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婚活アプリ(婚活✖️システム)の特許を分析

エグゼクティブサマリ

現代の出会いは多様化し、婚活アプリが効率的な手段として普及している。特許調査では婚活支援技術に関する7件の特許が抽出され、技術要素や効果が整理された。市場分析ではAIやLGBTQ向けサービスの拡大が注目される一方、信頼性や評価基準の偏りが課題として挙げられた。



はじめに

「昔の出会いと今の出会いは違いますよね。」
弁理士の谷さんとのXのスペースでの会話で現在の男女が会う(合う)機会は異なることがわかった。
昔は紹介やクラブなどの場所で会ってそれから、、、と。
現在は、現代のニーズとともに婚活における手段選択肢が増えており、効率の観点からも婚活アプリがよく選ばれていると思う。

そういったことを話しながら、ふと思った。
マッチングアプリ種類は数多くあるが、どのようなシステムとユーザーの誘導からサービスを提供されているのか、それがどのような知財的な権利が取られているのか?婚活アプリ市場はどうなっているのか?

ということで、今回は通常の統計解析ではなく、GPTによるデータの可視化をメインに、分析を行い、上記について調べてみた。

検索式

今回は国内特許を限定し、要約キーワード範囲で「婚活」、FI(特許分類) G06 計算または計数を掛け合わせた簡素なものを使用した。

[(婚活)/AB]*[(G06)/IP]


計7件の特許が抽出された。(意外と少ない、、、)
婚活というキーワードを明記している特許はすくないのであろうか?
マッチングというキーワードを入れても良いが、婚活という調査目的が希釈されると思い、とりあえず、7件で分析を行った。

さらに、市場プレイヤーを確認するために、「マッチング」アプリ(婚活を限定していない)という分野・範囲に拡大して検索式の作成を行った。

検索式は以下のGPTを使用しております。


[(マッチングアプリ+出会いアプリ+デートアプリ+婚活アプリ+ソーシャルマッチングアプリ)/AB][(プロフィール+個人情報+自己紹介+ユーザ情報+アカウント情報)/AB][(マッチングアルゴリズム+推薦アルゴリズム+検索アルゴリズム+レコメンドエンジン+適合アルゴリズム)/AB]+[(G06Q30/02+G06F16/953)/IP][(プロフィール+個人情報+自己紹介+ユーザ情報+アカウント情報)/AB][(マッチングアルゴリズム+推薦アルゴリズム+検索アルゴリズム+レコメンドエンジン+適合アルゴリズム)/AB]+[(G06Q30/02+G06F16/953)/IP][(G06F21/00+G06F21/31)/IP][(マッチングアルゴリズム+推薦アルゴリズム+検索アルゴリズム+レコメンドエンジン+適合アルゴリズム)/AB]+[(G06Q30/02+G06F16/953)/IP][(プロフィール+個人情報+自己紹介+ユーザ情報+アカウント情報)/AB][(G06N3/08+G06F17/30)/IP]+[(婚活)/AB]*[(G06)/IP]


NEC、日立製作所などの出願が多いようだ。

市場情報

市場情報のソースをいかに示す。


分析結果


サマリア

GPTの分類支援が行えるサマリアの分類展開を活用して、今回の母集団の技術要素を(KW)抽出、把握した。

操作などや効果は以下の記事を見てほしい。


出力結果(一部)

今回の分類観点は以下

解決手段,発明の機能,発明の効果,発明の目的,制御の種類,入力内容,入力対象,出力内容,出力対象,処理内容,使用者の思考・感情,婚活,婚活促進要素

結果は以下の通り。

発明の目的
婚活支援
成婚率向上
結婚支援システム
婚活支援システム

発明の効果
高精度な検索
イベント参加機会
不安緩和
手間軽減
地域活性化
地方PR
自由な婚活

発明の機能
話題提供
段階的提示
圧縮符号
相性検索
性格診断

入出力内容
好感度入力
ユーザ情報
面談種別
面談予約
質問項目
評価点
重み点
自由質問
照合フラグ
共通項抽出
伸長処理
成婚確認
住民情報取得
成功報酬請求
ユーザ情報確認
未婚ユーザ抽出
家族情報登録
退会処理
サービス料請求
面談情報
バナー表示
性格一致指数
マッチング率
生入力データ

婚活促進手段
コミュニケーションサポート
アイテム情報
公共機関支援
優待付与
地方利用

解決手段
ビデオ通話
ハフマン木
照合/置換テーブル
会員情報共有
婚活支援装置
オンラインデータベース
ビデオ通話


発明の効果に関して、不安緩和、手間軽減、地域活性化、地方PR、自由な婚活などおもしろい技術要素(分類)・アウトプットがでてきた。
例えば、地域活性化では、

発明の効果
【0017】
本発明は、ユーザの住所の近辺だけでなく、住所から離れた任意の場所を利用してオンラインパーティーやお見合い等の結婚に関するオンラインでの婚活を容易且安心して行うことができる。また、ユーザが公共機関等の支援者が指定した場所を婚活に使用することで、婚活支援を通してそれぞれの地域のPRも行えることとなり、地域活性化にも貢献できる。

と、記載されている。手間軽減はわかるが、それ以外は定性的な表現であり、効果に起因する請求項がよくわからなかった。

その他、

発明の機能:話題提供、段階的提示、圧縮符号、相性検索、性格診断

入出力内容:好感度入力、ユーザ情報、面談種別、面談予約、質問項目、評価点、重み点自由、質問照合、フラグ共通項、抽出伸長処理、成婚確認、住民情報取得、成功報酬請求、ユーザ情報確認、未婚ユーザ抽出、家族情報登録、退会処理サービス料、請求面談情報、バナー表示、性格一致、指数マッチング率、生入力データ

上記の技術要素を把握するだけでも、どのような技術・システムが使われているか体系がおおよそ把握できた。


Google NotenookLM

上記市場情報を活用して、ビジネスフレームワークをGPT(RAGに実施させた。)

NotebookLMとは、
GPT同様の機能をベースにして、誰でも簡易的にRAGを使えるツールとして、注目を集めているサービスがGoogleが発表した。
Retrieval-Augmented Generation (RAG) は、大規模言語モデル(LLM)によるテキスト生成に、外部情報の検索を組み合わせることで、回答精度を向上させる技術。


婚活アプリ市場分析:PEST、5Fs、サプライチェーン、SWOT分析をGoogle NotenookLMで実施。

1. PEST分析

  • P:政治 (Politics)

    • 少子化対策: 政府は少子化対策として、結婚支援や子育て支援に力を入れています。 婚活アプリは、出会いの機会を増やすことで、政府の政策に貢献することができます。

    • LGBT理解増進法: LGBTQ+への理解促進のための法律が施行されました。 LGBTQ+向けのマッチングサービスの需要が高まる可能性があります。

  • E:経済 (Economy)

    • 経済状況: 経済状況の悪化は、結婚や出産を控える要因となります。 婚活アプリは、低価格なサービスを提供することで、経済状況の影響を受けにくい層にもアプローチできます。

    • 女性の社会進出: 女性の社会進出が進み、経済的に自立した女性が増加しています。 結婚に対する価値観が多様化しており、婚活アプリもそれに対応していく必要があります。

  • S:社会 (Society)

    • 未婚化・晩婚化: 未婚化・晩婚化が進み、結婚に対する意識が変化しています。 婚活アプリは、結婚を希望する人にとって、効率的な出会いの場を提供できます。

    • ライフスタイルの変化: 忙しい現代人にとって、時間や場所にとらわれずに婚活できるアプリは魅力的です。

    • SNSの普及: SNSでの出会いが一般的になっており、オンラインでの出会いに抵抗が少なくなっています。

  • T:技術 (Technology)

    • AI技術: AIによるマッチング精度の向上が期待されています。 より相性の良い相手を効率的に紹介できるようになります。

    • メタバース: メタバース空間での婚活サービスが登場しています。 新しい出会いの形として、注目されています。


2. 5Fs分析

  • 顧客 (Customer):

    • 結婚願望のある未婚者:年代、居住地、ライフスタイル、価値観など多様性に富んでいます。

    • LGBTQ+: 特定のニーズを持つ層へ特化したサービスも必要とされています。

  • 競合 (Competitor):

    • 結婚相談所: 対面型のサービス、信頼性が高い一方、高価格である点がデメリット。

    • 婚活パーティー・イベント: リアルな出会いの場、費用対効果が課題。

    • ネット系婚活サービス: マッチングアプリ以外にも、婚活サイトなど多様なサービスが存在。

    • 職場や学校、友人からの紹介: 従来型の出会いの形も依然として根強い人気。

  • 代替材 (Substitute)

    • SNS、趣味のサークル: 結婚を目的としないコミュニティでも出会いがある。

    • 独身者向けのイベント、交流会: 結婚に限定せず、幅広い出会いを求める人にとって代替となる。

  • 新規参入者 (New Entrant):

    • 参入障壁は低い: アプリ開発のノウハウがあれば、比較的容易に参入可能。 新規参入により競争が激化。

    • ニッチな市場への参入: 特定の趣味や価値観を持つ人向けのアプリ、AI特化型など、差別化を図ったサービスが登場。

  • サプライヤー (Supplier):

    • アプリ開発会社: アプリ開発、保守、アップデートなどを提供。 開発会社の技術力や対応力がサービスの質に影響。

    • サーバー・インフラストラクチャ: 大量のユーザーデータ管理、安定したサービス提供に不可欠。

    • 決済代行会社: ユーザー課金、決済処理を担う。

    • 広告代理店: 広告配信、プロモーション活動などを支援。


3. サプライチェーン分析

  1. アプリ開発: アプリ開発会社が、企画、デザイン、開発、テストを行い、アプリを制作。

  2. アプリストア: App StoreやGoogle Play Storeなどのアプリストアにアプリを公開。

  3. ユーザー獲得: 広告やPR活動を通して、ユーザーを獲得。

  4. マッチング: ユーザー同士がプロフィールや条件に基づいてマッチング。

  5. コミュニケーション: メッセージ交換、オンラインデートなどを通してコミュニケーション。

  6. 出会い: 実際に会って交際を開始。

  7. 成婚: 結婚に至るケースも。


4. SWOT分析

  • 強み (Strengths):

    • 低価格: 他の婚活サービスと比較して、利用料金が安い。

    • 利便性: 時間や場所にとらわれずに利用できる。

    • 出会いの機会: 多くの異性と出会える可能性がある。

  • 弱み (Weaknesses):

    • 信頼性: サクラやなりすましなどの問題がある。

    • 安全性: 個人情報漏洩のリスクがある。

    • 表面的な出会い: プロフィールだけでは、相手の人柄を深く理解することが難しい。

  • 機会 (Opportunities):

    • AI技術の進化: AIを活用したマッチング精度の向上。

    • メタバースの普及: メタバース空間での新たな婚活サービスの展開。

    • LGBTQ+市場の拡大: LGBTQ+向けのサービスの需要増加。

  • 脅威 (Threats):

    • 競合の増加: 新規参入による競争激化。

    • 少子化の加速: 結婚願望のある未婚者の減少。

    • ネガティブなイメージ: 事件やトラブルによるイメージ悪化。


マッチングアプリの現在の課題

マッチングアプリは、出会いの機会の増加、費用の低さ、時間的制約の少なさといったメリットから急速に成長していますが、いくつかの課題も抱えています。

  • 選択肢過多による決定回避: 登録者数が膨大であるため、多くの選択肢から相手を選ばなければならないという状況に陥りやすく、結局誰ともマッチングできないという「決定回避」に陥る可能性があります。

  • アプローチコストの低さによる拘束力の低下: 一人へのアプローチコストが低いことで、特定の相手にこだわるインセンティブが弱まり、わずかな条件の不一致でマッチングを見送ってしまう可能性があります。

  • 限られた評価軸によるマッチングの偏り: マッチングアプリでは、「経済力・職業・学歴・容姿」といったネット上の文字と画像で伝わる項目が重視される傾向があり、人柄や価値観といった項目は軽視されがちです。そのため、限られた評価軸での魅力ある人物に人気が集中し、登録者が増えても全体でのマッチング率は低水準に留まる可能性があります。

  • 信頼性の確保: サクラやなりすまし、個人情報漏洩などの問題が課題として残ります。本人確認の強化や24時間365日の監視体制など、事業者による対策が進められていますが、更なる信頼性向上のための対策が必要です。

  • 婚活サービス利用が成果につながらない: 婚活サービス利用経験者の中でも、成果が出なかったと回答する人が一定数存在します。その理由として、「効果的な使い方が分からなかった」という回答が最も多く、マッチングアプリの利用ノウハウを普及させる必要性も指摘されています。

これらの課題を解決することで、マッチングアプリはより多くの人にとって有益なサービスとなり、社会全体の結婚率向上にも貢献できる可能性があります。


まとめ
婚活アプリ市場は、出会いの機会の増加、費用の低さ、時間的制約の少なさといったメリットから急速に成長しており、2026年には1,657億円規模に達すると予測されている。AIマッチングやオンラインイベント、コーチング型サービスなどの新たなサービスも登場し、利用者にとってより良い環境が整備されつつあるが、選択肢の多さによる決定回避、アプローチコストの低さによる拘束力の低下、限られた評価軸によるマッチングの偏り、信頼性 といった課題も存在。これらの課題解決が今後の市場拡大には不可欠である。

所感
Google NotebookLMでまとめられた内容(市場情報、そして市場課題)は特許の課題や解決内容とマッチしており、ニーズがしっかり追えている内容になっている。整合性がとれたしっかりしたアウトプットが得られた。


さて、ここからは、特許1件をみていく分析を行う。

Chat-GPT

Chat-GPTによる技術概念把握とその概念構造をマーメードチャートで表現した。
今回は「特開2023-181736」という特許のクレームの構造を把握を行った。


Chat-GPTの出力結果


mapify

同じく、特許のクレーム構造を把握するために、「特開2023-181736」をmapifyでマインドマップ化した。



プロセッサによる実行方法など、クレームでよく見る内容が展開されている。



調査分析のまとめ

現代の出会いは多様化し、婚活アプリが効率的な手段として普及している。特許調査では婚活支援技術に関する7件の特許が抽出され、技術要素や効果が整理された。市場分析ではAIやLGBTQ向けサービスの拡大が注目される一方、信頼性や評価基準の偏りが課題として挙げられた。


まとめ

いかがだっただろうか?
各社課題に対してのアプローチ=処理フローがあり、新規性を出そうとしていることがわかる。また、差別化的要素はあるが、課題や目的は同じ方向をむていることが市場情報と特許情報を見合わせると理解することができると感じた。

さて、婚活アプリをとりまく、市場・課題環境を知ることができ、特許から見たそれにあった目的・アプローチを知ることもできた。この調査分析は1時間くらいで可能である。婚活アプリの状況とともに、GPTの有用性も知ることができた。


以上



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