地上で初めて立ち上がった植物
日陰に入ると割とどこでも目にすることができるシダ植物。
植物は海藻のように海の中で生きる「藻類(そうるい)」、岩などに貼り付いている「コケ植物」、ゼンマイやワラビなどの「シダ植物」、そして私たちが所謂「植物」と呼んでいる「種子植物」に分けられます。
植物はこの順番で進化をしてきました。私たちが「植物」と呼んでいる種子植物が現れたのは植物の歴史からするととても最近のことなのです。
地球に最初に現れた植物は藻類で、35億年前に海の中で誕生したと言われています。
それから長い歳月がたって環境が変わり、今から4億7千万年ほどになると、植物の中には海から陸に上がるものが出てきました。それがコケ植物です。
コケ植物は水の近くに生え、その姿は岩などにべたっと貼り付くような形でした。そのうち地面に貼り付いて生きるコケ植物は日の光を求めて競争するようになりました。
周りのコケ植物よりもお日様に近づいて日の光を浴びるために、自分の背を高くしようとする植物が現れたのです。
それがシダ植物です。
地上で背を伸ばすためには様々な困難がありました。
「藻類」は海の中ので生きているので浮力が働き、重力に抗う必要はありません。
「コケ植物」も地面に貼り付いているので重力に抗う必要はありません。
「シダ植物」は植物の中で、生きるために初めて重力に抗った植物です。
背を高くするとそれだけ重力がかかるので、シダ植物には自分の体の重さを支える仕組みが必要になりました。
植物の中には何十メートルという高木になる樹木などがいますが、みんなとても重い自重を自身で支えています。
動物のように骨も筋肉もない植物がどのように重い体を支えているかというと、植物の体は、とても小さな細胞1つ1つの一番外側の構造が、鉄筋コンクリートのような構造をしているのです。
細胞壁と呼ばれる植物の細胞の一番外側は、鉄筋に該当するセルロース、ヘミセルロースという成分と、コンクリートに該当するリグニンという成分でできています。
原初の植物にはなかったこれらの成分を作り出すことでシダ植物は地上に立ち上がることができたのです。
私はシダ植物の種類には詳しくないのですが、風にそよいでいるシダ植物を見ると、「地上で立ち上がるためにすごいがんばったよね。」と呼びかけたい気持ちになります。