国内の代替肉技術動向についての俯瞰
初めに
代替肉についてニュースが多くなっていると感じたので、気になって簡単な調査・分析を行なった。特許分析も行い、技術動向の俯瞰を行っていきたい。
代替肉とは
代替肉(だいたいにく)とは動物を屠殺・食肉処理した通常の肉ではなく、大豆など植物性原料を使い肉の味や食感を再現して作られた、肉の替わりとなる植物ベースの食品である。
フェイクミート、大豆ミート、大豆肉、ソイミート、疑似肉、植物性タンパク、アナログミートなどとも呼ばれる。日本でも2019年ごろから代替肉は拡がりを見せてきている。
2020年時点での代替肉は割高となっているが、市場が拡大するにつれて価格は安くなることが予想される。コストコは2024年までに少なくとも一つの代替肉製品は肉と同等の値段、あるいはそれより安く販売すると約束している。
また本来の肉でも動物の飼育を伴わない培養肉(人工肉)の開発も進んでおり、世界人口の増加や畜産に伴う環境負荷、動物倫理などの解決策として注目されている。(wikipediaより)
大豆が代替として使用されることは有名だが、培養肉も技術が進んでいるようだ。
前調査
・市場性
世界の代替肉の市場規模は、2028年までに43億6000万米ドルに達すると予想されています。市場の主な促進要因として、ビーガン食・ベジタリアン食に切り替える消費者の増加や、食品安全性の強化の必要性、製品改良の成果、可処分所得の上昇などが挙げられます。製品別では冷凍食品が、原料別では大豆ベース製品が、流通チャネル別ではオンライン販売が大きく成長すると見込まれています。地域別では米国が最大の市場で、今後も大きく成長する見通しです。
(代替肉の世界市場:市場シェア・規模・動向、業界分析 (製品別・種類別・原料別・形状別・流通チャネル別・地域別)、部門別予測 (2021年~2028年)より)
・ソリューションとしての代替肉
代替肉は大きく以下の課題を解決すると言われている。
・環境問題(畜産業のCO2の発生、水の問題、森林破壊など)
・食料問題
・ビーガン、ベジタリアンのニーズへの供給
・健康意識の高まり
これらの課題を解決する中でも技術的に、市場的に多くの課題があるようだ。
・肉の味・見た目に近づけること
・植物肉では、生産量産化方法・コスト など
・培養肉では、生産量産化方法・コスト・倫理観・安全性などの法規制など
・代替肉に取り組んでいる日本企業
こちらの記事では、代替肉に取り組んでいる日本メーカーが紹介されている。
日本の代替肉ベンチャー
・ネクストミーツ株式会社(東京)
・DAIZ(熊本)
・グリーンカルチャー株式会社(埼玉)
・インテグリカルチャー株式会社(東京)
・ベジタリアンブッチャージャパン
大手
・マルコメ
・日本ハム
・伊藤ハム
・森永製菓
・大塚食品
・不二製油
簡単に製品内容を見ていると、多くは植物性の代替肉を使用してる印象(似たような技術が多い)を持った。この状況下で、商標などはしっかりと取得しているであろうが、発明として特許を持つことがあるのだろうか?
ここからは、特許情報を見ていく。
検索式立案
1時間の制限で、調査を行い、技術マトリクスマップを作成した。
どうやら、代替肉は、主に植物、細胞培養、昆虫を指しているようだ。
FIを調べてみると、代替肉の専用の分類であろう 「A23J 3/00 502」があった。
マトリクスを参考にしながら、ノイズの塩梅をみて検索式をJplat-patに入力した。検索年代範囲を出願日2010年以降とした。
結果として、131件が検索された。
簡単な特許マップの作成
検索結果を用いてパテントマップを作成した。MacのNumbersを使用したため、思うようなマップが作成できなかったが、簡単な俯瞰を行なった。
縦軸:出願人 横軸:出願数
・先ほど代表例として紹介された不二製油の出願数が最も多かった
→発明として他社より多く技術を持っていることが意外である。特許の内容が気になる。
・出願数上位に海外の企業が多くランクインしている
→海外の動きが活発になっていることから容易に想像できる
・香料メーカーの出願が確認された。特許の中身を見ると肉フレーバーについてが主であった。
→肉に近づけるために「味」が研究されるのも容易に想像できる
→肉の味に近づける技術は香料メーカーが有利ではないか?
出願人一覧は以下のようである。
縦軸:出願数 横軸:出願年
・国内出願数は2011年代から増加傾向にある。
○Numbersめっちゃ使いにく。。。。
WordCloudによる俯瞰
発明の名称
・やはり、フレーバー・香味のキーワードが出ている。
・シェルフライフ(貯蔵寿命)は課題?
要約
(BRはHTMLの記号のため無視してください。)
特許内容の確認・俯瞰
まず、ランキング一位の不二精油について中身を見てみた。
代替肉の素材について、その製造についてが多い引用である。
味の素はどうだろうか?
意外にもフレーバーについての特許が多い。
代替肉の製造・フレーバー・素材(添加剤を含む)について以外であれば、
「代替肉の形態、その転写」が挙げられる。
例えば、ネステク ソシエテ アノニムの特許に
・本物の肉のような外観とテクスチャーを有する食品組成物
・加熱調理肉の外観及びテクスチャを有するノンミート食品製品
があった。
しかし、日本メーカーは、テクスチャーが主とした特許は少ない印象である。
まとめ
・市場が拡大傾向、現在は、健康志向と菜食ニーズへの供給がメイン
・アメリカの市場が一番大きいが、国内メーカーもしっかり取り組んでいる
・特許出願はこの10年間で増加傾向
・国内企業は出願が多い印象だが、割と少ない。→食品業界特有かもしれない。
・代替肉の特許を大きく分類をすると、素材・製造・フレーバー・代替肉の形態、その転写
以上
参考
・代替肉と培養肉に関する調査研究
https://www.jeri.or.jp/membership/pdf/research/research_1910_01.pdf
・培養肉生産技術の課題と今後の展開
https://www.mitsui.com/mgssi/ja/report/detail/__icsFiles/afieldfile/2020/11/10/2011t_sato.pdf
・培養肉の倫理的、法的、社会的課題(ELSI)とは?:信頼に基づくイノベーションをめざして
・代替肉の世界市場:市場シェア・規模・動向、業界分析 (製品別・種類別・原料別・形状別・流通チャネル別・地域別)、部門別予測 (2021年~2028年)
https://www.gii.co.jp/report/pola999952-meat-substitutes-market-share-size-trends-industry.html