#10 アナタの場所/運命の恋
普段はいくらでも寝続けられる私。でも今朝はベッドが違うせいか、アナタが帰ってくるのが待ちきれないからか、7時には目が覚めた。何て健康的!そう思いながら洗面所に向かう。大好きなアナタにまだ堂々とスッピンを見せられるほど何度も会っているわけではない。お化粧をして、洋服を着替えようとしていたその時、玄関が開く音がした。
アナタが帰ってきた。少し疲れた顔のアナタ。私の隣にきてギューっと強く私を抱きしめる。タバコの匂いがするアナタは、そのまま私を引っ張り、二人でまだ少しあたたかいベッドの中へ。
ふと目を覚まし、時計を見るともう11時。アナタと一緒に私もまた少し眠ってしまっていた。アナタがシャワーを浴びている間に、私は崩れたお化粧を直し、ワンピースに着替えた。
今日はアナタは私の為に時間を作ってくれた。約束していたアナタの愛車の助手席に乗り、ドライブがてらランチへ向かう。アナタが暮らしている、私の知らない町。全ての景色が新鮮で窓の外を眺めているだけで飽きない。そして初めてのアナタの運転姿もかっこいい。ホントに会いに来て良かった。
アナタおすすめのイタリアンでランチを済ませ、岡山観光の続きをする。でも、観光名所にはほとんど行かずに、アナタのお気に入りの場所や行きつけのお店。それが嬉しいし、楽しかった。
一度家に帰り、車を置いて近所の和食屋さんに夕飯を食べに行く。そしてその後、駅前にあるアナタの行きつけのバーに連れて行ってくれた。ビルの細い階段を登り、小さなドアをあけると、まだ時間が早いからかお客さんは誰も居なかった。
"いらっしゃいませ"とマスターの声が響く。そしてアナタはかなりここの常連らしく、すぐさまマスターが、"おっ、やっと連れてきてくれたね!優華ちゃんやろ"と話かけられた。
私はアルコール少なめのカシスオレンジを注文し、アナタの隣でカウンター越しのマスターと楽しいおしゃべりを交わした。話上手なマスターはこれでもか、とばかりに私を笑わせて、気付けば日付が変わる頃。マスターに挨拶をしてバーを出た私は、今回もまたほんの少しのお酒で酔っ払い。酔ったついでにおんぶをねだる私にアナタは本気で困り、"駅前のこんな目立つ所で恥ずかしいやん"と言いながらも、結局最後は私の粘りがち。
思い出に残る楽しい一晩になった。
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