ヒマ

毒とアンチエイジングのお話

こんにちは。


いきなりですが皆さんは毒草は好きですか?


私は毒草が大好きでして、なぜか私の娘も毒草が好き(笑)


毒草の中には、トウゴマのような、いかにも「触ったら刺します」的な毒草もあれば(ただしトウゴマはヒマシ油の原料です)

ヒマ

(写真はシミック八ヶ岳薬用植物園のトウゴマ)



可憐な顔をして実は毒を持つ、ヒエンソウのような毒草もあります。

セリバヒエンソウ

(写真は八ヶ岳に自生するセリバヒエンソウ)



余談ですが、キンポウゲ科の植物には、ヒエンソウのように可憐な顔をして毒をもつものが多く、植物のなかで私が一番好きな科はキンポウゲ科です。

トリカブト

(写真は八ヶ岳に自生するキンポウゲ科のトリカブト)



マムシグサ

(写真は私の大好きな毒草 マムシグサ。 こちらはサトイモ科です。)




さて、植物はなぜ毒をもつのでしょう。


一番わかりやすい理由は、虫や動物に被食されないため。


そしてもうひとつ、それは種を広範囲に撒いてもらうため。


例えばナンテンの実は生薬ですが、弱い毒を持っています。


ナンテンは、鳥に食べられて糞を落としてもらうことで命を繋げている植物なのですが、もしナンテンの実に全く毒がなく、とても美味しいと鳥は一度にたくさん実を食べて、一度にたくさん糞をします。


すると、同じところでナンテンが一斉に芽生えることになります。


これは、植物にとっては都合が悪いのです。


植物全般に共通することとして、植物は、自分とできるだけ遠い所で、自分とは全く違う環境で子孫に生きていってほしいという願望があります。


それは、自分と近い場所や似た環境で種(たね)が芽生えると、何か災害や天変地異などがあったときに自分の種(しゅ)が絶滅する可能性があるからです。


ナンテンが弱い毒を持っているのは、鳥に少しだけ食べてどこかで少し糞をして、また少しだけ食べて違うところで少し糞をしてといったように、少しずつ広範囲に鳥に種を蒔いてもらいたいからなのです。


キウイフルーツやパイナップルなどを食べた時に、その酵素で口の中がイガイガした経験がある方は多いと思います。


これも同じ理由。


動物に食べられることで命を繋いでいる植物たちは、やはり動物に一度にたくさん食べられないように、弱い酵素を果実に含有させ、動物に少しづつ広範囲に種を蒔いてもらうのです。



そしてここで「アンチエイジング」の話。


化粧品などに、植物由来のアンチエイジングの成分である、「抗酸化物質」を添加しているものがあります。


アンチエイジングの作用のある抗酸化物質を持つ植物というと、女性は喜ぶ方も多いと思いますが(笑)、植物はなぜ抗酸化物質を持つと思いますか?


抗酸化物質を持つ植物は、強い紫外線や強い乾燥にさらされるような過酷な場所が原産地である植物が多いです。


強い紫外線や乾燥にさらされると私たちの肌は酸化し、老化すると言われています。


これ、実は植物も同じなのです。


過酷な環境で生きる植物は自分の老化を緩やかにするために、抗酸化物質を自分で作りだしています。


なぜ毒草と抗酸化物質を持つ植物を並列に語るかというと、「毒」と「抗酸化物質」は、植物にとっては両者ともに、ただ生きて命を繋ぐために自分で作りだしているものだからです。



「毒」や「アンチエイジングに有効な成分」と言っているのは、人がそう定義しているだけで、植物はただ生きているだけ。


「毒」とか、「アンチエイジング」とか、植物にとっては「なにそれ」ってことですね(笑)

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Kigi 波多野ゆふ
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