 視覚情報を表示するための技術。2Dや3D表示、拡張現実や仮想現実のディスプレイ技術を含む。
#小分類1-1: 2次元表示
#小分類1-1の定義: 平面的な画像や映像を表示する技術。
#小分類1-2: 3D表示
#小分類1-2の定義: 立体的に見える画像や映像を表示する技術。
#小分類1-3: ARディスプレイ
#小分類1-3の定義: 現実世界にデジタル情報を重ねて表示する技術。
#小分類1-4: VRディスプレイ
#小分類1-4の定義: 仮想現実の世界を表示する技術。
#小分類1-5: ヘッドマウントディスプレイ
#小分類1-5の定義: 頭部に装着して使用するディスプレイ技術。

#大分類2: 音声・オーディオ技術
#大分類2の定義: 音声や音楽を処理・再生するための技術。3Dサウンドやサラウンドサウンドなどの技術を含む。
#小分類2-1: 3Dサウンド効果
#小分類2-1の定義: 立体的に音を感じさせる音響技術。
#小分類2-2: サラウンドサウンド
#小分類2-2の定義: 複数のスピーカーを使って音を包み込むように再生する技術。
#小分類2-3: オーディオストリーム
#小分類2-3の定義: 音声データを連続的に配信する技術。
#小分類2-4: オーディオデコーダ
#小分類2-4の定義: 音声データを再生可能な形式に変換する技術。
#小分類2-5: 音声合成
#小分類2-5の定義: テキストを音声に変換する技術。

#大分類3: カメラおよびセンサー技術
#大分類3の定義: 画像やデータを取得するための技術。カメラや各種センサーを用いた技術を含む。
#小分類3-1: 360度カメラ
#小分類3-1の定義: 全方向の画像を撮影できるカメラ技術。
#小分類3-2: LIDAR
#小分類3-2の定義: 光を使って距離を測定するセンサー技術。
#小分類3-3: イメージセンサ
#小分類3-3の定義: 光を電気信号に変換するセンサー技術。
#小分類3-4: モーションキャプチャ
#小分類3-4の定義: 動きをデジタルデータとして記録する技術。
#小分類3-5: ジャイロスコープセンサ
#小分類3-5の定義: 回転や傾きを測定するセンサー技術。

#大分類4: VR/AR技術
#大分類4の定義: 仮想現実や拡張現実を実現するための技術。VRゴーグルやARコンテンツなどを含む。
#小分類4-1: VRゴーグル
#小分類4-1の定義: 仮想現実を体験するためのヘッドセット。
#小分類4-2: VRモード
#小分類4-2の定義: 仮想現実を表示するためのモード。
#小分類4-3: ARゴーグル
#小分類4-3の定義: 拡張現実を体験するためのヘッドセット。
#小分類4-4: ARコンテンツ
#小分類4-4の定義: 現実世界に重ねて表示されるデジタル情報。
#小分類4-5: VR/ARアプリ
#小分類4-5の定義: 仮想現実や拡張現実を体験するためのアプリケーション。

#大分類5: コンテンツ生成・処理技術
#大分類5の定義: デジタルコンテンツを生成・処理する技術。3Dレンダリングやメタバース環境の構築などを含む。
#小分類5-1: 3Dレンダリング
#小分類5-1の定義: 3Dモデルを画像や映像として生成する技術。
#小分類5-2: 3Dビデオ
#小分類5-2の定義: 立体的な映像を生成・再生する技術。
#小分類5-3: コンテンツ生成
#小分類5-3の定義: デジタルコンテンツを作成する技術。
#小分類5-4: デジタルオブジェクト
#小分類5-4の定義: デジタル形式で作成された物体。
#小分類5-5: バーチャルイメージ生成
#小分類5-5の定義: 仮想的な画像を生成する技術。

階層表記もしてくれる。


分類付与(分類付与)

分類定義で作った定義をテンプレート化し、

今回は、同じ母集団だが、新しい母集団などに今回の自分が作った分類を付与することができる。質問テンプレートを選べば、すぐに前回の定義が使える。

特許リストを読み込ませる。


処理が開始される。


出力結果

アウトプット結果は以下の通りである。ピポットテーブルによる処理は特許情報分析の基本であるが、サマリアの出力はピポットテーブルにすぐに変換できる。

こちらのように、1特許に対して、複数分類が付与されている場合でも、1行ごとに出力されていることがわかる。

サマリアの出力結果の日ポッドテーブル処理に適している点

  • 出願年が出願日から出力されている

  • 出願人と発明者が筆頭処理されている

  • 1特許に対して、複数分類が付与されている場合でも、1行ごとに出力されている


ピポットテーブル処理

今回は皆が無料でGoogle のスプレッドシートでピポットテーブルを処理する。

例えば、出願数の出願推移(出願年)のマップ(下図)の通りのものを作る場合、

列に出願年、値に出願番号を入れる。

分類付与の影響で出願番号が複数あるため、「COUNTUNIQUE」を使用する。


この通り、サマリアの出力がピポットテーブルに合っているため、楽にマップが描ける。



特許情報分析(アウトプット例)

得られた出力から、エクセルを駆使して特許マップの例を作成した。

サマリア特有のマップ

中分類ランキング
小分類ランキング
小分類ランキング×出願年
出願人×中分類


出願数推移×小分類

一般的なマップ

出願人ランキング(筆頭)
発明者ランキング(筆頭出願数推移×小分類
出願数推移(出願年)



まとめ

いかがだっただろうか。自分のサマリアの分類支援機能の使い方のフローは下記の通りだ。


特許情報分析において、自社分類を作成し、それを特許に付与することにかなりのコストがかかっていたが、サマリアを活用することでかなりのコスト削減を期待できた。(分類展開〜マップ作成までおおよそ1時間くらい?)

高度な分析もサマリアで1時間くらいですぐできる、そんな光景は既に来ているのでは?と思えた検討だった。

以上

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