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Too much disclosure?

 11月も下旬となり、16時頃には真っ暗になる日々です。ストックホルム周辺では雪が積もり始めたようですが、南部にあるベクシェーは昨日少しちらつき始めた程度。ただ気温は最高気温が0℃を超えない日もあり、こちらもすぐに雪が積もると思います。
 今回は前回のID Cardの話のつづきです。写真はベクシェー近くのHusebyというところでのクリスマスマーケットの様子で、記事とは関係ありません。

ID Cardは何に使われているのか?

 苦労して手に入れたNational Identity Cardを普段何に使っているのかというと、最も多いのはSystembolaget(国営の酒屋さん。今後記事にします。)での年齢確認。アジア人が若く見られる、以上に自分自身が比較的童顔である、以上に年齢確認が厳しいため、28歳でも必ず毎回提示しています。それまではお酒を買うためにわざわざパスポートを持ち歩いていたことを考えると、多少楽になっています。
 また、郵便ポストに入らない、または入れるべきでない郵便物を受け取る際にも本人確認書類として提示します。「ここで受け取ってほしい」という通知がポストに届き、その紙を持って受け取りに行くのですが、郵便局ではなくスーパーマーケットに窓口があり、受け取ることができます。そのため、先日現地の友人数名と話していて気が付きましたが、長く住んでいる人でなければ(私自身も含め)郵便局が町のどこにあるのか知りませんでした。

ID numberはより広く使われている

 ID card入手の過程で手に入れたPersonal identity numberはより広く使われていて、たとえば学割を受けるためのアプリに登録するのに必須です。

Emailを入れても、その後ID numberが求められます

 これだけでなく、スーパーマーケットやホームセンター等のポイントカードを作る際にも、ID numberが必要であることが多いです。
 また、銀行口座を開設する際にも必須となります。(なお、銀行口座にはBank IDというものが紐付けられていて、これもまた汎用性が高いもののようなのですが、スウェーデンに来て3ヶ月、未だ取得できていません……。)

衝撃! 晒される個人情報

 なんと、以下のウェブサイトに名前を入力すると、
・ 氏名
・ 年齢
・ 誕生日
・ 住所
等がわかってしまいます。(類似のウェブサイトが他にもあります。)
 1年以内に帰国する交換留学生は検索しても出て来ないので、どうやらResidence Permitではなく、ID numberの申請をすることで掲載されるようになるのではないかと思われます。(重ね重ね、交換留学生の方々は検索しても出て来ないので安心してください!)

実害はないけれど

 名前でしかヒットしない以上、私の名前を知っている人しか検索することができず、その意味では実害はないのですが、日本人的な感覚では「どうなんだろう?」と思うことと思います。
 このウェブサイトのトップページには、
・ 人々や会社の情報を探している人に素晴らしい選択肢を提供しています!
・ 私たちの目的は、すべての情報に簡単にアクセスできるようにすることです!
……という開き直り具合。

Privacy?

 このウェブサイト上に「Privacy」というページがあり、「ほうほう、どういう了見か」と見てみたところ、気になる記述がありました。

2. Förhållande till Yttrandefrihetsgrundlagen
Hitta.se innehar utgivningsbevis för publicering av information på hemsidan www.hitta.se. Det innebär att personuppgifterna på hemsidan omfattas av grundlagsskyddet i yttrandefrihetsgrundlagen och att behandlingen av dem ärför är undantagen reglerna i GDPR. Integritetsskyddsmyndigheten har mer information om effekten av utgivningsbevis här .

https://www.hitta.se/din-integritet

DeepLによる翻訳であることをお断りしますが、
・ この会社はこのウェブサイト上の情報を公開するライセンスを持っており、
・ このウェブサイト上の個人情報は、「表現の自由に関する基本法」による憲法上の保護の対象となることを意味します。
・ そしてこのことは、GDPRルールから除外されています。
といったことが書いてあります。

「表現の自由に関する基本法(Yttrandefrihetsgrundlagen)」

 スウェーデンの憲法は4つの基本法から構成されていて、「表現の自由に関する基本法(Yttrandefrihetsgrundlagen)」はそのうちの1つを構成しています。(他は「統治法」「王位継承法」「出版の自由に関する法律」)
 政治的な意見形成の重要性が増大したことを背景に1766年に最初に制定された「出版の自由に関する法律」が書籍や活字メディアを対象としていたのに対して、テレビやラジオ等の新しいメディアを対象とした表現の自由の保護を目的とした法律の制定が必要とされるようになり、1991年に「表現の自由に関する基本法」が成立したそうです。
 自由な意見形成を重視し、表現の自由に憲法上の特別な地位を与えているのはユニークな点だと思います。

(参考)国立国会図書館調査及び立法考査局『各国憲法集(11) スウェーデン憲法【第2版】』(2021年3月)

https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_11645996_po_202001a.pdf?contentNo=1

 いずれにせよ、このウェブサイトは正当に個人情報を掲載しているものと言い得そうです。このような日本との感覚の違いも面白いです。
 引き続き日々の生活で気になったことを書いていこうと思います。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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