英語の漫画はセリフが全て大文字な件
私は記事の中で度々、英語版のコマを参考画像として掲載していますが、セリフの中が大文字になっていることに気づいたでしょうか?
アメコミやアメリカやイギリス、カナダなどで出版されている日本の漫画の英語翻訳版は、セリフが全て大文字で表記されています。
、、、ということで、今回はヲタ目線よりちょっぴり英語講師目線で記事を書いてみたいと思います^^
「英語の表記って、文を新しく開始するときに最初の文字を大文字にするんじゃなかった?」とか「人名や地名なんかの固有名詞は大文字で書くよね??」なんて知識を学校で習った記憶があると思います。
ではなぜ、漫画のセリフが全て大文字表記になっているのか??ということですが、、、
英語の漫画はもともとセリフを専門の職人が手書きしていたので、全て大文字で記載した方がベースライン(英語ノートでいう上から三番目の赤い太字の線のことです)が揃って、フキダシ内のセリフがバランスよく配置できたことということがその理由です。(※小文字はpとqやbとdなどよく似たものも多いですし、pやqはベースラインを下に突き出すので狭いフキダシの中でバランスが取りにくいんです、、)
↓画像(左)"CASE CLOSED" Vol.3, P.139(VIZ) / 画像(右)" SHONEN JUMP "No.15 APR 2004 P.241 より
ちなみに日本で出版されてる英語学習者向けの英語漫画は一般的な英語の表記法や句読法で小文字で表記されています。
↓ 画像 ”Doraemon-感動する話” P.97 小学館 より
セリフが全て大文字だと、名前や地名と区別しづらいので基礎の英語学習者にはとても読みづらく、クラスで一部テキストがわりに漫画を使用した際は、”SHENGLONG”という単語を一生懸命辞書で調べている方もいました(^^;) ※SHENGLONGはドラゴンボールの神龍のことです。固有名詞なので英和辞書には載ってません💦
↓画像=SHENGLONG:Dragon Ball , Vol.2 P.122(VIZ)より引用
英語で漫画を読んでいると、日本語の豊かさ、奥深さに気付かされます。私は英語講師ですが、やはり日本語はとても芸術的な言語だと思います。(←個人的な視点です。言語学などに基づいた見解ではありません(^^;))
同じセリフでも、ひらがな、カタカナ、漢字によって伝わるイメージがぐっと変化しますし、一人称だけでも「私、俺、僕、わし、我、あたい、オイラ、オラ」、二人称では、「あなた、君、そなた、汝、貴殿」など状況に応じてさまざまな表し方ができ、キャラクターの個性をより引き出すことができます。※方言を入れたらもっとすごい数の表現がありますよね。英語では、(格変化はありますが)一人称はI だけです。※二人称のyouは「汝」という意味でthouという語が古英語ですが一応あります。
↓画像引用:英語版マンガDragon Ball, Vol.1 P.25(VIZ)より
英語版では、悟空が「オラ」と言わないのがすごく違和感ですし、英語のアニメ版の悟空はただのかっこいいヒーローみたいです。幽遊白書では、桑原の舎弟が桑原のことを”KUWABARA!”と呼び捨てにしていますし、悟飯ちゃんもピッコロさんを"PICCOLO"と呼び捨てにします。。。敬称が豊富な日本人にとっては違和感しかありません(^^;) ※英語にもMr.やMs.など敬称はありますが、日本文化のヤンキーのタテ社会や師弟関係を表すのには不向きかな。
ちなみにDragon Ballでは、神様は"KAMI -SAMA"と表記されています。アニメ版に至ってはMr.Popo(神様の従者)が神様のことを"KAMI"とか"KAMI -SAN"と呼んでいます。"KAMI -SAN"て、、誰かの奥さんかな? 笑
漢字やカタカナなどが海外ではCool!とされるのでTシャツや帽子に漢字やカタカナがプリントされていたり、タトゥに掘ったりされる方がたくさんいます。日本語の持つ魅力やエネルギーは外国の方にも伝わるのでしょうね。
翻訳する際、文化的背景なども考慮しながらキャラクターのイメージをなるべく崩さないようにその言語に置き換えますが、その言語の持つエネルギーや言霊を別の言語で表すのはやはり難しいと思います。
とはいえ、英語で日本の漫画を読むと違った味わいがあります^^
好きな漫画、思い入れのある漫画を英語で読んで見ると、すごく英語の勉強になりますし、日本語や日本文化の魅力やエネルギーを改めて感じることができるので、とってもオススメです!但し、全て大文字表記になっていますので、固有名詞にはご注意ください(^_−)−☆