Addictoneの歴史を振り返る④


Addictoneの立ち上げるにあたっていくつか拘りたいポイントがあって

1つ目は、

いかにも”The 日本製!!”って感じよりUSA製っぽいギターを作りたい

2つ目は

製作ではボディ材や、ネック材にこだわりたい(重さや、材そのものの質)

派手なトップ材や希少材とかではなく、ベースとなるボディ材のアルダーや、マホガニー、ネック材のメイプルなど拘りたいと考えていました。)

3つ目は

完成時のセットアップにも拘りたい。

いわゆる工場出荷時的なものではなくすぐに現場使えるような状態で
お客さんに届けたい。


というのがあって

色々と調べつつ

まず材や木工加工に関してそれをクリアしてくれるとこを国内で探そうと色んなところにコンタクトを取り始めました。

結局最終的にAddictoneはアメリカで材の仕入れからボディネックの製作をするという所に行き着くのですが、今回はそれまでの経緯を書いていきたいと思います。

まずは国内でボディやネックを作ってくれる工房探しからスタートしたのですがいきなりの難関でした。
なかなか個人で相手にしてくれるようなところがなく、、、

まずメールをしても返事すらもらえないとこも多く、返事が来てもこちらの希望の条件では全く取り合ってもらえず

まぁ今考えれば当然なんですが笑

当時は何もわからないのでいきなり苦戦でした


とりあえずいくつかボディネックを作って販売してくれるところを見つけることはできたのですが、、

拘りたかった材の重さや質に関しては

こちらの要望通りには対応してもらえませんでした。


作ってもらったボディネックで何本か試作をしてみてやはり

気になる問題が、、、

どこかで弾いた事ある感じ。。どうしても国産っぽさ100%のギターが出来てしまったのでした。もちろん質が低いとかではないのですが
パーツやセットアップだけではどうにもならないカチっとした日本製っぽさがどうしても出てしまうのでした。

そこでもうアメリカで作ったらいいのでは?
ということになりすぐにアメリカでの協力してくれる工房探しをし始めました。


工房探しと同時に、楽器用の材のサプライヤーに関してもアメリカやカナダの業者を探し始め気になるところにメールを送っていると

その中にAqua Timber社というのがあり(アクアティンバーという古い材を湖から引き上げて、、、というのをやっている会社)そこに材を買いたいとメールをしたんですがアジアでのアクアティンバーの取り扱いは日本のとある会社に任せているからそこから連絡行くように手配しますとの返信が来ました。

すると数日後に事務所の電話にある有名なギタービルダーの方から留守電が入ったのですが、なんとその人は Sugi Guitarsの杉本さんだったんです。

すぐに折り返しの電話をすると良かったら松本の工房に遊びに来ないか?と言ってくださったので早速翌日に工房にお邪魔することにしました。

Sugi Guitarsへお邪魔して杉本さんにお話を伺って

色々と相談に乗ってもらったのですが、ちょっと気になる事を言っていたのでした

それは基本的にギター工房というのは自社のギター以外の

ブランドの下請けの仕事も受けていることで成り立っているということでした。

実際には自社製品と下請けとの仕事の割合は7:3くらいのところもあるんじゃないかとのことだったんです。

しかも、それはアメリカでも同じで割と名前のある工房でも

OEMの仕事を受けてるよ。と言うのでした。

これはいい情報を聞いたとその日からアメリカの工房をリストアップして片っ端からメールでOEMでボディとネックを作って欲しいと問い合わせをしました。


Surh

James Tyler

Tom Anderson

J.W.Black

Wayne Charvel

Lipe Guitars


他にもいくつかありましたがちょっと忘れてしまいました。


面白いことに全部の工房から返信がちゃんと返って来ました。

しかもほとんどが24時間以内に。

日本では8割スルーされたのに笑


なんだろこの違い。

思うのはアメリカというのは来るもの拒まず

とりあえずフラットに話を聞くという文化なのかなと。

僕にはこっちの方がしっくりくるし

もうこの時には感覚的にアメリカでやりたいと思っていました。


しかもTom Anderson

J.W.Black

Mike Lipeに関しては本人から直々にメールが返って来ました。

SuhrとJamas Tylerは秘書の方からの返信で

どちらもお断りのメールでしたが

タイラーはマムヨ材のことや材の仕入れに関してなど質問にも丁寧に答えてくれました。当時2012年でしたがこの時にはマムヨ材がジェルトンというマレーシア原産の材ということを教えてくれました。


そして、Tom Andersonは

タイラーやSuhrが創業当時Tom Andersonの工房でボディネックを作ってもらっていたとのことだったので今でもOEMで作ってもらうことは可能かと聞くと
今は忙しくしており自社製品をだけで他のを作る余裕がないとのことで

もちろん断られたのですが、

でもかわりにアメリカ国内で仕事を受けてくれる工房をいくつか紹介してくれたのです!!

特にその中の一つの工房はすごく良いネックを作っているとTom Andersonさんのお墨付きでした。

紹介してもらった工房へは全て連絡をしてその一つの工房で今も

Addictoneのカスタムシリーズのボディネックを製作してもらっています。



J .W .Blackももちろん断られたのですが

レリック加工だけでもお願いできないか聞いたら

自分のエイジド加工の方法を動画にしてあるのでそれをよかったら見てよと

YoutubeのURLを送ってくれました。

その動画にはJ.W.BLACKの名前は出てこないんですが本人が作業をやっている動画だとのことでした。(久しぶりに見てみたら今は非公開になっていました)



そして、Lipe GuitarsのMike Lipe

(この人は80年代終わりから90年代前半に

IbanezのLA custom shopに在籍していた方です)

連絡は嬉しいが見ず知らずのあなたのギターは正直つくれない。との返事が、、、、


まぁそうですよね。。


でもここで引き下がってしまったら後がない僕は、もう一度メールを送りました。

『今回メールしたのは

実は日本のMr.Sugimotoに話を聞いて連絡したんです。(杉本さんはフジゲンいた時にIbanezの製作もしていた)

僕自身は少し前までギタリストでIbanezユーザーとしてIbanezのカタログに載せてもらったりもしていました。

自分が10代のころプロミュージシャンを目指して、聴いていた音楽、その頃憧れていたギタリストたちは

Steve Vai、Joe Satriani、Andy Timmons 、Paul Gilbert、Richie Kotzenなどで

みんなIbanezのユーザーでしたが

その彼らの使用してたギターを作っていたのは当時Ibanez LA custom shopにいた貴方でした。

今は僕は日本でミュージシャンではなくギターブランドを立ち上げたばかりですが

是非あなたと仕事がしたいのです。』


とメールをしました。

すると、

Mikeさんから

『そこまで言うならまず1本ギターを作ってあげよう。もしそれを気に入ってくれたら今後も作ってもいい。そのかわりボディネックを作るのではなく僕が一から製作してギターとして完成させるのでそれを納品する形なら良いよ』との返事がきたのでした。



すごい!!!


本当に凄いこことが起きたなーと思いました笑


そこで

ブランド立ち上げたばかりにして

【Addictone USA custom】というシリーズをいきなり作る事になったのでした。


その時に最初に製作してもらったのがこちら。



Addictone USA custom made by Mike Lipe #001

ヘッドのデザインは、Mikeさんにオリジナルのヘッドシェイプがないとギターが作れないと言われ、この最初の1本を作るに時に僕が方眼紙にフリーハンドで描いたヘッドデザインを送ってMike氏に実際に形にしもらいました。

そしてこのヘッドデザインが生まれそれからこのヘッドがAddictoneのオリジナルヘッドとして今も使用しています。

こうしてTom Andersonさんに教えてもらったUSAの工房でボディネックを製作してもらってそれを日本の送ってもらい塗装、組み込みを行うカスタムシリーズ。
それとは別に Mike Lipe氏に材のセレクトからギターの完成まで製作を行ってもらうUSA customというモデル
という体制ができ、いよいよ本格的にギターブランドをスタートすることになりました。

これが2012年の終わりくらいでした。

あまりブランド立ち上げの経緯を詳しく人に話す機会がなかったのですが

一応大まかにですが振り返ることができて良かったと思っています。

次はビルダーの荒木一三氏とに出会いについても書いていこうと思います。



つづく





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?