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4月9日 日記

当たり前といえば当たり前だが、この1週間は鬼のように忙しかった。保険会社とのやり取りに脳みそのリソースが7割方持っていかれ、そこに新歓行事やローライラックのあれこれを並行して進める、まさに怒涛の生活だったと思う。日帰り実家帰省なるものも体験した。二度とやりたくない。

束の間の休息。というか保険会社が休みというだけの週末の後半戦。予定がボイトレしかなく、五橋キャンパスまで行って日記のネタにしてやろうとの魂胆で、台風みたいな強風の中外に出た。

天神沢という僻地にキャンパスを置いた大学とは思えない、駅直結のスーパー利便性。何回見ても大学とは思えないキャンパスも日曜ということで、学生の姿も見えず閑散としているようだった。

ありがたい。一人でパソコンをおっ広げ、恥ずかしげも感じることなく仕事やってますよ俺感に浸るには丁度いい。

さてさて、いざ新キャンパス入ろうぞというところで、困ったことになった。自動ドアが開かない。センサーに反応していないだけだと思って何度か試したが、やはり開かなかった。中の電気は付いているので閉じているわけではなさそうなのにと、しばらくウロチョロしていたところにちょうど職員だと思われるおっちゃんがやってきた。

「あ~それね、今の時間だと生徒証がなきゃ開かないんだよ。」

無駄にセキュリティ意識の高い大学め。高層棟の改札ゲート以外にもしっかりとゲートを作っていたらしい。新しい生徒証を持っていないことを悟られると、物悲しい目でせっかくきたのに残念だねと言われてしまった。全くその通りだと思う。こんな大荒れの天気にもかかわらず、変な欲求を満たすためだけにわざわざ来たというのに。

全ては生徒証更新を怠っていた僕に責任があるのだが。

おっちゃんと至極真っ当なに理由で閑散としていたキャンパスを後にした。こんな言い草だが、本当に綺麗だから授業開始が割と楽しみである。始まったら始まったで行きたくないと思うのだろうが。


ボイトレの時間まで時間を潰す場所を失ったため、代わりの場所を探すことにした。土樋キャンパスに行くのも向かい風で嫌になり、広瀬通のベローチェで潰すのも違うなと思った。

つまり移動が面倒なだけである。利便性の高いキャンパスに来たのに利便性の悪い場所に行く元気などないので、悩んだ結果、泉まで行ってベローチェに居座ろうと決めた。冷静に考えたら時間の無駄である。しかし本当に歩きたくなかったので致し方ない。五橋から20分かけて逆戻りした。

泉中央も学生が消えたとはいえ、さすがは仙台のベッドタウンということで、日曜の夕方でもそこそこ人がいた。主に天気予報も見ずに飛び出してきた元気なご老人だった。というわけで、エスカレーターを登ってすぐのベローチェも賑わっていた。

先程の威勢とは打って変わって申し訳なさそうに注文し、もちろん社員証を出す勇気もないのでそのままの値段でコーヒーを飲んだ。もう自店舗以外で割引の制度を使うことはないんじゃないだろうか。

席に座って閃光ライオットやらなんやらに掲載するためのアーティスト紹介文を考えることにした。とりあえずダラダラ書いてみたはいいものの、ステートメントのようになってしまい、文字数も700くらいに膨らんでしまった。でもそこそこいいものが書けたので、どこかのタイミングでポロッと出せたらいいなと思うがこれでは多分ダメだと思うので後日書き直すことにする。


またしても20分かけて仙台に戻り、ボイトレを受ける。エレベーターで登り、教室に入ったところで水を買い忘れたことに気がついた。

自販機が近くにないので、先生に許可を取ってビルの下にあるミニストップまで買いに走った。中には外国人研修生だと思う男性店員が1人、やたら張った声で接客していた。常温で置かれていた一番安い水を手にとり、レジに向かおうとすると視線の先にニッコニコで待っている店員が目に映った。


気まずい。純粋無垢な目でこっちをただただ見つめている。え、何か服に付いてる?と思って確認するも特に何もなく、本当にレジを待っているようだった。接客業の店員に対して申し訳なさを感じているのはバイトを始めてからずっとだが、こういう気まずさは初めてかもしれない。もちろんコンビニ店員に対して愛想とかを求めたことなんて1度もない。大体無愛想じゃないコンビニ店員の方が珍しいんじゃないか?

恐る恐るレジまで行くと案の定張り上げられた声で二桁の金額を読み上げられ、すごく恥ずかしかった。がしかし、会話というものはことが進むにつれてお互いを同じ温度感にしてしまう。「お支払い方法はいかがなさいますか?」の妙に可愛らしい言い方がツボにハマり、謎の高揚感を覚えてしまった。

そこからはもう軽快なものである。suicaのやたら軽いタッチ音でさえも小気味よく聞こえてしまい、終いにはこちらも笑顔でありがとうございますとそこそこの声量で言ってしまった。多分無意識だが頭も下げていたと思う。とにかくルンルンで店の出口まで鼻歌を歌う勢いで向かい、無事出口先の段差を踏み外すことで通常のテンションに戻ることができた。ボイトレの先生に顔赤くない?と言われたが、別の理由で誤魔化した。

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