近所の方からのおすそ分けは、ダチョウにイノシシ
はじめまして、ジビエたち。
東京や名古屋でジビエ屋さんに連れていってもらってお店でジビエを食べたことは数回あったけれど、まさか自分で肉の塊に包丁を入れて料理をする日がくるとは・・・
都会とは、文化も環境も180°異なる小さな田舎町。
いただくおすそ分けも、都会とは一味も二味もちがっていた。
「昨年仕留めて冷凍してあるイノシシの肉あるけど食べてみる?」
「BBQの残りの肉があるけど、ダチョウと牛どっちがいい?」
声をかけられる内容が、想像の斜め上のまた上くらい。
でも、好奇心旺盛・チャレンジャーなわたしはどちらも前向きな返事をし、イノシシとダチョウの塊肉を手に入れたのであった。
そしてはじまる、料理という名の闘い。
【Round1:ダチョウ】
これはどちらの肉にも言えることなのだが、まず、塊肉なので解凍にまる一日以上かかる。
つまり、「あ!今日ダチョウ食べよっと。」みたいな気軽さで食べられないということだ。
「明日、ダチョウを食べよう。そのために今日から解凍しよう。」という決意と心づもりが必要なのだ。やっぱり今日はやめておこうという心変わりも許されない。
そんなこんなで前日から解凍しておいたダチョウ。肉の色はかなり濃い目。
中まで完全には解凍しきれなかったので、外側からそぎ落とすように切っていく。
「ダチョウ 料理」で検索すると、ローストビーフ風のレシピが何件かヒットしたことから、勝手に牛肉のような味だと予想。筋肉質っぽいし。「オーストラリアで食べたカンガルーみたいな感じかな」と言ったら、友人におまえは何者だと言われた。
すったもんだあったが、BBQ用ということもあって、シンプルに焼いていただくことにした。余分な風味をつけないために、サラダ油で焼いて塩で食べることに。
「・・・うまい!!」
完全に、脂身のない牛肉。好みであった。しかもやわらかい。
いただいた際に、「冷めるとまずいから熱いうちに」と聞いていたが、冷めると少しレバーのような風味がしてくるが、それもまたクセがあってうまい。
なんだ、ダチョウおいしいやん。
ということで、Round1は平和に幕を閉じた。
【Round2:イノシシ】
なーんだ、ジビエ、楽勝やん!調理もふつうやし、ふつうにおいしいし。
と、ジビエをなめていたわたしの前にイノシシは立ちはだかった。
ダチョウと同じく解凍した肉を取り出してみると・・・
「ん?黒い毛が。まあ人間やし、髪の毛が入ってしまうこともあるよね。気にしない気にしない・・・」
と思ってつまんでみると。
「ぎゃああああ獣の毛!!!??」
つい、一人で叫んだ。肉には、無数のイノシシの毛らしきものがくっついているではないか。
生きている姿が脳裏に浮かぶ。うっぷ・・・めげそうになる。
とりあえず、汗だくになりながら切り分けると同時に毛を取り除き、さらに切り分けたあと水洗い。すでにかなりの疲労感。
さて。何の料理にするか。
「イノシシはクセが強いから、生姜で煮ろ!」「鍋だ!」など事前にいろいろと話は聞いていたが・・・この時期に鍋は暑いし、一人だし、保存もできる煮物かなあということで、甘辛煮にすることに。
ネットで検索すると・・・
米のとぎ汁で煮て、さらにお湯で洗ってから煮る。と。
めんどくさ・・・
ただ、ここまでして美味しく食べれないのは悲しい。急いでお米を炊く準備をして、米のとぎ汁を鍋に入れる。イノシシ肉投入。
灰汁と油がでてくるでてくる。
煮ている間に、一緒に煮る生姜と筍の細切りを用意。
米のとぎ汁で煮たイノシシをお湯で洗っていると、残っていた毛がまだまだでてくる。手間を惜しんだら負けだと思い、一切れずつ丁寧に洗って鍋へ。
甘辛に、しょうがと筍といっしょに煮込めば、総調理時間2時間超えのイノシシのしぐれ煮が完成!!!
いざ、実食。あれ、意外とやわらかくておいしい・・・!
かなりの量ができたので、こちらは温玉を乗せたどんぶりにしたり、きざんでオムレツに入れたり、アレンジを楽しみながらいただきました。
こうして、ジビエたちとの闘いが終了。
次はいったいどんなおすそ分けが待っているのだろうか・・・
有難く、楽しみに、若干身構えながらまたほそぼそと生活していこう。