半導体ってなに?知っておきたいこれからの北海道のテクノロジーの種:前編【ひとくちふぃじっくすVol.2】

*この記事は10分ほどで読めます。

こんにちは!LIFE&C HOKKAIDOのユウです。

最近、「北海道に半導体工場ができる!」とか「千歳にラピダスがくる!」、「半導体不足でゲーム機が入荷しない・・・」など

”半導体”という言葉、よく聞きますよね。

さて、みなさんは半導体についてご存じでしょうか?


今回は半導体について軽くご紹介させていただこうかなと思います。特に全編では、半導体の性質やその応用例について紹介します。お急ぎの方は3のまとめだけ。10秒で読めます。

前回は「バスが止まる直前によろけてしまうのはなぜ?」というテーマでひとつ記事を書きました。気になる方はこちらからhttps://note.com/yu_phys/n/n6169104e2f22

1.半導体とは?

まず半導体ってそもそもなに?ということから。
半導体とは、ざっくりいうと

「室温ではいくらか電気を通すけども、絶対零度付近では電気を通さない物質」

です。

半導体の有名な物質としてはシリコンSiゲルマニウムGeがあります。作りたいものによってシリコンやゲルマニウムのどちらを使うかは異なります。

また、もともとの低温の半導体は電気を流しませんが、いくつか操作をすることで電気を流すことができます。

以下にその原理を紹介します。興味がない方は読み飛ばしてください。

低温の半導体に何らかの方法で余分な電子を入れると、この電子は自由に物質内を動き回り、”電気伝導”を起こします。

(一応ですが、電気が流れる、というのは、電子が物質中を動き回るということです。電子の大きさは現在でもわかっていませんが、少なくとも1億分の1センチメートルより小さいことはわかっています。電気が流れる金属中にはこの電子が”数えられないほど”存在し、高速で金属中を動き回ることで電気が流れていると考えられています。また、電子は原子のまわりに存在する束縛電子と、物質内を自由に動き回る自由電子という2種類に分類できます。)

低温の半導体の結晶を構成するのが中性原子(全体として電気をおびていない原子)であれば、その原子から電子をひとつぬきとり、結晶中のほかの場所に放置することで、中性の物質に電気を流すことができます。これが、半導体は電気を流すことができるといわれるゆえんになります。

以上です。

では、室温ではどうでしょうか?答えは簡単。最初に言った通り、電気を通すんですよね。

低温(注意:ここでいう低温は絶対零度まわり、すなわち-260℃ほどでのことを話しています。人間が低温だと感じている温度は物質にとっては高温なんですね)ではもともと電気を流しません。

しかしだんだん温度を上げていくと、電気を流すようになります。
この原理を以下に紹介します。

今度は大事なのは結晶全体に温度が上がったことによる熱エネルギーがたくわえられることです。この熱エネルギーが半導体を構成する原子に与えられ、もともと中性だった原子から電子が抜き出て、動き回ります。これがあらゆるところで起こり、電気が流れるようになります。

以上です。

これにより半導体は、電気を流したり流さなかったりする、いわば”金属と絶縁体の間のような物質”と言われるわけです。ここでの議論は[2]を参考にしました。

2.半導体の活用例:トランジスタ

では、実際に半導体は私たちの生活にどのように活用されているかを見ていきましょう。

ずばり、私たちのまわりにある”電子機器”はほぼ全部、半導体を使っています。

電子機器には”トランジスタ”という部品が使われており、このトランジスタの材料になっているのが半導体であるシリコンやゲルマニウムです。

トランジスタは、半導体を3つくっつけて作ります。半導体をくっつけることを接合といいます。これより、トランジスタは2つの半導体接合からできるといえます。(正確には、非常に接近した2つの半導体接合からできます)

しかしくっつけるのは同じ半導体ではありません。"p型半導体"と”n型半導体”と呼ばれる半導体を交互にn-p-nだったりp-n-pと接合したものです。

詳細は省きますが、このように作ったトランジスタでは、電流の大きさを100倍ほどに増幅することができます。

(注意:エネルギーを増やしているということではなく、たとえるなら”本来50:50に分割するところを1:99に分割することで99の方は大きくなったとみなせる”というようなものです。永久機関はまだ存在しません!)

また、トランジスタは一定の電圧以上がかかると電流を流し、それ以下の電圧では電流を流さないという”スイッチ”の役割も果たします。

このトランジスタを大量に用意することで、複雑な命令を計算することができます。

たとえばそろばんのように、玉をはじく操作を繰り返して計算を行うようなことを考えてもらえばいいと思います。

このように、スイッチで計算をすることを論理回路といいます。

コンピュータの心臓であるCPUには、このトランジスタが十数億個積まれているそうです。(Core i7のばあい。[1]参照。)

3.まとめ

簡単にこれまでで大事なことをまとめます。

①半導体は、電気を流したり流さなかったり出来る物質のこと。
②私たちの身の回りにあふれる電子機器のほとんどには半導体が使われている。これは、半導体がスイッチの役割をできるからである。

来月は、後編として、半導体の工場のことや北海道のことに注目してみたいと思います。

お読みいただきありがとうございました。

4.参考文献

[1]https://isabou.net/Convenience/Tool/gpu/gpu14.asp

[2]ファインマン物理学V 量子力学


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