トベラ~扉の木
こんにちは。
お引越ししてきてからというもの、湘南の樹木にとても惹かれています。
海辺に自生する樹木は風に強かったり、潮に強かったりするわけですが、海まで歩いて20分くらいの我が家の周りに人工的に植えられている木(庭木や公園樹、防砂林、防風林など)も、この土地に合ったものが育てやすいものなので、自ずと自生するものや、それに近い樹木が植えられています。
同じ樹種のものが自生もしていて庭にも植えられているというのは、八ヶ岳ではあまり見なかった光景で、とても面白いです。
今日は、海岸沿いに自生もしていて、植樹もされていて、そして庭木や公園樹としてもよく見ることができるトベラについてです。
この樹木の葉を家の扉に挟む風習があることから、トベラの名の由来は「扉」から来ています。
トベラを家の扉に挟むのは、邪気を家の中に入れないため。
邪気を払うような植物を「霊草」や「霊木」と呼びますが、そのほとんどは、
●棘がある
●先が尖っている
●香り(臭気の場合もある)が強い
などの、いずれかの特徴を持っています。
この特徴で邪気を払います。
例えば節分の時の柊はその棘で、冬至に入る柚子湯の柚子はその香りで(柚子には棘もあります)、門松も尖った葉先と香りで邪気を払います。
そしてトベラ。
トベラはその臭気で邪気を払うと言われていますが、香りを嗅いでみたところ。。
私にはキュウリの匂いがしました(笑)(ちなみに娘も同じことを言っていました)。
この香りで邪気を払ってくれるのかどうかはさておいて、トベラの魅力はその葉の姿と葉の付き方。
葉の淵が裏側に向けて反り返っているのがトベラの特徴です。
そのため、葉は細長いけれど全体に丸い雰囲気を持っています。
そして、樹形も丸みを帯びた形になります。
葉は中心から放射状に、束になって付きます。
なんだか宇宙を思わせるような形状です。
なので、棘や尖った葉先で邪気を払うというよりは、なんだか攻撃する気力を失わさせるような丸っこさ、そして宇宙との繋がりを感じさせるような姿で、邪気を寄せ付けないというような感じがします。
それから気になるのが「扉」の意味。
戸に挟むから「扉」が植物名の由来なわけですが、扉は「境界線」。
ドイツ語で、「魔女」という言葉の由来は「垣根の上の女」という意味の言葉です。
垣根はこちらの世界とあちらの世界の境界線。
私は、「扉」というのも境界線なのではないかと思っています。
その姿から受ける印象もさることながら、その名前にもとても惹かれる植物なのです。