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Colaboは非営利法人の闇そのものだった|ネイル講習・アロマ講習は必要なのか?
ついに出た東京都監査委員会の監査結果
筆者は2回に続けてColabo問題について書いてきた。
「Colabo問題や貧困ビジネスの本当の罪|福祉関係者が黙るワケ」
「Colaboはそもそも必要だったのか?|非営利法人の内部留保2兆円の闇」
そんな一般社団法人Colaboの監査結果は「不適切な経費計上があった」とするものだったことが、2023年1月4日17時55分、時事ドットコムニュースより発表された。
「委託事業で不適切経費 若年女性の支援巡り―東京都監査委員」
それを受けて、Colabo側からは2023年11月4日に声明が発表された。
「【弁護団声明】東京都に対する住民監査請求結果について」
暇空氏側も2023年1月5日に記事を公開している。
「住民監査請求結果(表3)を検証する」
暇空氏の監査請求と東京都からの回答の全文は、有料だが、下記URLで読むことができる。
「Colabo住民監査請求結果全文とその解説」
同じように、Colaboの会計処理に違和感を持っていた筆者は、購入して読んでみた。
Colaboは非営利法人なのか否か
Colaboの活動報告書はこちらからダウンロードできるが
活動報告書ダウンロード – 一般社団法人Colabo(コラボ) (colabo-official.net)
その中の「会計報告」が、一般企業でいう損益計算書にあたる。
一般社団法人には非営利型(本来の事業に関わる収益は非課税)と普通型(一般法人と同様に収益は全て課税される)がある。
筆者はそもそもColaboが非営利型一般社団法人なのか、普通型の一般社団法人なのかが分からなかった。
非営利法人に対する誤解
非営利法人には、NPO法人・社会福祉法人・一般社団法人・公益社団法人・公益財団法人・学校法人・医療法人がある。
福祉事業者の多くは、NPO法人や社会福祉法人だ。2012年4月から、厚生労働省は地域移行の推進を推し進めており、株式会社も多く参入している。
そこには構造上、内部留保が起きやすいということは
「Colaboはそもそも必要だったのか?|非営利法人の内部留保2兆円の闇」
で書いている。
「非営利」という言葉だけ見ると、収益を出してはいけないと誤解する方が多いが、非営利法人でも収益を出すことに問題はない。
利益の配当をしない法人を非営利法人と言います。非営利とは、株式会社のように株主に利益の配当をしないという意味です。つまり、利益が出てもOKですが、法人の社員に配当することができないだけで、事業を行って得た利益を法人の活動費用に充てることは何ら差し支えありません。非営利だから「利益を出してはいけない」「収益事業を行えない」と勘違いされる方もいらっしゃいますが、それは違います。事業を行って役員に報酬を払っても構いませんし、従業員を雇うこともできます。ただし、お金が余っても配当はできず、法人の事業目的達成のための活動費用に充てることになります。
非営利型の場合、収益事業から生じた所得のみが課税対象になり、収益事業以外の会費や寄付金に対しては課税されません。一方、普通型の場合は、株式会社と同様、全ての所得が課税対象となります。
Colaboは非営利型一般社団法人
一般社団法人で非営利型の場合、寄付者が個人の場合、所得税の寄付金控除がない。
Colaboのホームページを見ると、Colaboは非営利型一般社団法人だ。
※Colaboへの会費・寄付は、一般社団法人のため寄付金控除の対象外となります。
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筆者は前回、Colaboの収益の多さ(2021年度で66,421,343円の黒字)から、普通型の一般社団法人という前提で「Colaboはそもそも必要だったのか?|非営利法人の内部留保2兆円の闇」と書いた。だが、どうもColabo自体が非営利法人の闇そのものだったようだ。
Colaboの会計報告の何が問題なのか
暇空氏は「住民監査請求結果(表3)を検証する」の中でこのような図を使って指摘する。
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ひ「順番に問題点を指摘していきましょう。まず、この、監査委員がColaboの帳簿を見てきたら新しく出てきた表3があるということは、「Colaboは都庁に提出した令和3年の報告書は虚偽だったこと」、「ColaboがWebで公開している活動報告書は虚偽だったこと」が確定します。いやー、嘘の報告書をつかまされた都庁と、あと嘘の報告書を信じて寄付した寄附者は馬鹿みたいですね。Colaboは帳簿が残ってるはずの過去5年分、本当の収支報告書を再アップするべきでしょう」
暇空氏のように住民監査請求を行ってまで、Colaboの会計報告をチェックする人など滅多にいるものではない。ColaboのWEBで公開された報告書を見て、善意から寄付する人がほとんどだろう。偽っていたのであれば、寄付者に対する重大な裏切り行為だ。
また、法律的には問題ないとはいえ、2021年度で66,421,343円の収益は儲けすぎだ。非営利法人の収益の中でも、困窮者支援事業に関わるものは、全て非課税となる。
アロマ教室やネイル教室は少女たちの支援になるか?
Colaboには、Tsubomiという「Colaboとつながる女子たちによるサポートグループ」がある。
活動内容は以下
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「当事者同士のゆるやかなつながりを通して支えあい、相談者のサポートや当事者としての発信活動などをして」いるグループなのだから、季節のイベントや夏祭りなどは楽しめばいいと思う。しかし、ネイル教室、アロマ研修などは必要なのだろうか?
重箱の隅をつつくように、アロマやネイル教室で楽しむなんてけしからんと言いたいわけではない。
筆者はネイル教室に通った経験はないが、アロマテラピー教室に通ったことがある。例えば、女性に人気のローズのアロマオイルなら、筆者が使っていたメーカーでなら5ml28,600円である。アロマオイルは複数のオイルをミックスし、香りを楽しむものだ。それを混ぜるための専用のビーカー、攪拌棒、基材なども一式揃えると10万円を軽く超えてしまうメーカーもある。オイルにも使用期限があり、それを過ぎれば、破棄となる。
それらは果たして、補助金や寄付金でやるべきことなのか?
これらは全て法的に問題はないが、それならば、囲碁教室でも卓球教室でも「少女たちのため」という名目さえあれば、やりたい放題ではないか。制度の隙をついて公金を悪用しているように見える。
勝利宣言をしないで欲しいという福祉関係者
前の記事に引き続き、ペット共生型障害者向けグループホームを運営する、株式会社アニスピホールディングス代表取締役・一般社団法人 全国障害福祉事業者連盟の理事長である藤田英明氏はこう語る。藤田氏のグループホームでの障害のある方の就業率は70%を誇る。
「アロマやネイル講座が少女たちの自立に役立つ活動とは到底思えません。
それに、合法であるとしても、非営利法人で66,421,343円の収益は異常です。
非営利法人の会計制度のゆるさを利用しているように感じます。
そこまでの収益を出すのであれば、営利法人としてきちんと納税すべきだと思います。
僕が理事長をしている一般社団法人 全国障害福祉事業者連盟は、手弁当で運営しています。
全障連は補助金も助成金も委託費も受けていません」
またこうも続ける。
「僕は前回もNPO法人や社会福祉法人の内部留保は2兆円で、その原資は税金と保険料だと言っています。
かなり多くの指摘を監査で受けているにも関わらず、仁藤夢乃さんはTwitter上で勝利宣言をしました。それは、福祉業界全体の評価が毀損されるので本当にやめて頂きたい。
指摘された事項すべてに問題がないのであれば、それを立証して頂きたい。できないのであれば指摘事項に関して真摯に謝罪し、今すぐにでも公金を返還して欲しい。
明治学院大学社会学部・福祉業界の先輩として、立て直しに力が必要であればいつでも協力します」
と批判しながらも応援する姿勢をくずさなかった。
会計検査院が入るという噂もインターネット上ではあるが、定かではない。Colabo自体が古くから取り沙汰される「非営利法人の闇」でないことが証明されることを待ちたい。
田口ゆう
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