夏に春霞む
本番がまたひとつ終わりました。
今回の作品は、この作品のために先生が作詞作曲をして曲から作り、本番の舞台では生歌生演奏での演出でした。
この作品はもともと映像作品として8月に撮影されました。
それを舞台で踊るためにリメイクしたものでした。
この二つは全く違う作品になりました。もちろん映像と生の舞台での作品なので細かい構成や振りが変わっているのは当然なのですが、作品の展開も全く違うものになっているんです。
映像作品で、暗闇が開けて光がさしたような幸せな雰囲気で笑顔で踊った間奏は、舞台ver.では、間奏は丸々カットの上に無音でどん底のシーンになりました。
終盤の間奏は爽やかな雰囲気なのですが、そのまま上がっていって終わるのは綺麗すぎて嫌だとおっしゃっていた先生。
先生の作品に参加させていただくのは今回が初めてだったのですが、本当に天才なんだなと、、。ダンスだけどダンスじゃない。一つの芸術作品のような。先生の頭の中を理解するなんて到底無理だけど、先生が描こうとしているものを汲み取るのに必死でした。
ダンスのスキルがあれば、もっと先生のイメージに近いものを表現できるんだろうなと思ったし、こちら側に委ねられているものも大きい分もっと作品の幅を広げられるんだろうなと思いました。
だけど、スキルだけじゃなくて汲み取る力、感じ取る力が重要だとすごく感じました。先生の意図、歌声の変化、伴奏の音の質感、シーンに合わせた力の使い方、、
スキルもまだまだ足りていませんがそういった面ももっと磨いていかなければならないと、たくさん気づかされました。
できるできないじゃない、やるんだよという先生の言葉、刺さりました。
いつも本番前に異常に緊張してしまう私は、本番は一番いいパフォーマンスをしなきゃ、練習してきたことを全部出さなきゃ、できるかな、、という気持ちだったからです。できるできないじゃないんだ。できなくてもお客さんは見ているんだ。できなくてもやらないといけないんだと。
今回のステージは、初めて舞台上で踊りながら心から楽しいと感じました。今すごく楽しい、と本番中に思えたのが初めてでそれがものすごく嬉しかった。
作品の中に溶け込めたような、この作品と一緒に踊った皆さんと一つの空気の塊になれたような、不思議な感覚でした。いい意味でお客さんが見えなくて共演したみなさんのことがよく見えて、どこが前かわからなくて人を頼りに動いて、立ち位置がいつもと違っていても違和感を持たなくて自然にするりとかわすことができて、、とにかく舞台の上であんな感覚になったのは初めてでした。
それを感じることができたのは、先生から与えられたものと、この作品に深く向き合ってきた時間と、長く時間を共にしてきた共演者の皆さんとの関係があったからだととても思います。だから先生にもみなさんにも感謝の気持ちでいっぱいです。
自分もひとつ成長できたような気がしています。
今だったから感じられたことや学べたこともたくさんあったんじゃないかなと思います。ここで感じたこと、忘れたくないです。
次回先生や皆さんとお会いする時にはまたひとつ成長しておけますように。