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この1年弱週に何回も駅横の踏切を通ってきたのに数回しか見たことのなかった電車に乗ってみた

はじめまして、無人駅。

わたしは、一人で電車が利用できるようになった中学生以降、駅から徒歩10分圏内にしか住んだことがなかった。
その駅というのも、地下鉄や私鉄、JRなど様々だったが、どれも少なくとも10分に一本は電車が来たし、23時台、ともすれば日付を超えても電車があった。

そんなわたしが昨年の夏移住してきたこの町には、駅がたった2つしかない。
一番近い駅までは約4km、徒歩1時間ほどだ。
時刻表を見ても、13:06 の次の電車が 16:21 だったりする。
この町では普通なのかもしれないが、都会育ち、ずっとペーパードライバーだったわたしにとってはとんでもないことだ。

加えて、今年から無人駅になったらしく、駅員さんもいない。
一体どうしたらよいのか。
怪我もあり、電車デビューすることを決めたわたしは、前日に駅に下見に行った。乗り方がわからなくて駅を下見するなんてこと、あるだろうか。
ほんとうに、今までの当たり前が通用しない場所なのである。

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まず、券売機はあった。一安心。だが、案の定ICカードは使えない。
当たり前だ、改札がないのだから・・・

改札がないなんて、誰でも入り放題やないか。切符の意味はあるのか。
あ、降りる駅で見られるのかな?それとも電車の中で?
などと思いながら下見は終了。

翌日。
駅まで近所の方に車で送ってもらい、(そもそも、駅まで車で送り迎えなんていうのがわたしにとっては異文化だ。遠くても歩いたり自転車で行くことしかしたことがなかった)、不安なので15分前に到着。

切符を買う。
ここに限らずだが、田舎のJRは高い。当たり前か、市を跨ぐのだから・・・

ここまではよかったが、切符を握りしめたわたしは不安になる。
駅は真昼間にも関わらず、薄暗い。
ホームのこちら側で待っていて正解なのか・・・
一人だけいた電車を待っている人に恐る恐る尋ねる。その人もびっくりしながら答えてくれた。それはそうだ、初めて利用する人なんて滅多にいないのだろう。近所の方ももう5年くらい電車に乗っていないと言っていたし。

そんなこんなで、不安で本も読めず手持無沙汰に待っていると電車が到着。
なんともレトロな二両編成だ。

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地下鉄ユーザーだったわたしにとっては、外を走る電車というだけでもとても新鮮。前を向いて座る椅子も。

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車窓はひたすら空の青と緑。
窓を開けたら風が心地よい。
やっぱりわたしは、車よりも電車が好きだ。
こうやって電車に揺られながら、車窓を眺めたり、うたた寝したり、好きな本を読んだりする時間が至福なのだ。

一本横の道を走っているだけなのに、いつも車の正面の窓から見ている景色とはまったく違って見えた。

たまには、思い切っていつもと違う行動をとってみるのもよいことなのだなあと実感できた経験であった。
怪我がくれたプレゼントなのかもしれない。

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Yu Ishisaka
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