ごめんなさい
日常よりも非日常、いつもと違う毎日を求めてた。
海外旅行に行った。飛行機落ちないかな、事件に巻き込まれないかな、全国的ニュースになるやつ、不謹慎だけど期待していた。海外に行くだけでも非日常なのに欲張りだねえ拙者は。
ライブって非日常だった。ストレスを発散させて自分ってこんなにかっこいいことしてるって見せる場だった。でも毎週やるうちに日常になっていった。非日常だった事が日常になっていった。
わたしはプロでもなんでもない、事務所と契約なんてしてないし、本当は大学生でフツーの女の子で、ツイッターの裏垢だってあるし、誰かとセックスだってするし、泣いたり怖い夢見たり好きな人がいたり単位落としたり、そんな普通の女の子なんだよ。特別な人間じゃない。カリスマになれない。友達も少ない、だから嫌われたくない。もっと仲良くなりたいけど踏み込めれない。嫌われるのが怖いから、そうやってメンバーとのちゃんとした対話から逃げてた。
リスナーさんやライブに来てくれるお客さんが伸び悩んでてもうオワコンだ、どうせ2年後にはみんな忘れてる、みんなが好きになってくれる曲を作らなくちゃって迫り来る現実から逃げたくなっていた。自分が好きで始めた音楽なのに現実が強すぎて音楽で食べていく事に執着していた。わたしが曲作って頑張らなきゃメンバーを養っていけない、メンバーはわたしがいないと無理なんだからっていう上から目線の勝手な決めつけで全員が苦しい状態、別の船に乗ればいいのにって思った。だったらメンケアもしなくて済むし好きな楽器だけに没頭できるのにねって、自分から突き放す事を言ったり。
ほんとに友達もいないから、相談とか愚痴とか、贅沢な悩みじゃないの、だからどこにも言えなかった。メンバーに失望してる事、何回も期待を裏切られた事、自分の事をいつも棚に上げている事。ツイッターとか日記だけが吐き出せる場所、返信が来ないから不安で不安で映画を見ては止めて泣いてタバコを一箱吸って、枕元にあった睡眠剤をたくさん飲んで早く寝ようって。映画を見るよりもゲームをするよりも1番現実逃避ができるのが睡眠だからさ、いつも死にたくなる時は睡眠剤に手が出る。寝てる間は何も考えないでいいから将来も未来も寝てる間は考えないからね、逃げてしまいたい。どっかに。
無意味なスタジオ練習、いつも同じような結果になってしまうライブ、その隙間をぬって恋愛ごっこをやる。恋愛が1番気持ちを揺さぶられて曲が出来やすいから。でも所詮はごっこです、どうでもいい人とはセックスをしてしまって、大切な人には言いたい事も言えずチューすらスキンシップすらも出来ず、わたしは死ぬまでそうやって生きてくんだろうな。
好きな人には死ぬほど嫌われたくなくて、どうでもいい人にはどう思われたっていい。
孤独で地獄。
リスナーさんから愛のあるDMやファンアートを頂いてもYouTubeのコメントで褒められようと好きなアーティストと対バンしようとタワレコで一位になっても何されようとも自分の孤独が埋まらない。デカい承認欲求に自分は殺されると思う。結局身近な好きな人と一緒にご飯食べて遊んで、自分の事好きなんだろうな、わたしがいないといけないんだろうなって思えないと生きていけない。生きる理由がない。
「暗い音楽が好きなのは何で?」
曇りの日の墨田区/未来電波基地
励ましてくれたり応援してくれる曲には興味がない。だってわたしが会った事ない人だよ。どんな人かもどんな苦しみを乗り越えてきたのかも知らない人だよ。でもね、暗い曲を聴くと知らない人でもあなたもなんだなってわたしだけじゃないんだなって落ち着く事に気付いた。昔にセフレと日記を読む会をした時に「幸せになりたい」って大きく書いてあって苦しいのはわたしだけじゃないんだって簡単な事に気付いて超絶号泣。苦しみや悲しみの方が共有しやすいのかな、本当になんでなんだろうね。
メンバーは曲作らないからわたしの気持ちがわからない、こうやって自分は暗い音楽を聴いて消費しているのに自分の曲が誰かに消費されているのが辛くなって気持ち悪い矛盾を生んでしまって坩堝、誰にも打ち明けられない抱え込んでしまった末爆発。心配と迷惑をかけてごめんなさい。上手に処理できなくてごめんなさい。美しいところばかり見せれなくてごめんなさい。プロ意識も何もなくてごめんなさい、本当に一般人なんです、庶民です、田舎の普通のお家で生まれ育ったちょっと変な女なんです。
父親からの唐突な長文ラインにびっくりして返信できずにいる。わたしは父親みたいに生活する為にやりたい事を辞めるくらいなら絶対結婚なんかしないし子供も作らない。昔からずっとそう思っていた。でもいつの間にか現実的思考に頭がやられてこれで食っていかなきゃってなってた。メンバーを抱えるってそういう事だから。バンドは自分の力だけじゃいいものにならない。それをロマンって言う人もいた。メンバーに期待して変化を求めて当たり散らかして最低だった。
だけどわたしは面白い事なんでもやってみたい人なのだ。音楽だけじゃなくていいのだ。こうやって文章書くのも好きだし絵を描くのも好きだ。何かが自分から生まれて誰かに影響させるのが好きだ、人間が好きだ、だから創作をやる、やっと思い出した。
どこかで繋がって誰かがインターネットで見つけてくれてなんとなく広がって、いつか本当にわたしを必要としてくれる人に出会って自分は最高に幸せになりたい。今でも幸せだよ、だけどもっと幸せになりたいと思う。欲張りだねえ拙者は。