すあまオンリーワン
唯一無二の食べ物とはこのことではないか。私はすあまに対してはそんな気持ちを持っている。
まず名前がいい。名前から得られる情報が乏しすぎる。すあまと聞いて何を思い浮かべるだろうか。私はまだその存在を知らず初めて聞いたとき、酸いも甘いもみたいな名前だなと思っていたがその食べ物の見た目や味は全く想像がつかなかった。
すあま
である。甘そうではあるが、しかし甘さの程度も原因もわからぬ。由来も原料も全くもって伝わらない。他の要素を想起させる文字が何も入っていないのだ。
つまりは唯一無二、すあまはすあまのためだけに存在する名称といえよう。
次に歯ざわり、これも素晴らしい。ボンタンアメなど歯につく感じの食感が大好きだが、すあまにもそのニュアンスは感じられる。しかし歯にくっついて取れないとか、全くそんなことはない。一緒にいるときはくっつくけど、じゃあね、の後は干渉も束縛もない恋人のようと言ったっていい。
モチモチというにはモチモチ度が高すぎる。モッツ…モッツ…というほうが近そうだ。噛むという行為を不思議な体験に昇華する食感、たまらない。餅や団子とは似て非なる。この点でも唯一無二。
味もいい。やさしい甘さしかない。香りも風味も塩気もない。やさしい甘さ、これだけ。「やさしい甘さ」のイデア。ほかに何もないがやさしい甘さだけある。しかし甘いだけ、だが飽きぬ。天性のやさしい甘さである。
唯一無二でないとすれば見た目だ。和菓子屋さんにあるすあまは白一色、薄ピンク一色だったりするが、コンビニやスーパーにあるすあま、君はどうしてかくもかまぼこに似ている。画像を二つ並べると瓜二つだ。他の要素は全く似ていないのに!ここだけはどうにも不思議だ。
和菓子屋さんにある、あの「のほほん」としたやさしいまんまるのすあまのビジュアルは最高。あれを以てしてすあまは完全体となりうる気さえしている。言い方を変えると単に私はすあまとしてはそちらの方が見た目は好き。
この慌ただしく棘まみれの世界において、やさしいとかのんびりとか、もしかすると何よりも大切なものを思い出すために君はいるのだろうか。
だとしたら君は天使だ。モッツモッツで、甘さがやさしくて、丸くて小さな天使。構成するあらゆる要素に癒される。
すあま、大好き。