短編劇集〜4つの物語
2016/1/9 (土) ~ 1/14 (火) エアースタジオ
演目:喜びの孤独な衝動(脚本:ジョン・パトリック・シャンリー)/葵上(脚本:三島由紀夫)/屋上(脚本:沢井英希)/PRIDE(脚本:藤森一朗)
A班B班両方を観れば、4作品演じる彼が観れる。
屋上/家すらなく屋上に住む青年の彼。悩むことをバカバカしいと思わせてくれる。死ぬほど落ち込んでいても、どこかふらりと屋上に行けば彼が居てくれるんじゃないか、と思わされるファンタジー。彼は屋上が好きって理由だけでそこに住み着いていて、普通に社会人として会社に勤務している。とにかく彼を見ていると、悩むことがばからしく思えてくる。なによりもラストシーンで訛りのある口調で紡がれる「だから、おかわり」に完全敗北した気がする。夜になったらちゃんと家に帰るから、夕飯つくって届けに来てもいい? って聞きたくなる感じ。きっと彼は「おう。楽しみにしてる。」って受け入れてくれる。
類君バージョンと流れだけが同じなので、どこまでが元々の台本なのかが知りたい。個人的には上遠野君バージョンの方が説得力が高かった気がする。
PRIDE/客席に背中を向けてましたが見事なラップを披露。歌が巧いのは知ってましたが……戦争物だったので好き嫌いが分かれるかもしれませんが、祖父からいろいろ聞いていた私はただただ切なくなるばかり。
自分が当初予定していた日程では葵上がキャストの体調不良で休演、トークタイムになりました。座長にもかかわらず全然回せない彼を被せ気味にツッコミ入れる類君はテレビで観る人とは別人のようでした(笑)ラップで客席に背中を向けているのは演出と言いながらも、お客さんの方を向いてなんて歌えない、というようなことを言っていた彼。
自分より先に観劇していた友人ら曰く「葵上は絶対に観ないと後悔する」とのことだったので当日券を購入、観劇日を増やしました。
葵上/大人の光の色っぽさも衝撃ならば、客前で突然少年に戻るのがまた凄い。何もかも知っている男と何も知らない少年を交互に演じる様は呼吸を忘れる程美しかった。
結果、知っているはずの帰路で電車を乗り間違える程に動揺する(笑)
文章(新潮文庫の近代能楽集に収録されています)だけを知っていると「彼が演じるには早いのでは」という印象がありありとあるのに、板の上にいたのはその大人と言える年齢の色気の漂う落ち着いた男性でした。
底知れない。
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