ボストン・ポップス〜街角ピアノ〜サタデーウオッチ9の感動
はじめに
タイトルに並べたものは、私が2023年10月7日、一度に受け取った感動たちである。
ボストン・ポップスのコンサートに行って生音に痺れて帰った後、そこにソリストとして出演されていたピアニストの角野隼斗さんが出るBSの街角ピアノと言う番組を見て、就寝前に地上波のニュース、サタデーウオッチ9で彼が紹介されていたのを見る、と言う何とも贅沢な一日だった。
まとめて、こんなにたくさんのハッピーを頂いて良かったのだろうか。
ありがたい一日だったなあと、日付が変わった後になっても、その余韻に浸りながらnoteをぽちぽち綴っている。
ボストン・ポップス
いきなり泣いた2曲
この日、プログラムの最初を飾る「スーパーマン・マーチ」と最後の「スター・ウォーズ」メイン・タイトルは、最初の音が鳴り始めた途端に、ぶわっと涙が溢れて、自分でもビックリした。
何で泣いているのかわからないが、勝手に涙腺が緩んでいたのだ。
有名な作品の曲でもあるので、指揮者、オケ、観客、みんなの想いが昂って、ホール内で共鳴し合い、それに心を揺さぶられた結果なのでは、と感じた。
鳥肌が立った演奏
「未知との遭遇」の生音の衝撃はとてつもなかった。
演奏と共に、映画のシーンもスクリーンで映し出されていたのだが、映画の中で流れる空気を、ホールの中にそのまま現出させたように感じる、素晴らしい音色だった。
角野隼斗さんの演奏
「サブリナ」のテーマは、冒頭から甘く優しい音色にうっとり。
「E.T.」から「Over the Moon」では、透き通るような音の響きに魅せられた。
弾き手の心の純粋さを思わせるような美しい音は魔法のようで、聴き入っているうちに、心は別世界へ。
夢見るようなひと時だった。
その後のコンチェルトは、昼と夜で別の曲だったのだが、私は昼公演で、ジョージ・ガーシュウィンのピアノ協奏曲より第3楽章を拝聴。
初っ端からクライマックスな演奏で、ノリノリ。
自由自在な即興も入って、先の読めない展開にワクワクか止まらない。楽しい。
これだから、彼の演奏に惹かれてやまないのだ。
ボストン・ポップスのオケの皆さん、茶目っ気のあるマエストロ、キース・ロックハートさんとの音色の一体感もぴったりで、音に包まれる感覚は、何とも言えない心地良さだった。
昼公演のアンコールは、アイガットリズム。
直前までの演奏の余韻に浸るように、一音一音を慈しむように弾いていた姿が印象的。
見ているこちら側も、幸福感でいっぱいになるような、そんな演奏だった。
ボストン・ポップスさんの演奏
素人の感想だが、一人一人の音がバラけておらず、とても美しく溶け合い、一つの織物を織るように演奏されていたように感じた。
癖はなくて、耳に優しく沁み入る。
音の中には、キラキラしたときめきの粒のようなものが散りばめられていて、聴いていると、魔法にかかったように、別の世界に連れて行かれる、不思議な音色。
角野さんの演奏にも、これに似たワクワクの煌めきが音の中に輝いて見えるような感覚を覚えるのだが、両者の中に流れるものの中に、何か通じるものがあるからこその、相性の良さを感じる演奏だったのかな、と思った。
街角ピアノ〜サタデーウオッチ9
ニューヨークを拠点に活動を始めた角野さんに密着した番組。
街角のピアノ演奏を中心に、音楽を通じて生まれた交流が丁寧に描かれていて、彼の体験の一部を追体験させて頂いたような感覚になった。
街を歩けば、素敵な偶然の出逢いがあり、音楽を通じて、いつしか彼の周りには笑顔が溢れている。
天国がもしあるなら、こう言う世界なのではと思う程、視聴している間は、ずっと心温まるひと時だった。
最近はニューヨークについて、災害のニュースなどをよく見ていたので、あまり明るいイメージがなかったのだが、見ているうちに、何て開放的で自由な、魅力的な街だろうと、がらりと認識を改めた。
たぶん、私はこの街の一面しか見ていなかったのだと思う。
最初から斜に構えて見ていたら、悪い面ばかり目につくものだ。
角野さんの目線で捉えたカメラを通じて描かれるニューヨークの暮らし、そこに住む人々はとても温かい。
彼の持つマインドが、そうさせているのではないか。
心持ち一つで、世界の見え方は変わるのかもしれない。
「心の底から楽しんで、自由さがあって。それが音楽の本質だなと」
サタデーウオッチ9で、彼はそう語っていたが、角野さんが演奏する姿は、実に楽しそうだ。
弾いている姿を見ているだけで、こっちまで楽しい気分になって来る。
本当に不思議な魅力をお持ちの方で、今後もますます目が離せない、応援したい存在だ。