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オーケストラ・アンサンブル金沢 第490回定期公演マイスター・シリーズ

2025.1.26 SUN
開場 13:00 開演 14:00
石川県立音楽堂 コンサートホール

指揮 アントニオ・メンデス
ピアノ 亀井聖矢
管弦楽 オーケストラ・アンサンブル金沢

Program
シューマン 序曲、スケルツォと終曲 ホ長調 作品52
サン=サーンス ピアノ協奏曲 第5番 ヘ長調 作品103 「エジプト風」
ブラームス 交響曲 第3番 ヘ長調 作品90

アンコール
リスト ラ・カンパネラ
メンデルスゾーン 交響曲第3番イ短調op.56
「スコットランド」第4楽章より

はじめに

前々から、亀井さんとオケとの生演奏が聴いてみたいなと思っていたのだけど、今回幸運にも機会に恵まれたので、記念にnoteを書いています。
初石川県、初金沢上陸!でもあり、観光も出来ればしたかったのですが、今回は日帰り強行軍だったので、泣く泣く見送り。次回来る時は絶対観光します!(誰に向けての宣言だ)

シューマン

配信音源で事前に予習していた時は正直あまり印象に残らなかった曲なのですが、生で聴くと印象がガラッと変わりました。

打楽器とメロディのハマりが抜群に良い!
リズム感が素晴らしい。
聴いていてめちゃくちゃ気持ち良い。

そして、オケの演奏と共にホールに広がる温かな空気感。

この後、亀井さんが加わったコンチェルトの時と、明確に雰囲気が違ったので、これはマエストロのお人柄が生み出したものなのかも。
オケの皆さんは、お二人にぴったりと合わせている感じでしょうか。

陽だまりの中にいるような、穏やかな心地で耳を傾ける幸せなひと時。
きっと彼が振ったのなら、難解だったり、シリアスな曲でも、すっと耳に馴染んで聴けちゃいそうだなと、何の根拠もないのに、何故かそう確信させる、不思議な指揮でした。

サン=サーンス

亀井さんがマエストロと共にホールに現れた途端、空気感が変わりました。

先程までの陽だまりの中ような暖かさから、少しピリッとしたものに。
これは、亀井さんが発するきりりとしたオーラが生み出したものなのか。

あくまで主観ですが、そこには聴衆の演奏への期待感も乗っかっていたような感じで、わくわくがないまぜになった、心地の良い緊張感、と言ったものでした。

亀井さんのピアノの弾き始めから感じたのは、音色の鮮やかさ。 

中間部で登場する低音部は、彼の中に蠢く大きなエネルギーを感じさせるような演奏で、ゾクゾクしました。

冒頭から美しい演奏でしたが、彼が演奏するにあたって、内側から出しているエネルギーは、全体から見るとまだ少量なのではと感じるような、そんな弾き姿でした。
亀井聖矢さん、底が知れない……!

この時の私の予感は、後に当たって、第三楽章では亀井さんが内側からエネルギーが迸るような凄まじい演奏を披露し、それがオケの演奏と溶け合って、その時に最高の瞬間が生まれた、と思いました。

気付くと、涙ぐんでいた私。
この後、アンコールの演奏でも泣いていて、途中の休憩時間もずっと鼻を啜っていました。

アンコール

かつて何度か亀井さんのラ・カンパネラを聴いたことがあり、本当に澄んだ音色の素晴らしい演奏をされるので、今日アンコールに選曲してくれて、とても嬉しかったのですが、今まで聴いたどの演奏とも異なる印象で、とても感動しました。

先程までのオケとの演奏とはまったく異なる、透き通ったピアノの音色は、繊細なガラス細工がキラキラと光を通して輝いているようであり、それがまた彼の純真な心の発露にも見えて、ただただ息を呑んで聴き入りました。

ブラームス

再び、ホール内は一曲目の時と同じ穏やかな空気に。
いやはや、こんなに曲ごとに雰囲気が変わるのを肌で感じるコンサートも私的には珍しい気がします。

楽章によってはシリアスな所もあるのですが、マエストロの個性もあってか、予習時にはただ暗く感じていた音色が、深みのある味わい深い音色に聴こえるマジック。

生で聴いたら、それまで苦手だった曲も好きになれちゃうことってありますよね。
今回もまさにそんな感じ。

アンコール

この日のオーケストラアンコールは、メンデルスゾーン 交響曲第3番イ短調op.56「スコットランド」第4楽章。
はじめまして、の曲だったのですが、とても幸せな気分で聴きました。
終盤はマエストロの陽のオーラが曲に溶け合って、ブワっとホール全体に広がり、キラキラの音粒が客席に降り注ぐ幻覚が見えるような、エネルギー溢れる演奏でした。

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