文字起こしサポートサービス「もじおこしザル」のリリース記録
2020年10月19日初めての有料個人開発サービスである「もじおこしザル」をリリースしました!
このnoteではサービス開発のきっかけから、開発中のキーイベント、気づいたことなどを書き残したいと思います。
「もじおこしザル」とは
「もじおこしザル」は忙しい現代人に手を貸してくれるサルです。インタビューや会議、講演会の録音音声データを送ると文字起こしの下起こしをしてくれます。1分10円の格安で!
GoogleDocsやWordの音声入力のように開きっぱなしで静かにしておくひつようはありませんし、企業向け文字起こしサービスにはない1分から低コストで使えます。
精度は他社と比べても遜色ありません。
もちろんそれぞれのサービスに良さがあるのでシーンによって使い分けてください(笑)
サービス開発のきっかけ
今年の夏休みは大学院の研究プロジェクトで大量の文字起こしをしないといけなくなったんです。夏休みなのにもかかわらず。
その量なんと約16時間!!!幸いなことにプロジェクトメンバーが11人もいたので1人だいたい90分ですが、それでも多い!
10分の録音データを起こすのに大体1時間弱なので1人だいたい実働9時間です。全員合わせて実働96時間!!!
4日分の大学院生・大学生の時間が奪われてしまうのです。しかも夏休みの!!
大学生の夏休みは、人生の夏休みの夏休み、超大事です。これはみんなの時間をセーブせねば。そう思ったわけです。
というわけで文字起こしの自動ツールの下調べが始まりました。
GoogleDocsで起こす方法や既存のサービスを使うなど少しずつ試してみましたが、どれもいまいち大量の文字起こしをするには時間がかかったり、コスパが悪かったり。
「じゃあ、作ればいいんだ」
他にも研究やら仕事があるにも関わらず、そんなもの無視して夏休みの自由工作が始まりました。
最近は便利なものでGoogleやらMicrosoftやらAmazonやらIBMやらが音声認識の技術をAPIとして公開してくれております。ひとつづつ小さくコードを書いて試してみました。
やっぱり巷で言われていたように「オーケー、グーグル」はつよい!音声認識の競争はGoogleが勝ったようです。
Google先生に下起こししてもらったテキストデータをプロジェクトメンバーに配り整文作業がはじまりました。
お、反応良いぞ。
私比ですが白紙から起こすのと下起こしベースの整文を比較すると3分の1ぐらい時間短縮になりました。精神的にはもっと楽です。文字起こしってなんであんなにしんどいんだろう...
みんな同じぐらい時間短縮できていたとしたら合わせて1.3日ぐらいは夏休みの時間を守れたようだ。よかった~
他の研究室メンバーにも使ってもらってみよう、とお節介を働きインタビュー録音をもらって下起こしして配ってみました。
うむ、やっぱり精度問題はあるけど活躍できているみたい。
「あ、これ、サービスにできるんじゃね?夏休みだから一応時間あるし。」
需要はありそうだからまず作ってみた
必要とされていることはわかったから、みんなが簡単にブラウザから下起こしできるようにしよう。この時はまだターミナルからコマンドを打っていました。こういう画面です。
エンジニアならできるけどそうじゃない人は黒い画面を見るだけで拒絶反応がでるとおもうので、だれでも簡単にブラウザからできるようしました。
せっかくだからサービス紹介のトップページも作ろう、サービス名はサクッと文字起こしできるからQuick Logかな、フリーで使えるイケてるイラストも載せてかっこよくしよう。というかんじでこんなページを作ってみました。
デザインは企業向けのSaasの紹介ページをいろいろ見ながら参考にしました。
ひとまずインターフェースができたから何人かに使ってみてもらおう。そう思っていると研究室の人が何人か使いたいですと言ってきてくれました。
なにも言ってないのに頼られるっていいですね。
信頼されている証拠だ。
使い方は教えずに使ってみてもらいました。
インターフェースの使い勝手は問題なさそう。
これはちゃんとやれば本当に使ってもらえるサービスになりそう。
でも、こんな音声認識サービスなんて無限にあるよね?
https://smartshoki.jp/
https://www.trasc.jp/
https://mojiko.ai/
https://rimo.app/
はい、ありますよ!!!しかもみんなイケてそうな見た目してるし!!!
rimo voiceなんて開発してる9月1日にプレスリリース打って大々的にやってるんですから。
あー、これしんどいな。普通にやっても需要ないじゃん。結構モチベーション削がれてしまいました。
どうしよう...
ちょっとそれぞれのサービス使ってみよう...
うん、使い勝手はこんな感じだよね
あれ、認識精度ほとんど変わらないじゃん。
俺は1分10円でやろうとしているのに、なぜほかのサービスは倍以上も値段するんだろう?なんならrimo voiceは4倍もする。
あーー、企業向けだからか。しかも大体基本料金必要じゃん。
フリーランスライターさんとか研究者さんとか講演家さんとか企業じゃなくて個人の需要にターゲット絞ろう。
個人開発サービスの利点がここにありました。
お金から身軽、ありがたいことに他の仕事で自分の生活はまかなえているので、お金の心配をする必要がない。会社としてやるとなると、社員の給料を払ったりいろいろお金がかかるので、必然的に単価を高くしないといけないんですね。
そもそもこのサービスのきっかけは大学生の夏休みを守るということだった。安くないと意味がない。安く、個人を助けるサービスにすると決めました。
「もじおこしザル」爆誕
とはいえ、ここから一人ですべて考えるのは壁にぶつかった気がしました。サービスリリースは普通にできるけど、面白くできなそう。
そこで、音声系のサービスやってる人に相談してみようと思いました。
音声配信サービスのイケてるベンチャーで働いている元上司に相談があるんですけど...
とZOOMで相談しました。
ここで、「もじおこしザル」が生まれました!!!
先ほどのトップページなどを共有しながら話していると、
ビジネス向けはもうたくさんあるからキャラクター立てたらどう?
もっとわかりやすいサービス名にしたら?
など、たくさんのアドバイスをもらいました。
なんといってもその上司はとあるキャラクタービジネスの立役者、一時はピカチュウを抜くのでは?と言われたあの赤いキャラクターの立役者。
キャラクターつくるなんて発想なかったけど、むっちゃいいじゃん!!
そんなのやったことないから楽しそう!!
とはいえ、「もじおこしザル」のキャラクターどうやってつくろうか。
世の中ほんと便利なんですね。ココナラでフリーのイラストレーターを探しました。実は3年前ぐらいまで、私自身がココナラでウェブ作成の仕事受けていたので無抵抗でお仕事頼めました。
jhiramatという方に1万円強でキャラクターデザインをしてもらいました。
何回も修正依頼したにも関わらず、2日という爆速でつくってくれました。
ほんとありがとうございます。推します。
そんなこんなで、全体コンセプトやキャラクターが決まり、競合を目の前に落ちてしまっていたモチベーションも一気に上がりました。
しかし、ここで夏休みが終わります。
大学院生ってほんと忙しいんですよね。
10月1日にリリースする予定だったんですけど、あっという間に3週間ぐらい伸びました。
身内に先行リリースから本リリース
9割ぐらいの機能がそろったので、研究室のメンバーに先にリリースして使ってもらいました。
ここでバグ発生。
よかったーーー!!!先に身内にリリースしてお客さんとして使ってもらうの大事だ、、、小さな修正ですぐに解消しました。
ここからが意外と大変でした。
サービスにしてお客さんからお金や情報を取るとなると、システムのセキュリティにかなり気を遣ったり、利用規約やプライバシーポリシーもそろえたりしないといけないです。
あと、決済後の領収書自動送信や、お問い合わせフォームなどやらないといけないことはどんどん思い浮かんでしまいます。
しかも、お問い合わせフォームが送られたらslackに通知するとか細かいことまでやっちゃうんですよね
そんなこと後からでもいいのに(笑)
利用規約とプライバシーポリシーは後輩に報酬を払って下書きしてもらったものをチェックしてつくりました。ありがたい!!
残ったあまり面白くない部分もこつこつと進めて...
ようやく10月19日のお昼にリリースできました!!
リリースからの初速は想像の数倍
リリースのことをtwitterとfacebookで投稿して、研究室のメンバーや先生に拡散/投稿をお願いしました。
すると、24時間ぐらいでtwitterもfacebookも100いいね以上ついている投稿があってびっくりしていました。
1万リツイートとかのツイートってホントにどうやったらそんなにいくんだ?とおもいますね。いくらネットワーク効果があるとはいえ...
サービスも想像以上にご利用していただけてうれしい限りです。
これからどうするの?
初日からいくつかお問い合わせをいただいたり、サービスの改善点が見えてきたりしたので、それを放置して保守だけするのもしのびないので、少しづつ改修していこうと思います。
それに加えて、私の周囲のSNS拡散だけで10人以上の方に使ってもらえたので、もっといろんな人が実は求めているんじゃないかと思っています。
どうしたら、そういう人に届けられるんだろうか?
いろんなベンチャーや会社で仕事させてもらってきましたが、自分のつくったサービスを届けるというミッションはまだやったことがないので、新しいチャレンジとしてこつこつやっていこうと思います。
「もじおこしザル」はインタビューや講演会、鼎談、会議、話し合いなど様々なシーンで気軽に使えるサービスになっています。
覚えていた時はぜひ使ってみてください。