果てしない理想から悩みを考える
先日後輩の相談に乗る機会があった。
上司との関係に悩んでいて
それをきっかけに、自分が今の会社でやりたいこともわからなくなってしまったという話だった。
相談内容自体はもっともだと思えた。
自分が彼の立場にいたら同じように思うだろうし
むしろ彼より先に音を上げてしまうかもしれない。
かといって私が彼の上司に何かを言える立場でもなく
私が他の誰かに相談したことで
彼が余計いづらくなっても困る。
彼が会社に必要な人材であることも確かだから
人間関係だけで会社を辞めてしまうのも惜しい。
話を聞きながら私は「人間関係の悩み」と「将来やりたいことが不明確である故の悩み」を分けてみて
後者を深堀りしてみようと思った。
それで今の場所でやりたいことがないのであれば
動く決断をするのは会社にとって致し方ないことだし
もし今の場所で将来やりたいことにつながる何かができるのであれば
それを実現する方法を一緒に考えられる。
私たちは一緒に彼がやりたいことの深掘りをしていった。
具体的にどの領域でどういう仕事がしたいのか
今の会社でそれをやっている部署はあるか
長期的にはどういう人材になっていきたいのか
もし現実性を考えずに動くとしたらどういうことをしてみたいか
今の仕事をしていて楽しいと感じる瞬間があるか
それはどんな時か
そうやって「現実的だと思われる理想」と
「今叶うとは思えない理想」の間を行ったり来たりしながら
話を聞いてみると
不思議なことに彼の方から
「今の業務だとこういうことが改善できると思うのだけど」という話がポロポロと出てくる
必ずしも会社や業務が嫌なわけでなく
現状を変えようとしない上司と、そこまで手が回らない現状に
歯痒い思いを抱いているようだった。
何より嬉しかったのは
問題点がクリアになったことで
彼の将来やりたいことも少しずつクリアになってきたこと。
元々関心の近い私たちだから
たまにプライベートでも集まって
研究会的なことをやったら楽しいのではないか、という提案をしたら
すごく喜んでくれた。
私自身も経験があるから
悩んでいる時、特に人が絡む時というのは一筋縄では行かなくて
いったん大丈夫と思っても次の瞬間には「やっぱり無理かも」と思ったり
できるように思えたことをいざやろうとすると
実際は思った以上に勇気がいったりもするものだ。
彼がすぐに全ての行動を前向きに捉えることを期待はしていないけれど
悩んだりした時の考え方や相談できる人が案外とそばにいることの心強さみたいなものを
実感してくれればいいなと思う。
悩んでいる時はなかなか短期的にしか
物事を捉えられないけれど
他の人の助けを借りて
果てしない理想からちょっとずつ今の問題点に視点を移していくのがおすすめ。
視力検査でよく見る気球の絵にだんだんとピントが合っていくイメージ。