繋がりあう木々たち
今日は「繋がりあう木々たち」のお話。
みなさんは、植物が他の植物とコミュニケーションをとっていることを知っていますか?
トマト、ナス、キュウリなどの植物は、虫に葉を食べられると特定の香り成分を出します。
そして、その香りが、同種の植物の他の個体に届くと、その個体は虫にとって有毒な成分を体内で作り出すことが知られています。
これは、化学反応と言われればそれまでなのですが、同種の仲間を守るための、植物同士のコミュニケーションとも言えると思います。
ここまでは割とよく知られているお話なのですが、カナダの生態学者スザンヌ・シマードさんの、植物同士のコミュニケーションの新しい研究を最近知って、それがとても面白いのでご紹介しようと思います。
私たちは、植物は光や空間を求めて互いに競争していると学びましたが、最新の研究では、植物同士は互いにコミュニケーションをとり、家族のように助け合って生きているという研究結果が報告されています。
まず、陸上植物の8割が、「菌根菌」と言われる菌と共生しています。
菌根菌は、森の土ティースプーン一杯の中に、実に10kmにもなる長さで生きていて、森の土中にネットワークのように張り巡らされているそうです。
菌根菌は植物の根と共生していて、植物の根の数分の一の細さのため、植物の根が入り込めないわずかな隙間に入り込み、水分や養分を取ってくることができ、そして、植物に必要なそれらを効率よく集めるのは、植物よりも菌根菌のほうが優れているそうです。
菌根菌は集めた水分と養分を植物に提供します。
そして、菌根菌は自分の力で光合成できず、生きていくための糖を体内で生成できないので、植物に糖を分けてもらっているそうです。
植物は光合成によってつくった糖を、自分の生存のためには6割しか使っておらず、残りの4割は微生物を呼び寄せるために地中に流したり、菌根菌に分け与えているそうです。
菌根菌もまた、植物からもらった糖を自分の生存のためにも役立てますが、その糖を他の植物に分け与えている可能性があるそうです。
さらに興味深いことに、森の木々たちは連携を取っていて、集団の中に陽の光が当たりにくい木や幼い木や弱った木がいると、菌根菌を通じて自分の養分を分け与えている可能性があるというのです。
そのように、他の木のために自分の養分を分け与えるような、木々の集団の中でみんなの大きなお母さん的な役割の木のことを「マザーツリー」と呼ぶそうです。
「切ってはいけない木」の伝説は世界各地にあります。
神社の御神木や「切ってはいけない木」は、マザーツリーなのではないでしょうか。
マザーツリーを失うことは、森全体の機能に影響することなのではないでしょうか。
私がこの研究に興味を持っている理由は、ひとつはこの研究をしている科学者が女性だからです。
彼女はカナダの森の中で育ったそうです。
彼女はきっと木の声を聞いているのではないかと思っています。
この研究を始めるずっと前から、最初から、木々の地中のネットワークがあると彼女にはきっとわかっていたような気がします。
このアニメーションもわかりやすくて、なにより絵がとても素敵です。
カミーユ・ドゥフェルヌ&スザンヌ・シマード
「木が話す秘密の言葉」
もしよかったら観てみてください。