第11回城陽定期演奏会 ショパンピアノ協奏曲第1番 角野隼斗 藤岡幸夫
今回は母と一緒に行きました。
親子での参加はこれが初めて。
また、母にとっては生オーケストラ、生角野さんもこれが初めて。
最初は渋っていたので、私の分だけチケットを買っていたけど、途中で気が変わったらしく、後から慌ててチケットを追加で購入。
残っているタイミングで良かった……!
京都駅から普通電車で約三十分。
最寄りの寺田駅から、今日の目的地、文化パルク城陽まで徒歩10分程度。
受付後、希望者にはブラボーカードの配布もあってびっくりしました。このご時世ならではですね。
開始直前に、指揮者の藤岡さんによるトークがありました。
角野さんはタッチ、音が綺麗。楽譜を完璧に理解してるとのこと。リハーサルでは、
「角野くんの顔が、段々ショパンにしか見えなくなって来て……ショパンが乗り移ってるかも」
と言ったコメントも。
過去にこのホールは、藤田真央さん、三浦謙司さん等、錚々たるピアニストが演奏していたとのことです。
また、「これは話そうか迷ったんですが」と前置きした上で、ショパンの1番の前奏部分が、実はまるまる演歌になっている、と紹介されました。これはまったく知らなかったので、ビックリ!
曲名はこの時紹介されなかったのですが、後で調べてみたところ、恐らく、都はるみさんの「北の宿から」のことを指しているのではないかと思います。
ショパン ピアノ協奏曲第1番
オケのメンバー入場後、照明が一段明るくなるステージ。いよいよ登場か、と高まる興奮。
そして、藤岡さんと角野さんはホールに入場後、目線を合わせたかと思うと、すぐに演奏を開始。ちょっとびっくり。
藤岡さんが最初に手を振り下ろす直前、大きく息をするのが聴こえて、はっと背筋が伸びる思いがしました。
事前にショパコンの予習も兼ねて、この曲は結構聴いていたのですが、やはり生は違う!
ホールの音響効果でまろやかに聴こえる音色。迫力ある低音。
長めの前奏で、ワクワク感が最高潮まで高まった所で、角野さんのピアノ演奏がスタート!
低音から高音まで一気に弾き切り、音色の美しさに惹きつけられた後、切なげなメロディーで心を鷲掴みにされました。
第一楽章の終わりで、すでにまるまる一曲聴いたんじゃないかと思う程の充実感、聴きごたえ。
その後、第二楽章までのわずかな沈黙の時間に、会場中から息をつく声が。皆さん、とても集中して聴いていたのが、そこから伝わります。
藤岡さんと角野さんのアイコンタクト後、すぐに第二楽章が開始。
甘く優しいオケの演奏に、天国から零れ落ちて来たかのような、星屑の如きピアノの音色が合わさって、もうここは天国なんじゃなかろうかと言う錯覚に陥りそうに。
いつまでも、この音の海に浸っていたい。終わらないで欲しい……!
しかし、演奏はどんどん進んで行きます。
第三楽章。
先程とは打って変わって、オケの力強い旋律から始まり、ピアノが明るい曲調を奏でます。
角野さんが踊るように鍵盤を弾き、音が飛んで跳ねて、宙で舞っているかのようでした。
クライマックスまで一気に弾き切った直後、万雷の拍手が覆い尽くすホール。
いつまでも鳴り止まず、行って帰ってを三回繰り返した後、藤岡さんの勧めで、何と角野さんがアンコールで一曲弾いて下さることに!
「小犬のワルツをちょっとだけアレンジして弾きます」
そして、なり始めるピアノ。
ちょっとどころでは、ありませんでした(笑)
音の厚みが増した壮大な感じのアレンジから始まって、ジャズアレンジが入ったり、最後は一人オーケストラかの如く、めちゃくちゃ盛り上げて終了。
弾いてる間は終始楽しそうで、それを眺めてるオケのメンバーも笑顔がいっぱい。
温かく、和やかな空気の中、角野ワールドに浸るひと時。
終了後、やはり拍手が鳴り止まず、出たり入ったりを四回繰り返した後、藤岡さんが腕時計を指さした後、ごめんなさいのポーズをして、時間がないことを訴えた後、ようやく退場されました。
皆さん、あまりにも素敵な演奏だったから、角野さんにまだ帰らないで! という気持ちを込めて拍手をしていたのかと思います。
寂しいけれど、これにてお別れ。
いやはや、本当に夢のような時間でした。
親子で角野さんのショパンの1番を聴けると言う幸運に恵まれたことに、本当に感謝で一杯です。
角野さんと藤岡さんは来年、東京で共演されるとのお話もありましたが、今から、とても楽しみです!