33年の時を超えて(後編)

さて、おもちゃ屋さんで頂戴した「ぽろりんちゃん」2体。
頂戴したものの、ホントに姪っ子は喜んでくれるだろうか…?

なんせ、33年前のおもちゃ。
ましてやキャラクターものでもない。
まぁ、逆にそれが時代も関係なくていいんだが。

妹夫婦は、翌日1日の夕方にやってきた。
前回は1歳ちょいでの対面だったので、殆ど触れ合えずにお別れすることになった姪っ子は、すっかり大きくなって、喋ったり、一緒に遊ぶことが出来るようになっていた。

例によって、子供に好かれることにはちょっとした自信があるのだが、予想以上に懐かれて、ちょっと嬉しかった。

さて、その姪っ子へ、翌日2日の朝、「ぽろりんちゃん」をプレゼントすることにした。
その前に、姪っ子の親である自分の妹を呼び、事情を説明したところ、「これ、喜ぶよ!ホントに貰っていいの?」と喜んでくれた。

我々が話している様子を覗きにきて、置かれている「ぽろりんちゃん」を見つけた姪っ子の表情が変わった。
タタタッ!と駆け寄ってきて、しげしげと箱を見つめている。この目線、マジで喰い付いている。

その時、思い出した!
妹夫婦、歯医者じゃないか!!

そうなのだ。妹は祖父が整骨院を営んでいた姿に憧れ、医療の道を目指すことになり、苦節を重ね、歯科医になる夢を叶えた。

数多くの苦労(一時期、自分ほどではないが、職場のストレスで心を病んでしまっていた)を重ね、あるとき、同じく歯科医だった今の旦那と出会い、人付き合いの苦手な妹と珍しく気が合ったらしく、結婚にまで至った。

そう考えると、両親が歯医者という家庭に生まれた姪っ子に、歯医者さんをテーマにした人形&ごっこ遊びができるおもちゃを渡すことができるというのは、これこそ玩具の神様のお導きなのではないか。

そして、じっくり「ぽろりんちゃん」の箱を眺めた姪っ子がひと言。

「…よかったぁ……。」

タメがしっかりある、そしてしみじみとした言い方が妙にツボに入ってしまい、加えて、偶然の積み重ねにより、33年前からおもちゃ屋に眠っていた玩具が、息を吹き返す瞬間に遭遇することができて、少なからず玩具業界に関わる立場として、初心に立ち戻るかのような気持ちになれた。

やっぱり、玩具はいいものだよ。

今年は、その姪っ子に喜んでもらえるような商品により一層関われるようになりたいな。

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