アルビノが浸透してきた気がする。

ゴールデンウィーク後半にこんばんは。

アルビノで文章書きの雁屋優です。

夜にふとそういやここ数年アルビノの認知度って上がり続けているんだなと思ったので文章にしてみる。

アルビノは説明から逃れられない

私は黒染めシリーズの最初でも表明した通り黒染めを一切していないので、初対面の人にはその髪の色や目の色で驚かれることになる。

一緒に実験や仕事をしようという相手には視力が低いことも伝えなくてはならない。伝えなくては仕事や実験に支障が出るからだ。

もし言う必要がないのであれば、友人以外にアルビノであることは言わないだろう。

その時の説明はこうだ。

「アルビノとか白皮症って聞いたことありますか? それで髪とかこういう色なんです」

ここで一息おいて、相手の反応を見る。

高校生の頃くらいまでは、

「えっ、何ですかそれ。知らないです」

といった反応が多かった。

大学に入り生物学専攻になってからは、

「アルビノわかりますよ。ヒトだとこんな風になるんですね」

といった反応が増えた。

これを私は環境の変化だろうと考えていた。

生物学専攻であるならアルビノの名前は教科書に載っているのだから、知っているのも当然のことだと。交雑実験なんかでも出てきた記憶がある。生物系でアルビノを知らないってこともないだろう。

大学の4年間は本当に楽だった。

アルビノであることの説明をあちこちにしなくてもいいのだ。見えないことを毎回伝えなくても一度の説明でしっかり伝わっている。

学生課や教授陣には感謝している。

一般人でも知っている人が増えた

ここで言う一般人とは医療従事者やアルビノ当事者やその家族、生物学医学専攻でない人々のことを指す。アルビノについて知らないだろう普通の人々だ。

最近、仕事で新しい人に会うことが増えた。視力が悪いことを伝える必要がある場合には自分からアルビノのことを伝え、そうでなければ聞かれたら答えるというスタイルでいる。

個人的には眼症状以外は仕事に関係ないので言わなくてもいいと思っているからだ。

眼症状がさほど不利にならないと思って選んだ仕事なので伝える必要性があまり生じないのもいいところである。

それでも、おそるおそる、確認するように、聞いてくる人はいる。

「雁屋さんて、アルビノですか?」

「雁屋さんハーフなんですか?」

等々。

「どうして髪がそういう色なんですか」が減って、「アルビノですか」が増えたように感じる。

「アルビノですか」と聞くということはアルビノを名前だけでも、名前と大雑把な症状だけでも知らねば聞けない。知らなければ「何でそういう色なんですか」と聞くしかない。

この間も「アルビノですか」と聞かれ、「そうです」と答えたが、相手は何とアルビノの眼症状のことまで知っていて、私は感動した。

アルビノの眼症状まで知っている人というのはごくわずかである。大抵アルビノが紫外線に弱いことしか知らない。

未だに"アルビノ病弱説"や"アルビノ短命説"を信じている人だっている。私はそういう人に何度か出会っている。普通の、老人でもなく、働いている年齢の人だった。

同じ時代に、アルビノの眼症状を知っている一般人がいるなんて! と感動したのも無理はない。

先人達の努力に感謝している

前述のアルビノの眼症状のことまで知っていた方は眼振などの視力以外の症状については知らなかったものの、視力についてはかなり詳しく知っていた。

興味を持ってネットで調べたのだと教えてくれた。

また、アルビノ・ドーナツの会の薮本舞さんの記事なども読んでいて、その人はアルビノのことを詳しく知っていた。

ネットで調べて正しい情報に辿り着けるのは、JAN(日本アルビニズムネットワーク)やドーナツの会のおかげだ。

他の人にもどこでアルビノのことを知ったのか、アルビノについて聞かれる度に訊ねるようにしている。

結構な確率で、薮本舞さんのお名前が上がる。

その度に思うのだ。

ありがたいことだ、と。

薮本舞さんが講演したりいろんなメディアの取材を受けたりして啓発活動をしてくださっているおかげで、アルビノというものが知られるようになってきた。

また、「アルビノのタレントさんいるよね」と粕谷幸司さんのことを知っているという人もいた。

アルビノが知られるようになってきたきっかけとして、他にも様々な方がいる。私の周りで一般人に認知されている名前は薮本舞さんと粕谷幸司さんであるらしい。

お二人に、ささやかながら感謝の意を伝えたい。

私が仕事において眼症状を説明する時間が少し減り、見た目についても一言で理解を得られるようになった。

本当にありがたく思っている。

私も今を生きるアルビノの後輩が少しでも生きやすくなるように、こうして書いていきたい。


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雁屋優
執筆のための資料代にさせていただきます。