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”素直じゃない”ぼくがフリーズした日

小学生の頃、社会科で食糧生産の授業を行った。
日本の食料自給率のことや、日本が現状輸入に頼っていることなどをやったと記憶している。
最終回の授業では、日本の食料自給率の低さを解決するにはどうすればいいかを生徒が考え、1人ずつ発表することになった。
ぼくの頭はすぐにフリーズした。何もアイディアが思いつかなかった。
もちろん、食料自給率を上げた方が良いことぐらいはわかるのだが、その具体策がさっぱり思いつかなかった。
なんのアイディアも思いつかず、発表が始まってしまった。不安と同時に、みんなどんなアイディアを言うのだろうと、シンプルに興味津々だった。

同級生
「輸入にばかり頼るのは良くないので、みんな自分で農業をして自給自足をしていけば良いと思います」

ぼく
「?????????????」

ぼくは、またフリーズした。当時のぼくにとって驚くべきことに、
このような回答がその後連発した。ぼくはさらにフリーズした。
「え、みんなそれ本気で言ってんの?」
「それって、解決案じゃなくない?」
「え、なんでみんなもっとちゃんと考えへんの?」
「え、みんな、バカなん」
結局、フリーズしたままのぼくは何も思いつかず、
「わかりません」
という最も不名誉な回答をして終了することとなった。

今にして思えば、みんなちゃんと考えて発表したわけでも、
ましてやバカだったわけでもなく、
「こんなん私らにわかるわけないやん」
「とりあえず、できんのわかっててもなんか回答しとこ」

という風に、”適当”に発表をやり過ごしていただけだったんだと思う。
みんなは大人で賢かった。
(バカは、ぼくである)


そして、もう一つわかったことがある。
ぼくは、人生の多くのタイミングで、
「素直じゃない」
と、大人から捨て台詞のように言われてきた。
だけど、同時に思う。
ぼくほど素直な人がいるのだろうかと。
小学5年生にもなって、課題のやり過ごし方もわからず、
本気で日本の食糧自給率問題を解決しようとする少年を、
バカ素直と呼ばずして、誰を素直と呼ぶのだろうか。

ちなみに母は、小学6年生にもなって、
律儀に音読の宿題をする我が子を見て、
「この子は大丈だろうか」
と思ったらしい。


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