【連載】バイノーラル音声作品って、どんな風に制作するの?(3)【最終回】
どうも。ボイスプラン事務所の林田です。
連載企画第3弾のお時間です。
第1弾、第2弾をまだご覧になっていない方は、先に第1弾、第2弾を見てからこちらの記事をご覧になることを強くオススメいたします。
▼第1弾「【連載】バイノーラル音声作品って、どんな風に制作するの?(1)」
▼第2弾「【連載】バイノーラル音声作品って、どんな風に制作するの?(2)」
さて今回は【最終回】、音声データの納品から販売までの話を書き綴っていこうと思います。
再度となりますが、どちらかというと、プロデュース側の話になってきますので、音響の技術的な話はほぼほぼ含まれない内容になってくると思います。その点は予めご了承ください。
それでは、行ってみよう!
1.音声データの納品
それでは、まずは音声データの納品についてです。
基本的には、音響会社さんにFIXデータまで作っていただく形になります。
音声データの納品されるまでは、「宣伝」の為の準備をしましょう。
なお、音声データは作品のボリュームによりますが、基本的に遅くとも販売の10日前には納品していただくように制作サービス会社と音響会社にお願いしておきましょう。
というのも、最初の納品で正しい音声データになっていることは稀です。
これは音響会社さんも人力で音声データを作っているからで、作品ボリュームが長ければ長いほど、音声データの編集ミスがある可能性が高いです。
音声データが納品されたら、必ず、出来るだけ早く音声データの検品を行い、編集ミスがあった場合は「どこのトラック」の「何分何秒時点」の「どのセリフ」がミスしているかをまとめ、どのように修正して欲しいかを制作サービス会社に連絡しましょう。
そしてこの検品ですが、きちんとすべてのトラックを集中して聴いて、チェック漏れがないようにしましょう。
何故なら、この検品でミスがあると、二度手間になってしまうからです。
一回の修正依頼で済む話が、チェック漏れのせいで二回目の修正依頼を出すとなってしまうと、時間が勿体無い上に、制作サービス会社さんと音響会社さんの時間も無駄に奪ってしまうことになります。
責任を持って、検品を行いましょう。
修正箇所の数によりますが、基本的には修正依頼の連絡から1日〜3日で修正版の音声データが納品されます(修正箇所があまりにも多い場合はこれ以上に長い時間が必要になる可能性もあります)。
修正版の音声データを納品されたら、検品を行い、問題ないようでしたらその旨を、問題がまだあるようでしたら再度修正依頼の連絡を、制作サービス会社にするようにしましょう。
ちなみに、1回目の納品が販売10日前、一度の修正(3日かかる)でFIXとなった場合、販売から7日前に音声データが納品されることになります。
販売の申請や、試聴音源の公開など、販売に向けた作業が待っていますので、遅くとも販売から7日前には音声データが納品されていると問題ないかと思います(もちろん、納品は早ければ早いほど良いです)。
2.販売までの準備(宣伝)
販売するまでに、宣伝は不可欠です。
せっかく作った作品です。出来ることなら、多くの人に作品をお届けしたいものですよね。
さて、この宣伝ですが、基本的にはTwitterのアカウントを用意して、定期的にツイートを行なって情報を発信するのが一番手っ取り早いかと思います。
少し難しい話になりますが、「ザイオンスの法則(単純接触効果)」「セブンヒッツの法則」というものをご存知でしょうか?
かいつまんで説明すると、「接触回数が増えると、好感度が上がる」「広告や情報に3回接するとその製品を認知する確率が上がり、7回接すれば購入に至る確率が上がる」というものです。
この2つの法則で何を伝えたいかと言うと、定期的にツイートをして、認知率を高めることが重要ということです。
ただし、1時間に1回のような超短いスパンではなく、1日に1回程度に留めた方が無難です。
というのも、このザイオンスの法則は、10回以上の接触からはほぼ意味なしなうえ、逆効果に転ずることがあるという研究結果があります。つまり、あまりに短いスパンで何度もツイート(広告)を見せると、販売までに10回以上の接触になりやすいうえ、逆効果に転じやすいということです。
例えば、Youtubeで短いスパンで何度も同じ広告を見せられたらイライラしますよね?
それと同じです。短いスパンの広告は逆効果になりやすいということです。
たくさん広告をうちたい気持ちは分かりますが、ほどほどにするようにしましょう。
そして、音声作品の宣伝でもう一つ大事なのは、「試聴音源」です。
漫画とかでいう「試し読み」みたいなものですね。
実は、僕は音声作品を始めたての頃、試聴音源の公開に重きを置いていなかったのですが、「試聴音源」の有無は販売数に大きな違いが発生します。
無論、「試聴音源」がある方が売れます。
これは何故か。
バイノーラル音声作品って、声優さんの声はもちろんのこと、シチュエーションを楽しむものがほとんどです。「試聴音源」で作品に登場する子はどのような声なのか、どのような距離感で接してくるのかを確認してから、自分の好みにあったものをユーザーは購入してくださいます。
その声優さんのファンなので無条件に購入する方、パッケ買いをする方も一定数いらっしゃいますが、変な話、試聴音源がないと作品のイメージが湧かず、ユーザーにとって博打になってしまいがちです。
例えば、小説や漫画などは、「視覚」で楽しみます。つまり、一般的に、表紙やタイトル、あらすじなどの目で見える情報(=視覚情報)で得た決め手で購入することになります。
しかし、「音声作品」というのは「聴覚」で楽しみます。つまり、一般的に、試聴音源(=聴覚情報)で得た決め手で購入することになります。
ということで、「試聴音源」を用意して、多くの人に作品を楽しんでもらえるようにしましょう。
3.販売の申請
音声データが納品されたら、販売の申請をしましょう。
ここでは、申請時の注意を書いていきます。申請方法に関しては各販売プラットフォーム様で異なるので割愛します。
では、申請について。
当たり前ではありますが、時間に余裕を持って販売の申請をするようにしましょう。
「じゅじゅっとウェルダン」では、現在、DLsite様のみで作品の販売をしておりますが、DLsite様では販売の3日前までに販売の申請をする必要があります。
初めて作品を申請する場合、申請にかなりの時間がかかるでしょう。勿論、いくつか作品を出していき、申請に慣れればある程度サクサク進むでしょうが、最初は時間がかかるものです。
絶対に申請期限直前に急いで申請!というのはやめましょう。
ちなみに筆者は、だいたい申請は販売5〜6日前には終わらせるようにしています。
申請に不備がある場合もあり得ます。そうなった場合に、想定していた日に販売できない可能性が出てきます。
そのような想定外の事態にも対応できるように、出来るだけ早く申請を出すことが重要なのです。
特にスケジュール遅延は今まで作品制作に携わってきたスタッフさんや声優さんに迷惑がかかりますし、信用問題にも関わってきます。
再三になりますが、時間に余裕を持って申請をするようにしましょう。
4.ついに販売!
申請が無事に終わり、販売日になったら……
ついに! 販売開始となります!
長い時間と多大な労力を経て、ついに作品は販売されるのです。販売した時の達成感は計り知れないものでしょう。
ですが、そこで活動をストップするのはNGです。
販売が始まっても、宣伝は1週間程度は続けましょう。
意外と、販売が始まってから情報を初めて知るユーザーも多いです。
そのようなユーザーにも認知してもらうことが重要ですので、販売後も宣伝は続けましょう。
5.まとめ
ということで、今回のまとめです。
①遅くとも販売の10日前には音声データを納品していただくように制作サービス会社と音響会社にお願いしておこう!
②音声データが納品されたら、必ず、出来るだけ早く音声データの検品を行おう!
③定期的に宣伝(ツイート)をして、認知率を高めることが重要!
④試聴音源を用意しよう!
⑤時間に余裕を持って販売の申請をしよう!
⑥販売開始してからも、1週間程度は宣伝を続けよう!
かいつまんでまとめました。
大事な要点は、上の6点だと思います。
音声作品作ってみたいよ!って方は、ぜひ参考にしてください。
ということで、3回にわたる連載記事もこれにて終了!
バイノーラル音声作品の企画立案から販売まで、一通りの制作の流れを記事にしてみましたが、いかがだったでしょうか?
販売まで結構大変ではありますが、販売した時の達成感は作ってみないと味わえないものです。
音声作品制作に興味を持ったそこのあなた!!
是非、一緒に音声作品を作りましょう!!
執筆者は、いつでも制作のご相談、お仕事のご依頼ウェルカムです!
音声作品作ってみたいけど、ちょっとまだ分からないところがあるんだけど……という方のご相談もお待ちしております!
ここまでご覧くださった読者の皆様、ありがとうございました。それでは、また次の記事でお会いしましょう。
アディオス!
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