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輪廻転生 セルフライナーノーツ

輪廻転生を正式にリリースして気付けば1ヶ月経っていました。MVとか1000再生を超えていました。観てくれた方、聴いてくれた方、ミックスリストで勝手に再生された方、それぞれ本当にありがとうございます。嬉しいです本当に。

ようやくコード理論の頭を、齧るわけでもなく眺め始めていた高校2年生の夏。冷房が聴きすぎていた2階の部屋で、フルコーラスアレンジを1日で完成させられるのか、というチャレンジを一人でしていた。ナンバーガールに染まっていた当時の僕は、とにかく曲に特殊コードを入れ込むことに終始した。
テレキャスターをVOXのコンパクトアンプに繋げ、向井秀徳よろしくの「がぽぃ~~ん」という音と共に生み出された曲は、誰がどう聴いても「鉄風 鋭くなって」だった。
そうしてチャレンジは有耶無耶になり、夏の終わりとともに生み出されたのがこの曲だった。

そこから少し時間が経ち、推薦組と受験組の軋轢が生まれ始める高校3年生の夏休み前。物理から連想される言葉と数式に恐怖感を覚えていた僕は、少人数教室で、受験に使うはずもない生物を選択していた。流れてくる細胞壁関連の単語を聞き流しながら、輪廻転生のアレンジを考えていた。
ローライラックの曲の基本的なルール(メロディとシンセのメロディはなるべく同居させること、的な)はふんわりと出来上がっていた。頭の中でアレンジを練っては、家に帰ってiphone6sのガレージバンドに落とし込む。この作業の繰り返し。
クリック代わりの4つ打ちにAメロのベースラインを乗せた時に、曲の指針が定まった気がして、舞い上がってストーリーに載せたことを覚えている。

それぞれA、Bメロのコードやサビ入りの仕方。この頃は如何に分かりやすい楽曲展開にできるか、ということに重きを置いていた気がする。
イントロにⅣ-Ⅴ-Ⅵmの進行を使った上で、サビは小室進行(言葉を知る前は勝手に泣きメロ進行って呼んでた)にして印象を残そうとしていたり。Bメロの上昇マイナーコードの帰結をⅡ7にしてサビ前の不穏感を出そうとしていたり。
今でこそ言語化できるものの、アレンジしていた頃は完全に感覚で楽しんでいた。今より音楽してると思う。

とにかくシングル感のある曲を!という意気込みで作っていたので、楽曲自体のフック性みたいなものは、複雑なアレンジというよりも曲全体としての雰囲気に頼っている。
Aメロに入るpadピアノは、明暗の空洞性を表現したくて、ズレない範囲でコーラスを2重にかけてみたり(結局減らしている)、サビに向けて徐々に暗くしいくことを意識していた。サビで光景が開けるように。イントロとアウトロのギターフレーズを同じにしているのも、展開のカタルシス的なるものをわかりやすくしている意図だったりする。

斯くして、完成したアレンジは、僕が作った曲史上過去1のシングル感を持った仕上がりになった。「東京」とか「花と夢物語」とは違う、バンド感がある曲。エネルギーをパッケージできる曲。
アレンジで満足してしまって、歌詞を書いたのは1年後だったりした。

その歌詞にも一苦労で、場所を変えて1ヶ月くらいかけて書き上げた。わざわざ多賀城図書館まで行って考えたこともあった。
解釈のしようは無限にある。表面的には別れの曲に見えるし。今自分が身を置いている色々な環境からドロップアウトしたいという、ファーストシングルとは思えない歌詞だけど、それでもローライラックを説明するには申し分ない歌詞だと思う。
MVを見てくれた人なら何となく察しがつくと思うけど、ポジティブに自殺したいっていう曲だったり。

こうして、生み出されてから5年くらいかけて、ようやくこの曲は自分の外側に放たれました。
長々書きましたが、これを初まりとして、自分の中に貯めていた曲達がどんどん旅立っていきます。
企画のMCで言ったけど、嬉しいような淋しいような、変な感情に陥ります。
少しずつ曝け出すことに慣れながら。これからもこの曲達のことを、どうかどうかよろしくお願いします。

最後に、この曲、MVを作るにあたって関わっていただいた方々に、この場を借りて多大なる感謝を。


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