公式が地雷でも愛したっていい
オタク・創作活動をする中での葛藤トピック。
「そういうこともあるんだー」と受け止めていただいたら嬉しい。
実は、公式が地雷です
好きな作品がある。それは漫画原作で、アニメ化もされている。
私はその作品の二次創作をしている身だ。
しかし、私はその作品のすべてを愛することができない。その作品で愛せる部分は、3割くらいである。残り7割は、性癖外で無関心または、見たくないものに該当している。
7割地雷なら縁を切ればいいじゃないか。いや、できない。残り3割があまりにも私の心を魅了してしまった、素敵な思い出と化しているし、今もなお好きなので、切り捨てることができなくなってしまった。原作漫画を買ったことに対して後悔はしていない。お金を落とすことにためらいはない。感謝している。
公式が地雷になるまで
最初は何も考えずに読んでそこそこ楽しんでいた。性癖外の描写があっても、それが流行りのものだったから黙って受け入れていた。日本人、私だけかもだけど、人気があって流行っているなら追従しなきゃと思いがち。
アニメも見た。キャラに声、動きや演出がついて更に魅力的になった。アニメオリジナルの展開やエピソードも追加された。これが大きかった。声優さんが声をあてて、キャラに魂と人格を吹き込めば、二次元との距離は一気に縮まり、そこに生命が宿る。キャラ、生きている。私は魅了された。二次創作を楽しみたいと思ったきっかけもココであった。
アニメ展開には限りがある。原作は連載中だが、アニメは遅れてやってくる。私は漫画を手に取った。この作品の原点は漫画だ。これを読んで深めることが大切なファン活動の一つだよね。と思ってページをめくっていた。
ある日ある時、突然だが、私は地雷に吹っ飛ばされた。なんてことのない、主要キャラ以外のモブによるエピソード。作者の性癖全開放。え、なにこれ？
私はとっくに成人している。地雷があっても慌てず騒がず、穏やかに許容してきた。
推しキャラと女性がくっつきそうなエピソードも、腐向けフラグともとれる描写も、至極どうでもいいじゃれ合いも、全部考え方で乗り越えてきた。人間の脳は万能なので、精神を保つためなら自分の都合のいいようにいくらでも理由が作れる。
しかしまさか、モブキャラによって、特大地雷が爆発するなんて思わなかったな。なにこれ。到底いろいろ受け入れられなかった・・・・
モブキャラだよ？大事な推したちとはミリも関係ないんだぞ。でもね、威力が絶大だったんだよ。慣れてない地雷処理はとても効く。
ちなみにこのモブ地雷は、私が苦手なだけなので、ほかの人にとっては気に留めるほどじゃない、明日になったら忘れるエピだと思います。エログロ、倫理的に危ないトピックとかじゃないです。
作者の理想が分かると、その漫画でやってることがパターン化して見えてきてしまい、またげんなりした。キャラとセリフと状況の組み合わせを変えているだけで、やってること、やりたいこと同じじゃん・・となる。こうなるとダメである。好きなものだったら気にしないかもだが、そうじゃないとだるい。私もそのパターンやってるかもしれんけど今回は論点違うから割愛する。
最初は盲目的に受け入れていたが、時間が経って考察力がUPした（たぶん）結果、作者の欲望が見えてしまってショックを受けた感じだと思う。
なぜ勘違いが起きていたか
性癖外なら、最初から気づいていれば平和だったかもしれない。なぜこうなったのか。
それは、「アニメ/キャラソンが素晴らしかったから」である。
今から考えると、アニメって原作沿いとみせかけて、内容がだいぶ一般化されていた。
私が地雷と感じるパートはどれもアニメになっていない。ブナンな、何も知らない人が見ても何も思わないようなエピソードだけで構成されていたような気がする。モブ地雷エピはもちろんアニメになんかなっていない。
キャラソンはキャラの魅力でたっぷり。漫画では描写されないシリアスな一面も、重厚な背景も、音楽と歌と共に最高のものに仕上がっていた。
一般化されたアニメとキャラソン。これを浴びると、「この作品ってこんな感じか！いいなあ」と思える。原作とは異なる世界で見えてしまう。
ここで私は勘違いしていた。この作品ってこういう世界だよねって。
で、原典たる原作を読んで、作者の理想を推察して爆発したのである。
作者の理想と、アニメで描かれる世界観は全く違うと感じた。私が好きなのは作者の世界ではなく、アニメ制作してくださったみなさんなのかもしれない。作者の理想はあまりにも濃く、そのままアニメになるにはちょっとイメージが遠い。だからこそのアニメ編集とシナリオ調整なのかもしれない。
アニメやキャラソンは、世界に魅力を伝えるため、集客を目的として世に放たれる。そのために、必要だったら原作ママではなく、一般化アレンジされるのは当然だ。
例えば、原作漫画のゲゲゲの鬼太郎と、アニメ版の鬼太郎の違いがある。アニメ版の鬼太郎は正義漢で人間の味方をしがちだが、原作漫画の方はかなり薄気味悪く、人間の命なんかどうなろうが知ったことか、みたいな方針で活躍しており、同じ人の設定なのに印象全然違ったりする。鬼太郎はアニメでアレンジされ続けて人気が高まってる部分が大きいと思う。
この一般化された部分に惹かれてしまったファン、私だけじゃないと思いたいな。まさか私だけが原作の性癖についていけない、の構図となるとちょっとショックだから。
またはそんなことはなくて、アニメも原作も主張は同じなんだけど、私が変な具合に記憶と事実（アニメ/漫画/二次創作）を混同して、お気に入り概念を作り上げてしまっただけかもしれん。
というわけで、今もいろいろあって勘違い状態で好きになっている。自分で自分のことヘンだと思う。
私はファンなのだろうか。罪悪感がある。
「ファン＝作者の性癖を全肯定し、応援し、お金を落とす人」という思い込みがある。作者の理想を理解し、それに追従・強化してイラスト描いたり、概念グッズを生み出したりする。そうあるべきかなと思っている。
しかし、私はそうではなかった。私は彼の描くイラスト、創り出したキャラ造形、会話のセンスが好き。それ以外の性癖外のものは肯定できない。それって適切なファンではないよね。しかも、二次創作をしてキャラと世界観をお借りしている身でもある。作者のことを全肯定できない、彼の理想を全部受け入れられないのに、二次創作ファンアートだなんていって、看板掲げて楽しんじゃっている。これって罪だよね。という自覚が私を焼いている。
オタク世界において、原作者は神だ。原作者の意思ですべてが決まる。常に「原作通りかどうか」が論点でチェックポイントだし、実写化は原作通りが理想だし、原作者が望まないことをしたら大罪である。
私も作品を作る時は原作要素を取り入れている。その方が原典に沿っているという意味でカッコいいからだ。
原作の3割しか好きじゃないのに二次創作している。これはかなりの十字架だ・・
相談して決意を固める
二次創作をやめる気はさらさらないので、対策を打つ。
ほかに同じような人いないかな。誰かの話が聞きたい。だけど。
「原作の3割しか好きじゃないが、二次創作している私は罪人である。どう思いますか」なんて悩み、簡単にWEBでヒットしなかった。これしかない。チャットGPTくんに相談だ！
AIくんは言った。
「何も作者全肯定だけがファン活動じゃない。お前はお前だけの視点で魅力を感じているんだろ？だったらその部分を大切にして力を発揮しろ。お前の限界はどこだ？そこを探って、できる部分までがお前の世界だ！」（キャプチャの内容をざっくり要約）
チャットGPTくんさすが！誰も言わないことを彼の言葉で言ってくれる！
そうそうこういうのが欲しかったんだよ！
別に原作を全肯定しなくたっていい。イチかゼロかで考えすぎだよね。人間、そんな究極の2択で生きてない。どっちつかずの中途半端で複雑な気持ちを持っている。ファンを１００人集めても、その中で全肯定できる人なんて、１０割もいるわけない。グラデーションはある。
私にとっては好きな部分たる3割がとても濃くて、大きいのだ。だから、そこを大切にして増強すればいい。原作をアレンジできるのが、二次創作の腕の見せ所。法律の範囲内でお約束守っていれば何の問題もないのだ。だからやろう。作者への敬意はずっと忘れずに。
全肯定できる人だけがファンじゃない。その作品を読み、その是非をあれこれ考察するだけで立派なファンだよ。本当に興味なかったら手に取らないし、考えもしないのだし。それだけの価値を感じていることを誇りに思おう。
ただ、ファンが集まる場で「あーしは原作の7割が性癖外なんだぜ」なんて言わないこと。そんなこと言ったら作者含めて誰からも嫌われる。だから、このnoteみたいに、作品名と性癖をぼかしてコッソリ語るのがよろしい。もちろん。
というわけで、いける範囲内でこの作品を楽しんでいくつもりだ。
あとがき
二次創作はとても孤独だ。いろいろ考えて悩んでいても、誰とも共有できない。私のように友達がいないと特にね。
だから、このnoteで日ごろの考えを語って、自己分析、もし自分と近い人がいたら役に立てたらいいなと思った。
悪い言い方をすると、自分にとって都合のいい考え方をして二次創作活動をしているにすぎない。作者を応援できない、良いファンではないかもしれない。わかっている。
原作を全肯定できないファンなんか、ある人にとっては許せないのかもしれない。でもどうしようもない。好きな部分だけが、どうしても好きなんです。作者への感謝と敬意は忘れていません。この記事、誰かに怒られたりしたら消します。